本当はもっと愛されたかった
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嬉しいです!
見間違えなんかじゃない。
レイフォルド様がいた採掘場にも、似たような形状のモノが沢山あった。滅多に見ることができないから、しげしげと観察してしまったもの。
レイフォルド様は「掘り出した魔道具は国家遺産として、管理される」って言ってた。
そして近い未来、観光の目玉にするために博物館を建てて、魔道具を展示するって……。とてもワクワクしたのを覚えている。
「でも、どうしてこんなに……」
ご先祖様が魔術師だったレイフォルド様や、マリーの家にあるならまだしも、一般庶民の家に魔道具があるのは不自然よねぇ。
しかも、此処にある魔道具たちは、まるで今しがた発掘してきたばかりのように、埃まみれだ。
……なんだか、とても嫌な予感がするんだけど。
背後から足音が聞こえてきた。
母さんが追いかけてきたんだ。
「ねぇ、母さん。これって魔道……、っっ!!」
振りむこうとした時、背後から強い力で抑え込まれる。太い腕が、私の首を絞めるように回され、両腕を掴まれて身動きができない。く、苦しい。
なんとか首を傾げて振り向くと、そこにいたのは。
「と、——父さんっ!?」
髭面、血走った目で、私を見下ろしていたのは父さんだった。実の娘に乱暴をするなんて酷い親だ。
大切にされてないことは、とっくに分かってはいたけれど……。
「父さん、離してっ……、それに、この魔道具、どこから持ってきたの? まさか盗掘したんじゃ」
「うるさいっ!!」
怒った父さんが叫ぶ。うっ、酒臭い。
働き始めたと聞いて安心していたけど、どうやらお酒の量は変わらないみたいだ。
「カルナー、おまえを探していたんだ」
「えっ、なんで!?」
「おまえ、ミスリルライラの作者と知り合いなんだろ?」
「!!」
なんで知ってるの!?
……って叫びたくなるのを、どうにか堪えた。
だって父さんのことだ。ロクでもない事を考えてるに決まってる。
「し、知らないし。ミスリルライラなんて興味無いし……」
心にもないことを、私は口にした。
世界のミスリルライラの愛読者のみんな、ごめんなさいっ!
「とぼけるな。全部分かってるんだ。おまえがミスリルライラの作者と連んで、金儲けしてるんだろ?」
「そんなことしてないって! 父さんこそ、この魔道具たち盗品でしょっ!? それって犯罪だよ!!」
「うるさいっ!」
「っぐ……っ……」
思い切り首を絞められて、何も喋れなくなる。
息が苦しい。涙で視界がぼやけてきた。ずるずると足を引き摺りながら近付いてくる人影……。
母さんだ。母さん、助けて!
お願いだから父さんを止めて!
「カルナー、父さんの言うことを聞かないなんて、悪い娘だね」
「!!」
「さあ、悪い娘には、お仕置きが必要だねぇ」
口元に布のようなものが当てられる。
うっ、なにこれ臭い!
鼻まで覆われて、呼吸とともに私の身体のなかに染みこんでいく。気持ち悪い。頭が割れるように痛い。
……もう、だめ。
なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだろう。
普通、自分の子供にこんなコトする?
最低。最悪。毒親すぎる……。
もう愛情は求めないけど、けど……、本当は、もっと愛されたいと思ってたよ。
意識が薄れていき、つぎに目を開けた時には、私は見知らぬ場所に軟禁されていた。
お読み頂きまして、有難うございます。
短くて、すみません……。




