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法則  作者: 鞍璽蛙埜
3/3

部屋の法則

・・・・朝か。

「あーあ、また一日無駄に過ごした。」

というか、無駄に過ごすしか俺に与えられた方法は無いのだが。

時刻を確認すると午前7時半ちょうど。

とりあえずお腹がすいた。

「・・・・しょうがない、半月もたって何の変化もなくダラダラと監禁されているのにも飽きたしな。」

そう独りつぶやいて子機を手にとる。

「つうか、どうやって親機に掛けるんだよこれ。」

どうにか試行錯誤して親機に掛ける。

10秒ほどコールしただろうか、ようやくヘンテコ女が受話器を取った。

「何だね少年。私は今日は休暇だ。もう少し寝たいのだがね?」

「知るかよ、腹減った。何かくれ。」

「相変わらず、食事以外の用事はないのかな?」

「いいから早くなんか持って来てくれよ。」

「しょうがないね、今何か持っていくから少し待っていておくれよ少年。」

「ちなみにな・・・俺は少年じゃなくって・・・」

もう青年ですよー、森鴎外の作品じゃなくて年齢的な意味で青年なんですよー。

と、言おうとしたところで受話器を置かれた。


まぁ、しばらくすれば何か持ってアレは部屋に来るだろう。

そして、その間俺は少しこの部屋について考えてみた。

と、いっても俺は頭が良いわけでもないし機転が利くわけでもない。

つまり部屋から逃げ出す方法も考え付かないだろうし、部屋の仕組みがわかるわけでもないだろう。

そもそも危害が加えられていない以上逃げる必要も無いわけだが・・・・


考えてみる事

その1

携帯電話の電波の受信の度合いを示すマークは圏外を示している。

しかしテレビは映るし、電気もつく。

水道もつかえるとなれば、文化圏から隔離された監禁専用の建物ではなく意図的にジャミングなどで外部との連絡手段を絶っている可能性が高い。


その2

部屋から出る事が出来ないのは、先ずドアの先が壁になっている事。

次に窓の外を見る限り、この部屋は地上から届かないような遥か上空にあるということ。


その3

何故か女は壁をすり抜けこの部屋に入ってくるということ。

そして、玄関の鍵の音が聞こえるほど壁は薄いであろうということ。


そして、以上の3っつの事を複合して考えると矛盾が発生する。

考察2である視覚情報から得られる状況分析では、この部屋は確実に雲の上にあることになる。

しかし、考察1のテレビが映る、電気や水道が使えると言った事はほぼ不可能であるはず。

そして考察3では壁はとても薄いはずだが、体当たりしてもびくともしない。

考察2と1をあわせて考えると一番可能性が高いのは部屋が空に浮いていて、時給システムが働いているという、とんでもな常態になるわけだが

そうなると考察3で女が鍵を開けたときの音が聞こえるという状況がまずおかしい。

空中に存在している部屋にどうやって帰ってくるのか。


「ダメだ、頭悪いから何もわからん。」

「そうか、君は馬鹿なのか。」

ん?ああ、女がいつの間にか部屋に来ていたみたいだ。

「申し訳ないね。本当に料理が苦手なので買い置きのカップ麺でいいかな?いいよね。」

「ああ、良いけど。ちょっと聞きたい事があるんだよ。」

「なんだって?ようやく話し合う気が出たのかい?それは嬉しいね!」


そう、こいつは俺と話し合いたいらしい。

その為に俺は拉致監禁されているというような事を半月前に聴いた覚えがある。


「話し合う前に一つ教えろ。」

「一つでいいのかい?」

・・・・そうだ一つじゃない。

「いや、色々教えろ。」

「言う事がころころ変わるんだね。少年は。」

「まぁいい。まず一つ目。何故俺をここに連れてきた。」

そう、肝心な所を忘れていた。

何故俺は拉致られたのか。

「それは君がとても貴重な存在だからだよ?」

「なぜ、ただ俺はお前が不良に絡まれていたから助けてやっただけだろう。」

「不良?私が不良に絡まれていたのかい?」

「は?絡まれていただろばっちり完璧に。まぁ不良よりお前の方がよっぽど危険人物だったみたいだけどな。」

「君には、あれが不良に見えたのかい?違うよ、全然違うんだよ。」

「はぁ?」

「ちょっとややこしいけどね。うん、簡単に言うと彼らは物理現象に近い法則で発生した現象だね。」

