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97小節目
ーまた、やってしまった…
はらはらとなみだをこぼす妹を前にして、
リーリアローズは後悔の念にとらわれる。
ーどうして、毒舌ばかり吐くのか?
そうして自分を自分の毒で染めていくと、
心がそのうち麻痺して何も感じない
冷たい女性になってしまうぞ…
そう言い残し、あのひとは去っていった。
ー吐きたくて、吐いているわけではないのに!
ただ、あなたに…
ふと、遠い遠い記憶を思い出して
苦い気持ちにとらわれる。
その時、ふっと横を通り過ぎる者があった。
それは、妹をぎゅっと抱きしめ言葉をかけた。
「ルルーカレツィア様、ミスカさんがお茶を
入れてくれました。
さあ、参りましょう」
そうしてルルーカレツィアをうながし、
連れて行く。
己の傍らを通るとき、そっとつぶやかれた。
「言葉の毒ほど、心を砕く毒はないぞ」
「まっ…」
去っていく背中をただおいかけるだけで、
何もできずにいる愚かな自分が取り残されていくのだった。




