潜入捜査
政府隊員養育高等学校。そこは主に警察組織に勤める者。つまり紺星たちのような人材。それに加え、政府関係者のための護衛任務を仕事にする人材を育成する学び舎である。この学園の倍率は年々上がっていて、この学園に入学できれば勝ち組とまで言われている。生徒たちはここで、学業、魔術、体術、剣術などを学び、力をつけていく。しかしそのような仕事に就く者全てがこの学園を卒業しているという訳ではない。
例えばユスティーには八人の隊員がいるが、その中で政府隊員養育高等学校の生徒だった者は半分しかいない。何を隠そう、隊長の紺星でさえも学び舎に通ったことはない。つまりは実力至上主義なのだ。生まれも育ちも強くなるための過程も関係ない。ただ強ければ仕事が貰える。そんなシンプルな世界なのだ。だからと言って強ければ何をしても許されるという訳でもないのだが。
「強ければそれでいい」と、口で言うのは簡単だが、己一人の力だけで強くなるというのは並大抵のことではない。だからこそ、強くなり手に職をつけるために多くの子供がこの高等学校に入学し、教師や学業仲間の手を借りながら成長していくのである。
そんな未来の戦士を育てる学び舎で起きた連続変死事件。普段顔を合わせていた教師や生徒たちが、無惨にも殺されたという事実は学園の雰囲気を暗くする材料には十分すぎた。
しかしそんな中、とある月曜日、とあるクラスの、とある生徒のたった一言でその雰囲気は一変した。
「今日転入生が来るらしいぞ!」
「マジ!?男?女?」
「それが男女二人だってよ!」
転校生イベントにありがちな会話をクラスのお調子者が繰り広げていた場所は、学園の3年C組であった。
今日この日、3年C組には潜入捜査官という名の転入生が来るのである。男女両方来るとあって、クラス全体が歓喜に包まれ、お調子者の中には自分の机の上で小躍りし始める者までいる。
「でも確か編入試験って俺らが受けた入学試験の何倍も難しいんじゃなかったか?」
「え!ってことはすっごい優秀な男子ってこと?」
ある女子生徒が転入生は男女二人いることも忘れ、学業優秀であろう転入生を想像し期待に胸を膨らませる。
生徒たちが浮足立っていると、このクラスの担任教師によって教室の扉が無造作に開けられた。クラスのあまりにもな変貌っぷりに担任は若干足を竦ませたが、原因はすぐに分かったため教師らしく生徒たちに号令をかけた。
「全員さっさと席につけー」
「先生ー、早く紹介してくれよぉ」
「そうよそうよ!待ちきれなーい」
担任に着席を促されると、生徒たちは「待ってました!」と言わんばかりに、転入生との対面を急かし始めた。この学園の転入生というレアな存在の姿を一刻も早く拝みたいのである。
「分かった、分かった。お前らピーピー、ピーピーうるせぇぞ。三秒以内に静かにならねぇと紹介しねぇぞ?」
生徒たちもそれが冗談だと分かってはいるものの、条件反射ですぐさま口にチャックをした。それほどまでに転入生は気になる存在なのだ。あまりにも素直な生徒たちに担任が内心苦笑しつつ、廊下の方に声をかけた。
「入って来い」
全生徒が教室の扉ただ一点に集中していると、ガラガラっと音がした。扉から入ってきたのは、いつものユスティーの制服ではなく、この学園の制服に身を纏った紺星と青花だった。
「永浜昴だ、よろしく」
「来栖あい。私は声を出せないから、魔術で言葉を送るけど気にせず。シクヨロ」
「気にしなわけないだろう!」という生徒全員からの心の声が担任には聞こえたようだった。なぜならあからさまにポカンとしているのである、いろんな意味で。〝伝声魔術〟なんて高度な魔術を使える人間などそうそういないのだ。
しかもそれだけでは無い。生徒たちは二人のルックスのレベルの高さにも驚いていた。編入試験に受かるほどの実力もあってこの容姿。「神様って不公平だよなぁ……」という生徒の呟きを担任は聞き逃さなかった。
ちなみに紺星と青花の名前だが、当然寛がつけたものである。潜入捜査のための偽名、流石にハンドルネームのようなつけ方はできない。その上で当たり障りのない普通の名前を寛なりに考えたのだ。それが予想外だったのか、青花が紺星にだけ伝声魔術で声を送り始めた。
「あのセクハラ野郎が考えたにしては普通の名前だった。意外」