「・・・・はぁ?」


ナニヲ イッテ イルノデスカ?この女は。


「とりあえずいいや、で、助けると何で俺が拉致被害者になるんだよ。」

「それは君の能力にとてもとても興味があったからだよ。」

「能力?お前、やっぱり頭おかしいだろ?」

「君は本当に失礼だね。私の観測対象を破壊してくれたと思ったら、一目散で逃げ出すし、こうやって生活に困らない程度の環境を提供している私に対して・・・」

「うるせーよ、『お前、何をする、殺してくれる』とか良いながら短剣出されたら誰でも逃げるだろうがよ。」


そう、この女は折角不良から助けてやったのにいきなり銃刀法違反だろという、もうばっちり違反ですよねっていう之でもかというくらいギラギラ光る刃物を手にいきなり襲い掛かってきたのだ。


「でも君は怪我をしなかったじゃないか。」

「たまたまだろうが!」

「いいや、たまたまじゃないね。あの短剣は普通の短剣とは訳がちがうんだ。あれはね・・・」

「あぁ・・・もういいや、とりあえず、アンタからみて俺はなんかしら魅力的なところがあったから拉致られた訳ね。」

「なんだい、なにも私は答えていないのに自己完結したのかい?まあ、わかってもらえたなら良いのだけどね。」


何もわからんがな!HAHHAHA!


「ちなみに、私はアンタではないよ、素敵な名前があるのだ。」

「おーおーそうかい、俺も少年じゃないんだよな。青年なんですヨ?」

「そうゆう意味で言ったのではないよ、固有名詞があると、そういっているんだけどな。」

「へぇ」


興味はないが尋ねてみた。


「なんつうんだよ。」

「琴音という。どうだい?素敵だろう。魔法名はもっと素敵だよ?」

「・・・・魔法名だと?」

「そうだよ、私は魔術師だからね、魔法名もあるのさ。」

「魔術師?」

「あれ?魔術師、知らないかい?魔術を扱う人間の事だよ?」

「しってますけど、馬鹿にしてますか?」

そして笑いながら女は言った。

「いや、でも本当に驚いたよ、あれほどの秘術を実現する君には私の魔術は効かないと思ったのだけれど一撃だったね?

それに君はこの結界から出る事も出来ないようだ。」



・・・・・・・・・・は?



ああ、もう駄目だよ。

うん。

もうだめ。

だって何?魔術?馬鹿でしょこいつ、俺以上に馬鹿だよこいつ。

あーあー話すだけ無駄だ。


俺の人生おわったね。

こんなわけの分からないやつに拉致られたのが運の尽き。

この部屋って結界が張ってあるんだってさ!(笑)

結界だってよ!結界!まじ超常現象もいいところだよな!!

そりゃ外に出られないわけだね


HAHAHAHAHA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



「そうかそうか、お前が俺の事をとっても馬鹿にしてるのもわかったし、その壁すり抜けスキルとかもきっと魔術なんだろうな。

うんうん、そうなんだろうな、だから俺はそろそろカップ麺を食べるよ、どうもありがとう。」

早口に巻きたてると

「ようやく感謝の言葉を学んだか、成長したな青年。」

と、言って女は

「じゃあ私はこれから寝るからね。何かあったら子機から連絡をくれるといいよ。

それと、この部屋は一定の魔術法則によって色々と規制されているよ。

例えば一定の電波や音、光や風なども中から外に出ることはないし入る事も無い。

つまり、君は私にあのときの秘術を解き教えるかこの魔術結界の根底に流れる一定の法則を割り込みして改竄するか、消去する以外の方法では二度とこの部屋からは出ることが出来ないからね。

それを良く考えて、残りの半月を過ごすと良いよ。」


そう告げると、壁スルースキルを使って部屋から出て行った。


え?ていうかなに?

俺あと半月すると殺されたりするの?聞かされてないんだけど・・・・・

というかそれ以前に、なに秘術って・・・・

とりあえず、アレと話して収穫があったとすれば・・・この部屋はある魔術による法則に支配されていて、そのせいで色々と俺は不便していると。


ふーん・・・・・あほか


取り合えずだ。

俺も二度寝しようそうしよう。

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