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19幕:人形使いは神聖国に行く 下

 



 僕は自分の直感を信じている。

 だからあそこへは行く必要がない。

 行くべきではないんだ。

 だから僕はグリンティアの手を取り別の方角へと足を進めた。

 時折聞こえる笑い声はうちの引きこもった人間が放つ声とそっくりだが気のせいだ。


 幸いにも僕にはうちのパトから貰った金貨の小袋がある。

 これはお駄賃であり、迷惑料でもある。

 所詮は人のお金、僕が好き勝手に使う泡銭なんだ。

 だからこれは良い機会でもある。


「グリンティア、、、これは最高のチャンスじゃないかい?」(シュガール)

「そうね今ならいけるわ」(シュガール)


 人気もないルーレットの方へと足を運んだ。

 赤と黒のレーンに数字が刻まれている。

 赤色か黒色か数字、その組み合わせに応じてレートが変わる遊戯だ。


 ディーラーは犬の獣人の紳士だった。

 中々手強そうな人物だ。

 大きな垂れ耳に視線がチラつくが仕方ない。

 彼らのケモミミはそれほどの力がある。


 バニーのお姉さんの胸元やドレス姿のグリンティア際どい所や首筋なんかと同じなんだ。

 あそこは神が定めし未知の領域。

 今はこっそりと見ているだけだけど、僕もあの際どい箇所へ手を添えたい。


 こっそりと僕が眺めていると彼女にはバレてしまったらしい。


「シュガール蹴られたい?」


 蔑んだ視線を送る彼女の視線は僕の大好物だ。

 美少女であるグリンティアに足蹴にされるのもいいかもしれない。

 傷ひとつなく綺麗で洗練された脚線美が僕を誘惑し続ける、その肢体を上から下まで頬ずりしたくなる。どうせなら蹴られてもいい。


 しかしそれは悪手だ。


「グリンティアが魅力的過ぎるからいけないんだ」(シュガール)

「シュガール、、、私の目を正直に見て。疚しいこと考えてたでしょ?」(グリンティア)

「、、、、」(シュガール)

「、、、、」(グリンティア)

「、、、、」(シュガール)

「ごめんね、、、なんかすごく恥ずかしい」(グリンティア)

「ごめん僕も悪かった」(シュガール)


 お互いに真っ赤になりながら顔を背けてしまった。

 結局、変な空気を誤魔化すように二人はルーレットに興じることになった。


 それから数十分後、僕たちのチップは山のように膨れ上がった。

 テーブルに積まれた金貨は僕の背よりも大きく積まれている。

 1枚1枚のレートを考えるだけで僕の手が震える。


 だってこれを換金するだけで大金持ちじゃないか。

 それなりの貴族の家の出身だったし子供の頃からそれなりの生活を送ることができた。

 でも僕はわがままひとつ言えない立場だった。

 僕は家の中では触ってはいけない人間だったんだ。


 15になり家から追い出された今、僕にとっては金と女と名声こそが成功の証なんだ。


 ここでお金を手に入れれば、残すは名声だけだ。冒険者稼業を続ける限り名声なんて後から死ぬほどついてくるだろう。だからこれで僕はグリンティアと好きに生きれるんだ。


 そんな天国への階段へと突き進む僕に別の獣人の紳士が近づいてきた。

 ディーラーとは違う衣装を纏った猫耳の彼はすれ違い様にこんな言葉を囁いたんだ。


「お客様もしよろしければVIpルームにて極上の遊戯がございますが、いかがでしょうか?」


 こっそりと耳打ちされたさらなる遊戯へのお誘い。

 これはきっと特別限定の裏カジノへの招待だろう。世の中には表と裏があり一般人は表舞台で生きるしかない。でもそんな一般人でもこうやって裏の世界へと足を運ぶ機会が到来することがある。


 きっとこれはそんな世界へ渡る絶好のタイミングなんだ。


 どう考えてもハイリスクハイリターンの世界。きっとものすごいレートでの遊戯になるんだろう。

 そしてこれは警告でもある。これ以上のカジノでの活躍は弁えろ、そしてこれ以上を望むのならば場所を変えろとね。そんなこと毎度毎度、パトに付き合わされる僕が気づかない訳がない。ただ闇の裏世界に足を運び、そこだけに存在するという優美な蜜を舐めてしまえば、もう元には戻れないとも聞く。


 だから僕はこう答えることにした。


「ん。受けて立つ」(パト)


 背中が凍るような一撃が僕を襲ったんだ。

 だから僕は最大限にドヤ顔を浮かべる小さな魔王に向けて精一杯吠えるんだ。


「冗談じゃない。これで僕は念願のマイホームを他国に買って隠居するんだ。NOだ」(シュガール)

「ん。問題ない。奴隷はずーっと使役する予定、王国に犬小屋を買ってやるべき」(パト)

「断る。僕の犬小屋は僕のものなんだ」(シュガール)

「シュガール犬小屋は流石に小さわ」(グリンティア)


「ん。このチップの持主は誰のもの?」(パト)

「くっ、、、君のだよ」(シュガール)

「ん。ならよろしい」(パト)

「シュガール、、、仕方ないわ。ちびっ子の好きにやらせましょ」(グリンティア)

「でも、、、」(シュガール)


 ーこっそりとー


【大丈夫。さっき私が稼いだ分はもう換金してペンダントに貯蓄してあるから】(グリンティア)

【いつのまに?かなりの金額だったはずなのに】(シュガール)

【シュガール何か言うことは?】(グリンティア)

【グリンティア、君は本当にいい女だよ】(シュガール)

【それだけ?って言いたいところだけど、今はそれで許して上げる】(ウィンクするグリンティア)


 ウィンクする彼女に内心悶えながら僕とグリンティアが内密に話を進めていると小さな王女が高らかに宣言した。その姿はまさに魔王だ。


 君、他国の裏カジノなのに遠慮する気全くないよね。


「ん。ここのカジノをいただく」(パト)


 一体、彼女は何を考えているのか。

 僕たちはこの地でこの旅の最大の災いとなるだろう『人形化したバケモノ』をどうにかしようと思ってやってきた。あの未知の生物をどうにかしないと今後の甘いハネムーンを穏やかに過ごそうにも安息には過ごせないじゃないか。でもパトは下町で同じように根を張り情報収集から何からは他人任せ。その内心を見せることはない。


 だから僕は彼女の真意を訪ねることにしたんだ。


「君は何を企んでるんだい?」


 ニヤリと笑みを浮かべる彼女の顔はまさに何かを企んでいる時の顔だ。それもかなり悪い時の顔なんだ。


「ん。私はこのカジノの神になる」


 そんな風に答える彼女の瞳は何だかいつもより輝いていたような気がしたんだ。






ホットル、コルドル(๑• ̀д•́ (๑• ̀д•́ )✧:主人よ、、、スロットのコインが止まらんっ!!


恐れ入りますが、、、、シュガールとグリンティアの逃避行が気になる方、パトの変わらなさにほっこりされたい方、もしよろしければ評価やブックマーク等いただけると嬉しいです。




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