「まぁ、これはれっきとした捜査だしなぁ。アイツもそこまで馬鹿じゃないだろ。寛はあれでも真面目な男だぞ。セクハラ野郎は否定しないが」
紺星にのみ送られている言葉なのでこの会話は周りには聞こえていない。ちなみに紺星も青花と同じ魔術が使えるため、青花に返事をすることが可能だ。きっと今頃ユスティーの本拠地内で、寛は原因不明のくしゃみに襲われていることだろう。
「じゃあ二人とも席につけ。授業を始める……ってお前らもちっとシャキッとしろ!」
なんやかんやで昼休みとなった学園内。せっかくだから学食でも食べに行こうという話になり、紺星と青花の二人は学園内にある学食へと足を運んだ。食べるメニューと席を決め、さっそく食そうとしたところ、同じクラスの女子生徒が興味深そうに声をかけてきた。
「ねぇねぇ、永浜くんと来栖さんはやっぱりユスティーに入りたいとか思ってるの?」
「……そうだな、あの隊に入れればそりゃ名誉なことだろうけど。君は入隊したいのか?」
何ともシュールな光景である。既にユスティーの隊長を務めている紺星に対してユスティーに入りたいか?なんて質問。臍で茶を沸かすようなものである。だが紺星は全く気にしていない風を装い女子生徒と会話を始めた。
「もっちろん。来栖さんは?」
「さぁ?興味皆無」
「私はね、ユスティーに入って隊長の葛城紺星様に一度でいいからお会いしたいの!」
今まで興味なさそうに昼食を楽しんでいた青花も思わずその言葉で吹き出し、口を押えながら肩を震わせた。本人を目の前にし、無自覚公開告白をしたちょっと可哀想なこの女子生徒は、入山杏といい、男女共に人気のある、笑顔とそばかすがトレードマークの生徒だ。
「来栖さんどうかしたの?」
「あぁ、何でもない。コイツのことは気にするな」
「そうそう、気にするな。それにしても、なぜ葛城紺星に憧れているの?疑問」
「おい……」
紺星が話を切ろうとしたにも関わらず、青花が面白半分に話題を掘り起こそうとした。青花の妙な態度に杏は一瞬戸惑っていたが、憧れの葛城紺星について聞かれ、「待ってました!」と言わんばかりに思いの丈をぶつけ始めた。
「だってあの葛城紺星様よ!若干15歳にしてユスティーの隊長に任命され、すぐさま数々の功績をあげた、ユスティー始まって以来の最強、葛城紺星様だもん!その力はこの世界で最も偉大とされ、魔術、剣術、体術、どれを取っても彼に敵う者はいないとされているお方……それが私たちと同じ18歳だなんて、一体どんな方なのかしら?」
腹を抱え全身をプルプルと震えさせている青花を紺星が呆れたように見つめた。そんな二人の様子を不思議そうに観察する杏。
やっとのことで笑い終え、目尻に浮かんだ涙を拭きとった青花は早速昼食の続きを始めた。その華奢な体の一体どこに入っていくんだ?という疑問が浮かぶ程に、青花は高速で食べ進めていく。その様子を紺星は目元を細めながら窺っていた。
「うまいか?あい」
「うん、実に美味」
「そうか、それなら良かった」
頬袋パンパンに食事を詰め込んだ青花の様子を紺星が苦笑交じりに見つめながら、青花の頭をポンポンと撫でた。紺星がそんな対応をするのには訳があった。実は紺星が青花と出会った頃、青花は味覚障害に陥っており、何を食べても味がしなかったのだ。紺星と出会ってしばらくした折、味覚障害は治ったのだが。青花が食事をする度に紺星は美味しいかどうか聞くのである。
「こ、昴は心配しすぎ……将来禿げる」
「別に、少し気になっただけだ」
そんな二人の様子を頬を少し染めながら、交互に見つめる杏。
「あのぉ、お二人は恋人同士なのであらせますか?」
「「違う」」
我慢できなくなったのか、杏が少しおかしな喋り方でズバッときりこんだ。二人は、「もう付き合ってんだろ、お前ら……」とツッコまれてもおかしくない程、息ぴったりに答えた。疑念を孕んだ眼で杏が見つめていると、紺星は解説に入ることにした。
「何つーかな、俺とあいは……親子っていうか、家族っていうか……」
「師弟関係」
「そう、それだ!」
そうなのである。青花は紺星に出会ってから今まで、紺星に武術の修行をつけてもらっていた。青花にとって紺星は一生敵うことのできない師匠。だからこそ、紺星の力に惚れ込み寛にストーカー呼ばわりされる羽目になったのだ。紺星と青花による解説に渋々納得した杏が青花に対して抱いていた疑問をぶつけた。
「ねぇ来栖さん、どうして声を出せないの?」
