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6小節目
「そうか、リリアどのの代わりにハールの舞姫どのが同行することになったのか…」
領主館の応接室で、世継ぎの君は領主夫人から報告を受けていた。
「それでマルーカも一緒に王都へ行くんだね」
「はい。ルルカさんの側仕えとしてお勤めさせていただきます」
「ところで、私の可愛い弟はまだショックから立ち直れないのかい?」
想い人から受けたカウンターパンチが重すぎて、引きこもり坊主になってしまった弟を心配し
世継ぎの君はなかなか王都への帰還かできないでいたのである。
傷心の弟は、今、ここにはいない。
ーしばらく頭を冷やしてくる
と、書き置きを残して祖父の所へ出かけたままであった。
「大丈夫かな? 」
「大丈夫ですとも。風の一族の長がひっぱりだしに行きましたから!
ルルカさんの育ての親ですとも! うまくやってくださるでしょう」
半分期待、半分不安な兄上だったが、とりあえずルルカと合流して、王都へ帰還することとなった。