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魔法学園の異色眼(オッドアイ)  作者: 三日月ころね
9/11

Episode#7 課外学習(2)

多分課外学習は次でおしまいかと思います

「そ……そんなに強いんだ……」

ナルセでさえ、その風格と蒼汰の言葉に恐れを抱いている様子でドラゴンたちから離れる。

そのまま湖を通り抜け、しばらく森の上を飛んでいると急に開けた場所に出る。そこには白の鱗を持った一体のドラゴンがいた。

「あのドラゴンには近づいても大丈夫。丁度いいしここで休憩にするか!」

「わぁ〜!ドラゴンさん!」

蒼汰が先頭から叫ぶように言うと、ナルセが真っ先にドラゴンの方へ飛んで行く。

「やっと地上……」

華夜を含めた数人は、地上に降り立つと共に箒を放り出して芝生に寝転がる。

もみじはルナの箒から降りると、持っていた籠から焼き菓子を取り出す。

「みんな……よければ、これ……マドレーヌとクッキー…」

「えっ、食べる!」

「私も……」

ナルセは飛び跳ねながら、華夜はゾンビのように這いながらそれぞれがもみじの元に集まる。2人はもみじに手渡された菓子をひと口齧り、そして顔を輝かせる。

「ん…美味しい!」

「ホントね!めちゃくちゃ美味しいわ!」

言いながらすでに次の菓子に手を伸ばす2人を見て、周りからも人が集まる。

「オレにもちょーだい」

「私にも1個!」

「ボクも欲しい」

「マドレーヌ美味しそう」

口々に言いながら集まったクラスメイトにそれぞれ菓子を手渡し、自分もマドレーヌを手に取るともみじは幸せそうに笑っていた。

そのまましばらく談笑しながら小さなティーパーティーをしていたが、やがて蒼汰の呼び声で皆がまた箒に跨って一斉に飛び立つ。


やがて辿り着いたのは、王国で最も大きく美しいと言われる湖、シェレーナ湖だった。湖面は螺鈿細工のような光を湛え、時折魚が色鮮やかな鱗を水上に現しながら泳ぎまわっていた。

「わぁ……」

「綺麗ね、もみじ」

「うん…!」

もみじは目を輝かせ、華夜はそれを微笑ましく見つめていた。

「ここが目的地。よくドラゴンが来てるんだけど…今日はまだいないみたいだな」

蒼汰が周りを見回し、そう呟いた途端

「ガウウウウ…」

どこかから唸り声のような声が聞こえてくる。

周囲を見渡すと、もみじたちのさらに上空から濃い赤色の鱗を持ったドラゴンが舞い降りる。

ドラゴンは水辺に降り立つと湖の魚を捕らえ、そのまま喰らい付く。

「あれは……レッドスカイ?」

自信なさげに呟くもみじを見て、蒼汰は「よくできました」とでも言うように頷く。

「ああ。オレも何度か会ったことがあるがあれは割と温厚な個体だな。普通は羽ばたきの衝撃波で吹き飛ばされてるところだ」

冗談とも気づかず、その後数ヶ月はレッドスカイに怯え続けるもみじなのであった。

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