15小節目
それは、眠り続けていた時の記憶ー
ーさあさあ、歌っておくれ!
我が舞姫!
ーリオ様、わたくし暇ではないのですよ…
それに、歌なら、姉さまのほうが上手ですのに。
ー嫌だ!
あれは怖い!
一回だけ、一回だけでいいんだ、さあ、聴かせて遅れ!
ー仕方ありませんね、一回だけですよ
精霊界を統べる我等が王の頼みとあれば、優しい妹精霊が断れないのを承知で
いつもおねだりしていた。
お気に入りの腰掛けにゆったり座り、奏でられる音の葉でしばしの癒しを得る。
個性豊かな精霊たちは、結構厄介ごとを引き起こす。
それが、ひとの世界に影響を与えかねない事案もあり、
王の出番は結構頻繁だった。
ーひとの世界に強固な礎が出来れば、わたしの出番もへるのにな…
まさか、それを彼女が担うことになるとは!
出立の朝、別れを告げに来た彼女に願ったのは、
いつもの詩を奏でること。
ー仕方ありませんね、では、一度だけ…
そう言って、音の葉に包まれながら願った。
ーもう、大丈夫だ。
もう、すべてがどうでもいい。
彼女のいない世界など、色を失ってしまうのだから…
このまま眠りつづけよう…
そして、意識を手放した。




