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21幕:人形使いは女神の椅子になる 上

 

 僕は困っていたんだ。

 この幻想的な世界の中では場違いな気がして冷や汗が止まらない。

 眼に映る光景は何もかもが天上の世界なんだ。


 繰り返すが、、、目の前に映る光景は天上の世界に違いないんだ。





 案内された場で僕は周囲を見渡した。


 幻想的な神殿の中で、その刻まれた紋様の周囲に刻まれる刻印は一際輝きに満ちている。

 空から差し込む何重もの光の線がとある一点だけを照らしているんだ。


 決して薄暗いわけじゃない。いやむしろ神々しく、、、とても神秘的なんだ。

 今、光が入り乱れ様々な色を見せてくれるこの場こそが女神様との顔合わせに使われるという重大な祭儀の場だ。そこでは奇跡のように数々の調度品や魔石灯の石部分を経由しその一点に集められた光が、その位置に刻まれた紋様と重なり宙に浮かび上がっている。


 もちろんこの国のシンボルでありこの国の至る所に刻まれたマークだ。


 見たことがない文字と紋様や刻印の洗練されたデザイン。

 本当にセンスがいいと一人で頷いたんだ。


 将来、僕が偉大な男になった暁には僕の装備品にもあんなシャレたものを刻み込もうと決意したくなるほどだ。僕の実家にも、パトが住んでいた屋敷や王国の城にもそれぞれに決まったレリーフが飾られていたことを思い出す。きっとあれが勝者の証なんだろうと僕は悟ったんだ。


 それから半刻ほどだろうか。


 僕たちの目の前に現れたのは一人の美しいご婦人だった。

 淡い緑色に近い髪、垂れ目のオッドアイの瞳に白い肌。

 薄く水色のような衣装を纏った衣装は彼女が高位の階位であることを物語っている。

 差し込む光のためか肢体のラインが浮き彫りになっており彼女が妖艶なものをお持ちであることをう規模にしていたんだ。


 大きい。

 すごく大きい。


 こんなにグラマラスな方に出会ったのは初めてなんだ。パトの姉君である魅惑な第一王女様もここまで大きくはなかったはずだ。え?筋肉でできた乙女?彼女の胸は大きいけど違うんだ。固いだけなんだ。


 だから僕は咄嗟に目を伏せた。

 分かっているさ、、、、グリンティアの纏う空気がさっきからドス黒いものに変わっていることぐらい。彼女だって年齢や体格の割にはすごく良いものをお持ちなんだ。だけどそれは目の前の大人の体格をした彼女と比較したら流石に、、、この話は止そう。


 僕たちは膝をつき敬礼した。

 身分違いの人間とお会いする時はこれが一番無難なやり方だからね。

 先輩たちは相変わらず固まったままで今だにぎこちないんだけど、僕の仲間たちは違うんだ。

 ホットルとコルドルの所作はその名前に恥じぬ誰よりも流暢な動きだ。グリンティアも女性らしい佇まいで所作がとても洗練されている。


 さすがは僕の相棒たちだ。


 ただパトだけは違う挨拶を交わしているが、こういうところで僕たちと彼女の身分の違いが改めて分かるんだよね。


「ようこそおいでくださいましたリドアナ王国第三王女パトレシア殿下。ならびにその従者様方」(ティブラ)

「お会いでき光栄でございますティブラ教皇様」(パト)

「さて早速、例の件でございますが、、、、」(ティブラ)


 何て腰の低い方なんだろうか。

 この方が神聖国の代表にして最高位の方であり、うちのパトとは違う本物の御仁。

 見目麗しいお姿はまさに天上のお方なんだ。


 僕はどうせならあの人の部下になりたかった。

 イヤ、今からでも遅くはないと思うんだ。

 あんなグラマラスな人の命令なら僕は自らこの身を投げ売って、、、


 そんなことを僕が考えていると、、、


「ん?奴隷が何か変なことを考えている」(パト)

「奇遇ね、、、私もそう感じたわ。いえ私もそう感じますわ」(グリンティア)


「、、、あらヤダ、私ったらいけないわ、、、」(ティブラ)


 パトにグリンティア、、、どうして君達はそんなに感が鋭いんだい?


 不味いな、、、教皇様は気分を害されたのだろうか。

 ん?グリンティアを一瞬、注視されたような気がしたけど、、、すぐに少し慌てたように困った顔を浮かべなさったんだ。


「失礼しました、、、この言葉遣いですと窮屈でございますね。たった今から無礼講ということでよろしいでしょうか?」(ティブラ)

「ん。問題ない」(パト)

「問題ないですぞー」(引きこもり)

「君たちはいつもだよね!?それから君はいきなり部屋からしゃしゃり出てくるなよ!!」(シュガール)

「では改めまして、、、、」(ティブラ)

「「「ちょりーす!!!ティブラ教皇様にイケたご挨拶うっ!!!」」」(先輩方)

「ちょ、先輩たちはマジはっちゃけ過ぎです!!」(シュガール)

「ちょ、ちょりーす、、、」(恥ずかしげなティブラ様)


「ちょっ!?教皇様めちゃめちゃ可愛いんですけどぉ!?」(先輩方1)

「マジちょーエモいんですけどぉ!!」(先輩方2)

「マジヤバい!!マジ可愛すぎるっていうかぁヤバくない!!」(先輩方3)


「ティブラ様も付き合わなくても大丈夫ですから」(シュガール)

「いえ私もたまには、、、マジ空気抜きたいというかぁチョー遊びたい年頃っていうかぁ」(ティブラ)

「ん。これでチャラ語検定3級は合格」(パト)

「いやそんなのないよね!!」(シュガール))

「ほんとマジパないわね、、、」(グリンティア)

「ん。召使いはチャラ語検定3級は不合格」(パト)


 別空間となっていた空気はたった今、無茶苦茶になったんだ。

 何て恐ろしいことだろうか。

 この場にお付きの方がいなかっただけでも幸いなことだったと思うんだ。


 僕が心から安堵していると、、、少し顔を赤らめたティブラ様はふと僕の横の二人に視線を泳がせたんだ。


 そうホットルとコルドルに。


 だから僕は新たな仲間たちを召喚したんだ。

 ハニーにボーンにウィッシュ。


 僕と目配せをすると三匹はティブラ様の元へともふんと飛び込んだ。

 くっ、、、あの役は僕がやりたかったんだが仕方ない。


 接待は接待は重要なんだ。


 幸せそうな顔を浮かべる教皇様を見て僕はこう思ったんだ。



 夜の町の経験も活かせるもんなんだなって。





ぬいぐるみたちにご満悦のティブラ教皇:(*´∀`*)フヘヘ マジカワイイッテイウカー


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