28小節目
「辞退します!」
「却下!」
「兄上‼」
ハルフォードがいつになく声を荒げて叫ぶ。
「これ以上ルルカにどう接しろと言うのですか‼」
世継ぎの君は冷静に告げる。
「ハール、間違えるな!
ルルカ、ではなくて、リリアなのだよ、私の婚約者は」
「しかし!」
なおも食い下がる弟に、止めの一言。
「王命なんだよ、これは」
「!」
黙り込んだハルフォードに、グラディアスは諭すように告げる。
「以前、私は、夢魔に操られた者から命を狙われた過去があるから、
この件に介入できない。
それでは王族の責任が果たせない…
しかし、ハールならそれが出来る。
だからこその抜擢でもあるのだよ!」
むくれた弟は、ぼそっとつぶやく。
「王位継承権は放棄しましたよ!」
「それでも、私の弟である事実は変わらない。
それに、主神殿は王族の男子しか入れないんだ。」
それでも、納得のいかない弟は言い募る。
「兄上の警護はどうされるのですか?」
「大丈夫だよ!強力な助っ人を依頼してあるから」
衝立の影から、男が音もなく現れた。
「ヘタレぼうず、ルルカを守るって約束したはずだぞ!」
「なんで…」
ことばを失ったハールの前にあらわれたのは、ライガードその人であった。




