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この放送は全国に流されるんだ

お待たせしました。長いプロローグが終わり、物語が動きだします。ここからはテンポよくいく予定です。

 この放送は全国に流されるんだ。無名の俺がいきなり全国区デビュー。運の要素が大きいだけに、恵山遺跡の発掘調査を受けてよかった。


 そんな風に感無量になっていたところに、根戸の素っ頓狂の声が響き渡る。


「あれ、なんなん?!」


 そう云って、発掘現場の端を指さした。その指し示す先には……、先ほどの竹の節々が光輝いている。赤、青、黄色って信号か!?


放電プラズマ現象か?」

「植物でも?」


 そんな声が上がる中、メキメキと竹が膨れ上がると、竹がバキンと爆音とともに弾け、そこからコウモリの翼を持ったトカゲが空に向かって飛び出したのだ。


 出てきたトカゲは赤、青、土色3体、それがグングン大きくなっていく。体長五メートル以上の大きさになる。そいつらが空気を震わす大音響の鳴き声を発した。


「ドラゴンだ!!」


 誰かが叫んだ。それを合図に周りの人たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。ただし、開戸妹と根戸は足がすくんで逃げ遅れた。俺たちは二人を抱えて環状列石から逃れようとしたが、それに狙いを定めたように、赤いドラゴンは巨大なあぎとを開き、タメを作り……、次の瞬間、炎を吐いた。


「%&#^#%&……」


 気が動転した開戸妹は、何度も同じことを呟いている。


 開戸妹はさっきから何を呟いているんだ。「と、ば、り」そうか「とばり!!」か。


 目の前に炎が迫る。チリヂリと肌を焼く熱を感じて、せめて生徒たちだけでも守ろうとして、開戸妹を抱きかかえて……。その時、俺は「とばり!!」と開戸妹と同じ発音で叫んでいた。


 俺の周りの空気が俺の意志に感化されたように従う。そして俺たちに向かっていた炎は、目に見えない壁にぶつかったように俺たちを避けて周りの遺跡を火の海にした。


 訳が分からないけど千載一遇のチャンス。まだ腰の抜けている開戸妹や根戸を引っ張って環状列石のエリアから逃げ出し、瀬戸がいるハイエースに転がり込んだのだ。


そして気がついたのだが、五人の手の甲に鱗の痣が浮かび上がり、俺が展開したとばりに呼応しているように、はっきりと深く刻まれ光を発している。


 三匹のドラゴンは旋回しながら、地上の様子をうかがっている。そして、赤いドラゴンは火を吹き遺跡を灰に変える。地面が溶けるほどの高温。そこに青いドラゴンが水を吐く。熱せられた地面に水が吹き付けられ水蒸気爆発が起こり、乗り込んだハイエースが大きく揺れ、フロントガラスが吹き飛んだ。


俺は再び、「とばり!!」と唱えたのだ。


 見えない壁が向かってくるガラスや熱を吹き飛ばす。さらにこの見えない壁は広がって周りの人や車を守るようになった。


だが、せっかく発掘した貴重な資料もすべて粉々で、残ったのは車に積んでいたこのバールだけだ。


 そんなこちらの都合などお構いなしに、今度は黄色のドラゴンが顎から土の塊を吐き出す。その塊は地面に衝突し巨大なクレーターと衝撃波を生み出した。四方50メートル以上が陥没し、恵山発掘現場は完全に崩壊した。しかし、そんな衝撃波も俺の壁に吸収されたのだ。


 この力は? 彼女らの特別な力が働いているか……。


「とばりって何を意味するんだ?」


 俺の問いに、興奮したように根戸が答える。

「こ、これって魔法だよね!! 嘘ちゃうん。先生って三〇歳まで童貞やったから魔法使いになれたんやろ、やろ!! 知らんけど!!」


「不遇の賢者から都市伝説の魔法使いに……」


 こら、開戸兄、何わけの分からんことを!! 魔法ってお前らが原因だろうが!!


「そうじゃないです!」

 誰だ? 後ろの座席から声が聞こえた。振り返るとさっき倒れた瀬戸だ。一番後ろの座席に寝かされていたのか。


「瀬戸さん。気が付いたか?」


「うん、さっきの衝撃でね。この力は「とばり」の言葉に秘められた力です。大和言葉で境界に垂らして内と外を分ける結界の意味です」


「いや、そういわれても、言葉を発するだけで?」


「発する言葉は大和言葉でないとだめみたいです。これはサイコメトリーで得た情報です。エンギドゥさんが守っていた王族の子ギルガメッシュがここに流れ着いた時、追っ手に対して初めて使った御力みちからです。


 その力で瀕死のエンキドゥさんが一時的に復活し、人外の力で追っ手を蹴散らしたのです。


大和言葉には、この時代ではまだ発見されていない原子と原子の間にある暗黒粒子の力を借りて、言葉通りの現象を起こすことができる力があるんです。この力は鬼法と言われ、アヌンナキの遺伝子を持つウル王国の王族だけに伝わる一子相伝の技だということなんですが……。なんで先生が使えるんです?」


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