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53小節目
去っていく彼等の後ろ姿を見送り、ふーっとため息をつく。
「相変わらず身内には厳しいことよの…」
精霊王が(ずいぶん離れた)後ろから声をかける。
振り返らぬまま、月の精霊は言い捨てる。
「あなたには言われたくもないわ!」
「やれやれ、手厳しいのう〜
ルルーカはもっと優しかったというに…」
きっと精霊王ねめつけ、一言。
「おすわり‼」
「はい!」 「ワフン!」
月の精霊の前で、精霊王が正座する。
さっきまでぺしゃっていたしろわんこも、並んでおすわりする。
かみなりが落ちるのを今か今かと待っていたら、
落ちてきたのは、雫だった。
ふと見上げると、月の精霊がルルカの去った方を見つめたまま、
涙を流し続けているのだった。
ヒトの世界の礎となるべく、旅立って行った最愛の妹。
自分よりも愛するヒトを選んだことを許せずに、
見送りにも行かなかった愚かな姉。
私を許してね…
何度そのことばを口にしただろう。
だが、幾千の昼と夜を重ねても、届くことはなかったのである。




