表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/69

7幕:人形使いは仲間を探す 下

 



 僕たちは動かなくなったゴミを荷台に寝かせ先へと馬車を進めた。

 どういうわけかトカゲの魔物、、、中型のラプトルはパトの言うことをすんなりと聞いているので御者をする必要はなかった。


 まぁ僕にはそんなこと始めからできないんだけどね。

 今後必要になる技能だから講習で習う予定ではあるんだけど。


 それよりもノビたゴミ達を蔑んだ目で見つめる度にトドメを刺そうとする幼女を僕は必死で宥めている。

 彼女は隙あらば馬車から叩き落とそうとするんだ。


「ん。ゴミはちゃんと処理すべき」


 確かにそうだ、ゴミはちゃんと処理すべきだ。

 ただズレている。

 ゴミはゴミ箱に捨てるべきなんだ、道端に捨てたら僕が怒られるじゃないか。


 それにしてもゴミになったばかりか、その後も足を引っ張るなんてなんて困った冒険者達なんだ。だからといって放置すれば僕の経歴に傷がついてしまうし、また説教を喰らいたくもない。

 このまま黙って算段しながら突き進むしかないんだ。


「ん。この飴玉はなかなかの味」


 気分が良くなった幼女を餌で嗜めていると彼女がとんでもないことを言い出した。


「ん。後ろのゴミを操り人形にするべき」

「え?そんなこと犯罪じゃないか」

「ん。黙ってればバレない」

「いやバレるに決まってるじゃないか!?」

「ん?今後の稼ぎの1割を下僕の口座に振り込ませるよう命令すれば一生働かなくてすむ」

「なんて恐ろしいことを、、、」

「ん。人形は大量生産するべき」

「いや、人をなんだと思って、、、

「ん。金づる?これで一生食っちゃ寝生活できる」

「いや君どこの教祖様だよ、そんなこと彼らが聞くはずないだろ」

「ん。洗脳すればいい。なら叩き起こしてお願いする」

「いや!?君それって脅迫する気だよね!?」

「ん。そーいえば下僕にもすでに仕込んでた」

「う、うそだろ!?」

「ん。心配しなくていい下僕の稼ぎはすでに私のもの」

「僕のだよ!!」


 彼女は思っていた以上にやばい人間だ。

 このままではじりじりと奴隷人生の包囲網を狭められていくに違いない。

 彼女は見た目が天使のような可愛らしい幼女だが、中身は違う。

 真逆なんだ。

 それも心底恐ろしい悪魔のような幼女なんだ。


 何とか餌で場を誤魔化しやり過ごし僕たちは何度かの町に滞在した後、国境を超えた。

 それにしても中々の距離だ。

 メイドと子供だけでこの距離を旅していたなんて。

 この子は何かを隠しているんじゃないだろうか。

 考えてみれば不自然なことが多いような気がする。

 それにこの依頼は僕のランククラスを超えている気がしてならない。


 疑うような視線を向けたためか彼女は小さな包みを後ろにさっと隠した。

 僕が用意した様々なお菓子の包みだ。


「ん。これは下僕にはやらない。全部私のもの」

「取るわけないじゃないか。それより君も子供だよね」

「ん。生意気。がきんちょ扱いするな」


 むんずと言い張る様子はまさに年頃の子供だった。

 ちょっとだけほんのちょっとだけ子供っぽさを感じたんだ。


 だからプンスカする彼女の頭をちょっと撫でて、、、催促された。


「ん。下僕は大人しく頭を撫でるべき」

「はいはい」


 僕はパトの機嫌を損なわないように頭を優しく撫でながら馬車の行く手を見つめる。


 そうそうその後、無事僕の力で人形となった三人だけど黙ってお利口さんに働いてくれている。

 きっとこの旅の間中はこのまま何事もなく僕の言うことを聞いてくれるだろう。

 チャラい空間で過ごさなくてよくなっただけでもよしとしよう。


 決して洗脳したり命令したりしたのではなく人形にしてお願いしただけある。

 なにせあのままだったら道端にポイ捨てされていたんだから。


 ちなみにこの後も僕の中で一度生まれた疑念が尽きることはなかった。


「ん。忘れてた。ギルドにゴミ掃除のお金を請求」


 彼女は後ろに並んだチャラ男たちを見下しながらとんでもないことを言い出した。


「ん。これでしばらくはお菓子ざんまい」


 これはできるだけ早く仲間を探さなければいけないかもしれない。

 僕に従順な僕だけのための仲間たちを。




 


パト(。・ω・。).:ん。ケーキが食べたい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●続きを読みたいと思った方は、こちらのランキングのリンクバナーのクリックをお願いいたします。
小説家になろう 勝手にランキング
cont_access.php?citi_cont_id=410288874&s
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