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5幕:人形使いは人形になる 上

 

 5体の人形たちのおかげでコボルターどもは攻めあぐねていた。


 そりゃそうさ。


 僕の魔力の大半を込めた防御重視の人形たちだ。

 それも石や土を混ぜタフさをあげている。


 おまけに少し壊れたとしてもすぐに僕の能力で修復できるんだ。


 それに僕は5体をただ作っただけじゃない、、、盾、囮になってもらうために作ったんだ。

 盾として囮として人形たちが立ちふさがるせいで僕たちは狙えない。

 僕の狙い通りコボルターたちの動きが単調になっていた。


 僕はその隙を横から隙間からショートソードを突き入れ四肢の関節や致命傷になる部位に的確にダメージを与えていく。つまり今は時間が経てば経つほど僕が有利になる状況だ。



「「「「ガググフウグガググアウtーー!!」」」」


 ついに痺れを切らしたのだろうか、、、10匹が一斉に突っ込んできた!!

 だがそれは想定内だ。


 コボルターたちが力づくで人形たちを倒そうとしている。

 だが立ちふさがる人形たちと力比べになったあいつらは隙だらけだ。


 そしてその隙を逃すほど僕はお人好しじゃないっ!!


 再び魔力を地面に込め10組の両腕を地面から生やした。

 その両腕がコボルターの両足を強力な力で掴み地面に無理やり引きずり込んでいく。


 そして上半身は人形たちが大きな腕を使ってまとめて抵抗できないように拘束していった。

 これぞ『人形固めの術』


 ーーもちろん仮名だ。


 あとはトドメを刺す作業だけだ。


 10匹全員の喉と急所にショートソードを突き入れトドメを刺していった。


 僕の記念すべきコボルター討伐day。

 記念にこの人形たちを『囮人形』と名付けよう。


 それから手たちは『沼人形』とでも名付けようか。

 もちろん仮名だとも。


 後で格好良い名前を考えるつもりなんだから。

 あとは必殺技の名前をどうするか。

 これは後でギルドのお姉さんたちに相談してみよう。


 僕が必死に必殺技にすべきか名前だけに留めるべきか考えていた時、囮人形3体が瞬時に崩れ去った。


「何が!?」


 瞬間、目の前に出現した特異色のコボルター。

 その凶悪な牙と爪が僕の視界の目の前に!?


 僕はこの時、死んだと思ったんだ。


 でも違った。

 首が飛んだのはその目の前のコボルターだった。


「あ~ら~シュガールちゃんまだまだねぇ。いけないわよぉ~ちゃんと残心しとかなくちゃ傷物にされるんだからねぇ~」


 そこには物騒なほど大きなバトルアックスを抱きかかえた元男の乙女が立っていた。そしてそのごつい肩によじ登っている大切な人形の姿が見えた。


「ボーンおいで!!」


 傍の化物を無視し、大切な仲間に両手を広げ力一杯迎える。

 さすが僕の大切な相棒たちだった。


 しかし僕の胸にとんでもない質量をもった筋肉が飛びかかってきたんだ。


「違う、お前じゃない!!」

「あ~ら~シュガールちゃん命を救った私にご褒美だなんてぇ~嬉しいわ~。でも無理はダメよぉ~。魔力欠乏もおこしてるみたいだし、このまま私が町まで連れていってあげるわ~」


「ぐがhががががっ!?」(あまりの力のため誰かが漏らす音、、、)


 じゅるりと音が聞こえたような気がするが僕は少しも抵抗できなかった。


「あ~~っ天国よぉ~」


 肉と肉との抱擁による強烈な鬩ぎ合い。

 食べられる!?

 必死の行動を取ろうとした僕は時を止められた人形のようにそのまま動きを拘束され熱く抱きしめられた。

 何が天国だ、、、僕は、、、僕は、、、地獄だ。


 そして目の前に迫る分厚い唇、、、だがそれだけは二度とさせるもんか!?

 必死の攻防中、なぜか僕の前から全ての光が消え去った。



 生まれ変わったら僕は綺麗なお姉さんにもっと優しくされるんだ、、、






 筋肉乙女(○´З`)○:シュガールちゅわぁぁん


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