明らかに青花の表情が曇った。それは青花にとっての黒歴史そのものだったのだ。消したくても消せない過去、消してはいけない過去。自分が弱かった証。抗おうとしなかった罰。紺星に出会っていなければ変わらなかったであろう弱い自分。
―六年前―
「……面白いな、お前。こんな理不尽な状況で、ここまでボロボロで涙だって止められていない癖に、その瞳は希望に満ちて光り輝いているように見える。俺の視力とお前、どっちかがおかしいのは確かだな」
「……どうすれば、あなたのように強く生きられるの?」
震えながらも、強く強く前だけを見据えるその少女の言葉に、少年はこぼれる笑みを掬うことができなかった。
青花はふと、自分の始まりについて思いを馳せていた。自分の首に纏わりつく、醜い古傷に触れながら。そんな様子の青花を心配したのか杏が必死に陳謝し始めた。
「あ、ご、ごめんね!来栖さん!もしかして、聞かれたくないことだった?その、言いたくないことなら全然、無理に答えなくて大丈夫だから!」
「……あいは、あいは強いからな」
ふと呟いた紺星の言葉に青花はポカンとしながらも、紺星の顔から目が離せなくなった。
「あいの失ったものは、あいが強く生き続けようとする証なんだ」
紺星の言葉に思わず零れそうになるそれを青花は必死に堪えた。自然とその拳に込められる力が強くなっていくのが青花には分かった。杏は何が何やらでポカンとしているが、二人のただならぬ空気を読んだのか沈黙を守っていた。その沈黙を破ったのは潜入捜査のため、この学園に転入した紺星だった。
「そういえば、この学園で起きている事件について、入山さんは何か知っているか?」
「あぁ、事件のこと……。やっぱり知ってるよね。私は特に何も……。被害者の人たちとも顔見知り程度で、話したことはなかったし」
「そうか。じゃあ、最近変わったことはなかったか?些細なことでも構わない」
転入生イベントを皮切りに無理やり忘れようとしていた事柄を、紺星の言葉によって現実に引き戻された杏。その表情は先刻とは別人のように淀んでしまう。やはり学園で起きた凄惨な事件について思うところがあったようだ。
「うーん……そう言われてもなぁ?うーーーん……っあ!そういえば、最近学校に来なくなった生徒がいるの!」
「その話、詳しく教えてくれ」
潜入捜査が開始以来、初めての有力な情報に紺星と青花が思わず顔を見合わせた。
昼休みが終わってすぐ、戦闘試験の授業が始まった。ユスティー隊員にとってたかが高等学校の戦闘訓練など欠伸が出てしまうようなものなのだが、学生の実力を見るいい機会だと真面目に参加することにした紺星たち。
「えー、今回は魔術、剣術を併用した実技試験を行う。数名の教師がお前らと実戦形式で戦う。その戦いぶりで点数をつける。全員並べー」
〝戦いぶりで点数をつける〟というのは、当然教師に勝てる生徒なんていないからである。そんなことが起きてしまったら、その生徒が学園に通う必要自体なくなってしまう。今回のような例外を除けばだが……。担任の号令で生徒全員が揃ったところで試験が始まった。
「じゃあ、まずは入山」
「はいっ!」
「紺のファンがやるのか……見物」
「おい……」
最初に呼ばれた杏を見て、青花が紺星にだけ伝声魔術を使った。紺星のファンだからと言っても、杏はユスティーに入隊したいという意思を持っている。軽口をたたいた青花だが、もしかしたら将来自分の部下になるかもしれない人物の実力をその目で見たいのだ。
「はじめっ!」
「はぁっ!」
担任の号令と同時に対戦相手の教師が杏の左肩に向かって剣をふるった。それを素早く察知した杏が自分の剣で攻撃を防いだ。因みに教師と生徒が使っている剣は全て同じものである。
教師の攻撃を弾いた勢いのまま、杏が教師の顔すれすれに剣を振るった。それにより教師が体勢を崩した。それを好機とした杏が、攻撃魔術を放とうと構えた。しかし教師は素早く体制を整え、杏の腹に蹴りを入れようとした。
杏が気付いた時には教師は間合いに入っており、杏は教師の強烈な蹴りを防ぐことができなかった。
「ぐわぁ……」
苦悶の表情を浮かべながら、杏は腹を抱えたまま倒れてしまった。対戦相手、担任、生徒たち全てがこれで杏の試験は終わりと思っていた。転入生と杏を除いて。
紺星ただ一人がこの後の起こることを看破したのか、ニヤリと笑いながら感嘆の声を漏らした。
