90/118
80小節目
「兄上、いえ、グラディアス殿下、
どうかエスファルディア行をお許し下さい」
「だめだ!」
「兄上!」
「ようやく夢魔の問題が片付き、やっと平和に暮らせるんだ!
これからお前には、私を支えてもらう。
誰がかわいい弟にみすみす危ない橋を渡らせたいと思うものか!」
「そうだそうだ!
ルルカの父親だって、ルリとの結婚を許してもらえなかつたから
駆け落ちするしかなかったんじゃねえか!
それに、刺客まで寄越しやがって!
あんなぶっそうな国に、かかわるんじゃねえ!」
グラディアスに加え、ライガードまでが猛反対する。
しかし、そこで、豊かな重低音の男性の声が割って入った。
「それは違うぞ、ライ。
刺客を放ったのは、夢魔に操られたものの仕業だ」
一同が声をした方を振り返り、思わず息を飲む。
「「「陛下…」」」
そう、そこには、この国の長が立っていたのである。
見知らぬ美丈夫の男を連れて。




