25小節目
「では、私はこのへんでおいとましよう!
さらばだ、皆のもの」
そういうと、精霊王はドロンと姿を消した。
「「「「「·······」」」」」
そこにいた一同があっけにとられ、しばらくフリーズ状態だった。
グルグルキルキルキル〜
それを打ち破ったのは、ハルフォードの腹の虫だった。
「フフッ、昔と変わんないんだねハリー!
マールおばさん、もう一人分追加しなきゃ!」
ーちゃんと覚えていてくれたんだ
すべて忘れたわけではなかったことに、ハルフォードは安堵した。
自分の想いを手放さずにいたことを後悔はしていないが、
前途多難であることは、重々承知している。
それでも、彼女の育ての親から託された以上、責任は果たすつもりであった。
そんな物思いを中断させる叫び声がした。
「ぎやえええ〜な、な、な、」
慌てて声がした食堂に駆けつけると、消えたはずの精霊王が食卓の上の
ご馳走をモグモグ食べているところだった。
「ふまひほ、むなもはへるかほひ」
(うまいぞ!皆も食べるがよい!)
しかし食卓の上にもうほとんど料理は残っていなかった。
「くすんくすんくすんくすん…」
「泣いてもだめ‼
ちゃっちゃっと料理する!!」
鬼の形相でマルーカ様にしかられながら、精霊王はみんなの食事を作る手伝いをさせられた。
ー兄上からきいていたが、マルーカ様、マジこえええ〜
絶対おこらせるのはやめようと、心に誓うハルフォードだった。




