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0幕:プロローグ

 


「ん!!」

「はいはいケーキお待たせいたしましたー」


「めし!!」

「はいはいもう少し時間くださいー」


「ちょっとぉ!!」

「はいはい今日は肩が凝ってますねー」



 僕は急いで買ってきたパックの包みを開けイチガのショートケーキを取り出し皿に盛り付ける。とても濃厚で美味しい生クリームがたっぷり、巷で大人気のスィーツだ。最近開店したというスィーツ店の売上NO.1である。とびきり大きなイチガの甘酸っぱさと濃厚な生クリームとふわふわのスポンジケーキとのコントラストが食通を唸らせているそうだ。そして少し甘めの紅茶にミルクを入れて小さなフォークを添えてから幼女の前に差し出した。

 これでしばらくは静かになることだろう。


 次は遅めの昼ランチを火の魔石のコンロから取り出した。

 彼はいつも寝坊癖があり食事の時間が違うのでこうして一度調理したものを再度温めてからお盆に乗せ部屋のドアの前に置いておく。

 ちゃんとドア越しに声をかけ、決して中を覗くことはない。ドアノブを動かそうものなら大変なことになる。臭いものには蓋をするに限る。そして腫れものには触らないべきだ。

 そう引き篭った彼にはこれが一番なのだ。

 ちなみに今日は先日に港町のシステラで買ってきた魚の干物を使った田舎料理だ。

 ほぐした干物とオオガの葉っぱとを混ぜたサラダパスタである。

 それからチキンスープにショートケーキを添えている。


 残りはこの美少女のマッサージである。

 頭から足にかけて少しずつ筋肉をほぐしていく。手取り足取り際どいところまで。

 どうやら今日は一段と肩こりがひどいようだ。

 しかし仕方ない。何せ彼女の抱えるものは素晴らしいものである。

 マッサージ中に際どいところまでしか触ることはできないが目の保養だけにはなる。

 ご主人様としてはそのうち胸部の豊かな二つの膨らみも後ろからマッサージしてあげる予定である。

 まぁとにかく今日は指圧から始め様々な手技を使い筋肉を少しずつほぐしていくのだ。


 そんな時だった。


「ん!!おかわり!!」

「まずい作り直せ!!」

「ちょっとぉ!!私のショートはまだぁ?」


 人の苦労を顧み見ない三人に僕の堪忍袋はブチ切れそうである。

 だから僕は声を荒げた。


「ちょっと君たち人形の癖にご主人様をこき使いすぎだろ!!」


 僕は主人である。

 ご主人様である。

 そして僕は人形使いである。


 それも凄腕だ。


 つまりこの三人よりも立場が上なのだ。


「「「シュガール!!!」」」


 響き渡る罵声と怒声に僕は泣きそうだった。


 本当に人使いが荒い。

 毎日が地獄だ。

 毎日が幼女に引きこもりにバックラーに顎で使われる日々。

 このままでは僕の将来は危うい。

 未来が見えないのだ。


 一生奴隷の日々が続くのだ、、、、、、

 どうしてこうなったのだろうか!?


 本当にどうしてこうなっただろうか!?




 だから僕は思い出した。

 本当の人形師になった時、素晴らしい人生を送るのだと誓ったあの夢のような日々を。


 そして心に決めたのだ。

 新しい人形を探すことに決めたあの日々を。


 自分を甘えさせてくれる可愛らしい幼女。

 自分を虜にさせてくれる可憐な美少女。

 自分をダメにさせてくれる素敵な美女


 全てはそのためなのだ。



「「「シュガール!!!」」」

「ただいま!!」


 再度の罵声に僕は思い直した。

 これではあの時のあの嫌な幼少期がまだマシだ。

 あの頃は自由だった。


 もしもう一度過去に戻れるのならばあそこからやり直したい。



「「「遅い!!!」」

「はい!!今すぐ!!」


 だから何度も聞く罵声を前に僕は昔を思い出すことにした。


 あの全ての元凶の始まりの始まりを、、、、、


恐れ入りますが、、、、主人公の明るい未来を見たい方、もしくは顎で使われる未来を見たい方、もしよろしければ評価やブックマーク等いただけると嬉しいです。

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