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25幕:人形使いはダンジョンに挑戦する 下

 

 緑色の魔力を帯びた白銀剣を横殴りに一閃。

 そして地面に手を翳しながら罠を仕掛ける。


 そうさ僕は最前列でスカルたちの猛攻を凌いでいるんだ。


 迷宮内の通路には違いないだろう場所でも、僕たちがいる場所は砂が動き室内の大きさが常に変化している。つまりスカルの大群が襲ってきても大丈夫なほどの広さがいつの間にか出来上がっていたんだ。


 そんな室内のフィールドの動きを見て獣人の美少女ケモミが声を張り上げた。


「これが迷宮の意思ですぅ。その気になれば簡単に状況すら変化できるんですよぉ。だから絶対に一人で突出しないようにですぅ!!」


「「了解!!」」


 つまり下手をしたら一人きりの状況で迷宮内に飲み込まれるということだろうか。

 そんな一人プレイ、、、僕は望んじゃいないんだ。


 せめて僕とグリンティアだけの二人だけで、、、


 先輩たち三人は連携しながら、グリンティアはケモミとホットル、コルドルと立ち位置を変えながら、そして僕はハニー、ボーン、ウィッシュたちとお互いをカバーしながら骨となった死人たちを相手取っていたんだ。


 人型から獣型、もしくはその混合型。

 中にはどう見ても元生物らしからぬ形のものもあるし、複数本なんて異業種も混じっている。スカルって名前はその大枠の名前を捉えただけで実際はスカルドラゴンやスカルベアーなんて元の生物に応じて名前が変わるんだけど、こんなにスカルたちだらけだとそんなこと気にしていられない。幸いなことにこの場にレイスやゴーストといった霊体系の魔物、ゾンビ系、ほかの上位種といったアンデッド系は出没していない。


 ただ元がどんな生物だろうと魔物は核を壊すか、急所を潰せば事足りるしね。

 スカルの場合はだいたい肢体の中心、それも重用機関だった部位の近くにあることが多い。人型の場合は首か、心臓の近くがほとんどだ。


 あとはその部位を破壊するだけなんだけど、、、、硬い。


 風属性の魔法剣を構えながら急所に向けて穿つこと数度。

 硬く鈍い音を立てながらも崩れ去る数よりも迫りくる数の方が多い。

 多すぎるんだ。


 あのロックゴーレムよりも硬い骨の厄介さ、魔法剣でも簡単にはいけないし、この数を考えると僕じゃ相性が悪い。


 でも、、、、問題はない!!


 僕が剣を振り抜き大きな隙を見せる度に、ハニー、ボーン、ウィッシュたちが立て続きにその致命的な隙を埋めてくれている。だから僕はその隙の間に切り札を仕込んでいる。


 それに僕は一人じゃない。


「コルドル!!ケモミ!!」


「任せよっ!!四天童子が緑の如し気高く唸るは風の叫び、、、大風刃!!」

「さぁケモミちゃん特製行きますよぉ、、、聖属性増幅!!(ホーリィブースター)」


【ブレイブサイズ!!】


 二人の合わせ技が片っ端から炸裂しスカルたちを蹴散らしていく。

 聖属性を帯びた極太の風の刃の範囲は凄まじいんだ。


 そして僅か数発でスカルたちのほとんどが地面のあちこちでバラバラの状態だ。


 その呪文の餌食にならなくても、群れから浮いたスカルたちの結末は変わらない。ホットルの聖属性剣が、先輩たちの巧みな連携技が、グリンティアの洗練された鞭が合間を這うように急所を捉えている。もう僕の仕事は、、、


「油断するには早いですぅ大物が来ますよぉ!!」


 残されたスカルどもの数に優勢を確信した直後、迷宮砂の動きが激変、何かが這い出てこようしていた。あれは、、、人の手?そうだ人間の手のひらだったんだ。その大きさだけで人間一人くらい。


 つまり全長はとんでもない大きさに違いない。


 僕は咄嗟に後ろに飛びながら白銀剣と共に両手を地につけ魔力を燃え上がらせたんだ。

 這いずり出た上半身だけで馬鹿でかいスカルをこれ以上、放置はできない。だから僕はその場で釘付けにさせたんだ。


 どうやったって?


 忘れたのかい?

 僕は魔法が使えない、魔術が使えない。

 でも僕だけの力があるんだ。


 そうさ思い出したかい?

 僕の力を。人形に纏わる能力をさ。


【人形化!!】


 意思がある極太の砂の手が巨大な魔物に纏わりついていく。

 いくら大きかろうが、さらに巨大な砂の手の方が密度も質量も上なんだ。

 そして僕たちの手の届く範囲に間違いなくその急所があるんだ。


 だから僕は当たり前のように口にした。


「グリンティア」


 僕が声を掛けるまでもなく、彼女はすでに準備していたんだ。

 そして彼女はその場で激しく舞っている。


 優雅に可憐に、、、でも荒々しく猛々しい。

 全てを兼ね備えた彼女だけの秘技。


 その美しく細い腕に白く輝く白銀の獲物を添えてね。


 唸る白銀色の鞭、その先端が魔力を帯びより一層に白く輝いていく。

 さらに神秘的な雰囲気を纏う魔力が乗っかり凝縮されていく。


 きっとケモミの聖属性の呪文が添えられたんだろう。

 ニコリと微笑む彼女のアイコンタクトがその通りだと言わんばかりに、タイミング良く向けられたんだ。


 そしてグリンティアは盛えた飲み屋の踊り子のように激しく舞い踊り続ける。唸らせた鞭の高鳴りはどれだけの力が込められているのだろうか。踊れば踊るほど、唸らせれば唸らせるほど、その力は凝縮されていく。そこに本人の魔力、そしてケモミの属性呪文の力が重ねられていく。


 あの鞭の先端はすでに目では追えやしない。


 彼女が王国の屋敷の特訓で死に物狂いで習得した魔鞭術。

 僕が彼女に何度も頼み込んで拒否され続ける気高き至高の鞭捌き。


【バーレセグダーラ!!】


 一点に凝縮された至高の一撃は巨大なスカルを跡形もなく消し去ったんだ。




シュガール(๑• ̀д•́ ):グリンティアがあの鞭で打ってくれないんだ。




スカル:骨となったアンデッド。人から獣、ほか色々。

巨大スカル:スカルの強大な集合体。

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