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10.5幕:とある組織の男は動き出す

別視点になります。

 

 シュガールたちが騎士団との緊迫した時間を過ごして間も無く男は苦い顔をしながら深く息を吸った。


 深い森林の中から、白づくめの武具に身を包まれた一団から数人が部隊を離れた。

 部下に指示を出した男は取り急ぎ幹部テントへと足を運んだ。


「間者を放ちましたが、あれで良かったのでしょうか?」

「あぁご苦労。あのまま泳がせておけ」

「しかし、、、」

「全ての責は私が受ける。もし事が大きくなった場合は私に家族を人質に取られ脅されていたことにしろ。無論団長には伏せておけ」

「それでは隊長が!?」

「間違いなく第3王女は生きている。そして奴はその手がかりとなるはずだ」

「隊長得意の感ですか?そんなにあの人形は第3王女様にそっくりだったのですか?」

「あれは精巧すぎる、、、まるで行き写しだ」


 彼の胸を察した男はそのまま口を閉じ胸に左手を掲げ騎士団特有の辞宜を行うとその場を後にした。


 北の帝国、西の連邦国家や共和国、東の皇国や公国などなど様々な国はあれどこの大陸の覇者は今も昔も変わらない。大陸中央にして最強であり覇者であるこの王国は一片の揺らぎもないはずだった。

 それほどの栄華を極めていたのだ。


 あのお方の力によって。


 だがそれも先日までの話である。

 王国の長であるあのお方が流行病にて急遽ご逝去されたのだ。

 そして引き起こされたのは醜い跡目争いの数々。

 まだ殺された者がいないとはいえ時間の問題である。


 すでに謀殺、毒殺、虐殺の兆候がこの王国騎士団の下っ端にも噂として聞こえている。そして実際にどこぞの部隊がすでに動き出したという情報も届いている。

 特に第3王女に至っては別口から刺客を放ったとの話も舞い込んでいた。


 時期国王最有力候補の第一王子行方不明の中、王室は城内だけに止まらず王国議会、そして事務方、、、つまり貴族の連中にもその余波は届いていることだろう。


 このままではあの偉人の血が次々と失われてしまうだろう。それだけではない。国が割れ人々が死に荒廃していくことは火を見るより明らかである。


 そしてこの隙を絶対に北の帝国が逃すはずがない。

 末端にまで噂が耳に入るくらいだ。

 間違いなく帝国諜報部も情報は掴んでいるに違いない。

 かの国の性質上間違いなく戦線を開くはずだろう。


 そうなれば周辺諸国を交えた大戦に発展は避けられない。


 このままでは国民の血が領土が維持されてきた平和がなくなってしまうのだ。

 あの栄華を極めたという魔導大国アトラティアみたいに全てを失うかもしれないのである。

 これは我が王国といえど例外はないことであり、そして王国だけの問題だけではない。


 国の長が無くなるとはそれほどのことである。


 だからこその災いの種は今のうちに消さねばならない。

 男は拳を握り再度決心する。


 第3王女。

 血の繋がりが重要視される王族内で一番の穢れ者であり危険人物だということはすでに誰もが認知している。

 元奴隷の妾の娘とかの偉人との間に生まれた不祥の子。

 やはり汚れた血の一族の子などを迎えるべきではなかったのである。

 ただの平民の身分の子供ならばこんな大問題にならなかっただろう。

 それがかの血を継ぎし子ではなかったならばこんな疑いをかけられることはなかっただろう。


 娘と同じ年頃の御仁だが背に腹は変えられない。


 全ては王国のため平和のため、そして組織のために。


 始末する必要があるのだ。


 男はそう決意すると鍵付きの引き出しの中から特殊な用紙を取り出し書き物を記した。

 とある文字と特殊なインクで書かれたその内容を解読することは同じ組織のものにしかできない暗号で構成されている。もし第三者に見つかったとしても内容がバレるまでには事は終わっているだろう。そもそも解読できるかも疑問だが。


「これを頼む」


 そう口にすると得体の知れないその何かはそのまま音を立てることなく姿を消したのだった。



不穏な動きが、、、

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