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70小節目
暖かさで、身体が包まれていく。
ひだまりの温もり。
かあさまの笑顔。
想い人の舞を見た時の魂のふるえ…
「ルッカ!」
思わずはねおき、貫かれたはずの我が身を確認する。
「なんともない…」
傷一つ、ない。
だが、貫かれた感覚は残っている。
そういえば、彼女は何か叫んでいたが…
ー何にも、覚えていない。
慌てて周りを見渡すと、横たわる二人の姿が目に入った。
「ルルカ、ロイ…」
ショックのため、フラフラと立ち上がり、二人のところへ向かう。
「ルッカ、ルッカ、俺のルッ…」
がくんとひざまずき、想い人のそばでぼう然とみつめたまま
涙だけが滝のように溢れ出ていった。
雫が地面に吸い込まれていく。
そうして、どのくらいたっただろう、
想い人の顔をじっと見つめるうち、ずっと秘めていた願いを実現しようと思った。
そっと頭を持ち上げる。
ーまだ、こんなに、温かい…
そして、彼女のくちびるに己のそれをそっとちかづけていく。
もう少しで触れ合いそうになった時…
ぱち。
ルルカが目を開けた。
グルグルグルキルキルキル〜。
固まったハルフォードが溶解する間、
ルルカのお腹はずっと泣きつづけるのだった。




