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「何故その名を?!
俺は王位継承権はとっくの昔に返上したはずだぞ!」
この国において、名字をなのれるのは、
王族と領主のみ。
それを今更名字があるのは、ハルフォードにとっても戸惑いを隠せない事実であった。
使者が考える風の顔をして、答える。
「そうですね…
王族として行動すれば、強制力もありましょう!
ただ、それを証明できるものがあればの話ですが」
「これを預かってきた、
なくすなよ!」
ハルフォードの方にぽーんと放り投げると、
慌てて受け取った。
「何すんだいきなり!
あぶねえだろ‼」
そう言って手渡されたものを見て、息をのむ。
それは、銀鈴色に輝く一粒の宝石がついた指輪だった。
「まあ、懐かしい!
"精霊の涙"ですわね」
ルルーカレツィアが懐かしそうにつげる。
「精霊?涙?なんじゃそりゃ?」
「この国の秘宝だ!バカヤロー!!」
ライガードが思わず声を荒げる。
「この国の王族しかはめることのできない指輪だ。
いいからはめてみろ!」
言われるままはめると、それは指にしっくりなじんだ。
まるで、あつらえたかのように。




