32小節目
「それで、ルルカ嬢が精霊王殿を起こしたというわけなのですね」
「うむ、そのとおりじゃ、モグモグモグ」
マルーカの特製クッキーを頬張りながら、精霊王は語り続けた。
「わたしか寝ている間、夢魔は生まれ出ることはなかったはずだが、
どうやらこの世界の礎が弱まってしまったようじゃのう…」
「礎?この世界にそのようものが存在していたのですか?」
グラディアスが驚いて問うと、精霊王は答えた。
「礎、と言っても、見えるものではない。
みえなくても力となるものじゃ」
それを聞いて、ルルカが一言。
「精霊の力を継ぐもの、つまり、精霊の御使いのことさ」
ウムウムと頷きながら、精霊王は語り続けた。
「さすが、わが愛しき舞乙女じゃ!
いつでも嫁に来て良いぞ!
精霊界で面白おかしく暮らそうではないか!!」
爆弾発言をさらっとつげ、回りが一瞬空気を凍らせるなか、
当の本人は平気な顔で否定する。
「まだ寝ぼけてんの?
あたいはご先祖様じゃないっつーの!
それに、王都の美味しいもの、
まだ食べ尽くしてないんだかんね!」
それを聞いて、思わずハルフォードが尋ねた。
「ルッカ、もしかしてお前、食いもんのために
リリア殿の代わりを引き受けたのか?」
「大大大当たり~!!」
ーやっぱりな…
でも、あいつらしい…
ちょっと安心したのもつかの間、伏兵がいることに気づいていないハルフォードであった。




