Episode#2 教師と初めての友達
先週はお休みしてしまい申し訳ありません。ここからは隔週ペースになりそうです(汗)
「まずは校舎を案内しますね」
自己紹介の直後、学園長に呼ばれた担任と思しき教師は開口一番にそう言うともみじの先を歩き始めた。
「え…ま、待って……」
追いつけず小走りになるもみじに気付いたのか、目の前を歩く教師は少し歩を緩める。
「時間がもったいないので歩きながら自己紹介をしますね。私はルナ・マリア。この学園で魔法及び魔法薬学を教えています。どうぞよろしく」
「あ、は、はい……よろしくおねがいします……」
「ふふ、そんなにかしこまらなくてもいいですよ」
緊張で硬くなるもみじを横目で見て、ルナと名乗った教師はふわりと笑みを浮かべる。
「はい……ありがとう、ございます…」
「ではまず、食堂へご案内しますね」
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「うゎぁ……広い……」
数分後、もみじはルナに案内されてたどり着いた食堂の広さに驚き目を丸くしていた。
「貴方の先生のおうちもこのくらいの大きさだと聞いていましたが……」
もみじの言葉に首を傾げるルナに、もみじは上を見過ぎて痛くなってしまった首をさすりながら答える。
「えっと……おうちは、そうです……一部屋はこんなに広くありません…」
「そうなのですね、それは失礼しました」
その答えにルナは二回頷き、笑みを浮かべる。
「もうすぐ昼食の時間なので、ここで待ちましょうか」
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「でさー、その後あいつ驚いちゃって」
「えー、やだー」
しばらく食堂にいたもみじの元に、ガヤガヤとした喧騒が聞こえて来る。
「来ましたね」
ルナはスッと教師の顔になり、食堂の入り口の方へ歩いて行くとその大きな扉を開け放つ。
「はいはいみなさーん、押さないで歩いて行ってくださいねー」
それと同時に様々な容姿の生徒が沢山見え、もみじは目を見開く。
「ここには初等部から高等部まで、1500を超える生徒がいるのですよ。ちなみに貴方が所属することになる高等部一年の生徒は200人弱になります。」
呆気に取られているもみじの元に戻ってきたルナがそう説明した。
「す、すごい……」
もみじはそう呟くと、脱力したように近くの椅子に座る。
「あれ、朝の転入生ちゃんだ」
しばらくして、座って水筒の水を飲んでいたもみじの元に1人の女生徒が近寄ってきた。
「え、えっと……確か、夜桜…さんでしたよね」
「華でいいわよ」
同じクラスの夜桜華夜だった。華夜はもみじの隣に座ると、ふたたび口を開く。
「改めて、私は夜桜華夜。よろしくね、もみじちゃん」
今まで友達もいなかったもみじに、初めて友達ができた瞬間であった。
ルナ及び華夜の情報、種族情報をEpisode#0-1 舞台・人物設定に追加しました