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そこは、精霊の暮らす穏やかな世界。
ーあ、あたい、またご先祖様の夢の中にいるんだ
妹精霊は胸に短剣をにぎりしめ、目を閉じた。
そして、体から溢れ出た銀鈴の光が短剣に吸い込まれていく。
どのくらい時が過ぎたのだろう。
最後の光の残滓が吸い込まれて消えると同時に、
妹精霊のからだが傾く。
「大丈夫?」
駆け寄り支えてくれた姉に、そっと開いた眼差しで見上げると
瞳に映るのは、いつも限りない愛情を注いでくれた愛する我が半身の姿。
「…ずつと…そ、ば…に、いて、く」
「もう何も言わないで!お願いだから…
わかっているから」
未来の自分に精霊の力を託すため、持てる限りこの短剣に注ぎ込んだ。
残っているのは、愛するひとと生きるための時間を過ごすだけの力のみ。
「これ、を…おね、が…い」
託された短剣を受け取り、力強くうなずく。
「安心して!ちゃんと預かるから。
必ず、渡すわ!」
ふっと力が抜け、気を失った妹を抱きしめる。
溢れる涙が頬をつたい、己の衣を濡らしてゆく。
覚醒の条件はー