「ほぉ……」
杏は己の剣を教師に向かって超高速で投げつけたのだ。それは教師の頬を掠り、僅かな血を滲ませた。教師は何が起きたのか一瞬把握しきれていなかったが、頬に僅かな痛みを感じ、生徒に対して行った自分の油断に嫌悪する。
それで終わっていれば、皆杏に畏敬の念を抱いていただろう。それ程までに杏の戦いはセンスのあるものだったのだ。しかしそれでは終わらなかった。教師の頬に傷をつけたそれは、速度を落とすことなく紺星へ矛先を向けたのだ。
それに気づいた杏の顔が歪んだ。事の重大さに気づいてしまったのだ。しかし紺星の前では杞憂に終わる。
紺星は向かってくる刃に顔色一つ変えず、人差し指と中指で挟み込んだのだ。紺星が止めていなければ、剣は紺星の鼻先を貫いていただろう。
「「……え?」」
その場にいた全員が言葉を失った。紺星がそんな周りの空気を気にするなんてことはなく、涼しい顔のまま剣を杏に投げ返した。もちろんキャッチできる速度で。もし紺星が本気で投げていたら壁を突き破って学園が半壊していたことだろう。
「……あ、ありがとう。ってあっ!ごっごめんね!永浜くん!怪我してない?」
「?……大丈夫だけど」
若干フリーズしていた杏だったが、紺星に刃を向けてしっまた事実を思い出し、必死に謝罪し始めた。怪我なんてしている訳がないのだが。
呆けていた担任がハッと思い出したかのように号令をかけた。
「そっそこまでっ!」
杏が列に戻り、次の生徒の番になった。だが生徒たちはもう戦闘なんて見てはなく……。それを横目に紺星と青花は先刻の戦闘について議論していた。
「どう思った?」
「全然ダメ。……今はまだ」
「だよなぁ。センスはあるが技術が追い付いてない。魔術を放つまでのモーションが遅すぎる」
「でも、あれにはちょっと痺れた」
「同感だな」
「……その痺れる攻撃を涼しい顔して防いだ紺にはもっと痺れた」
「そりゃどうも」
紺星は注目の的となっていたが、青花とは伝声魔術で会話していたため、生徒たちにその内容は把握できていなかった。近くにいた杏は自分の話で盛り上がっているとは、露ほども思っていないため、ニヤニヤしている紺星をただ眺めていた。
「じゃあ最後に転入生二人。まずは来栖」
そうこうしているうちに、転入生の番になり、青花と教師が戦闘準備をした。
「青花、分かってるとは思うが手加減するんだぞ。相手はただの高校教師なんだ」
「馬鹿にしすぎ。紺の方こそ手加減しないと相手死ぬ。決定事項」
二人が無音の会話をしている間に、教師が構え、担任の号令がかかった。
「はじめっ!」
教師が水属性の攻撃魔術を放つと同時に、青花が素早く動き出した。走り込みながら軽く攻撃をかわし、教師の目の前に現れたかと思うと、鳩尾をその小さな拳で殴った。
「がっ……」
あまりの衝撃に教師が白目をむきながら失神してしまった。周りの観衆たちは、先刻の紺星の時よりも口をあんぐりと開けていた。それも当然である。なぜなら担任の号令からわずか三秒ほどの出来事だったのだから。
「そっそこまでっ!」
「……え?何今の……。速すぎて全然見えなかった。ていうか……先生に、勝った……?」
そんな杏の疑問を尻目に青花は何事もなかったかのように列に戻った。そんな青花を紺星が避難を孕んだ眼で見つめた。
「……不満?」
「俺はさっきなんて言った?」
「相手はただの高校教師なんだ」
「手加減しろって言ったんだ」
「ちゃんとした。セクハラした寛に向ける拳より手加減した。弱すぎる相手が悪い。自業自得」
「寛を基準にすんな。あれでもユスティー隊員なんだぞ。アイツと青花。本気でやったらどっちが勝つかなんて俺にも分からん」
「ぐぬぅ……。正論。不服……」
「仕方ねぇなぁ。師匠の闘いちゃんと見てろよ?」
師匠の言葉に素直に頷く青花。それを確認した紺星は満足そうに青花の頭を撫でた。
「じゃあ次は永浜」
「はい」
ついに紺星の番になり、生徒たちが期待で胸を膨らませた。先刻、紺星の偉業を目にしてしまったので、当然のことではあるのだが。紺星と教師の準備が整ったところで担任の号令が響いた。
「はじめっ!」
……一瞬であった。何が一瞬なのかというと、紺星は剣を抜くと同時に教師に近づき、教師の首元に刃を触れさせていたのだ。その一連の行為が一瞬のうちに行われたのだ。教師の顔から冷や汗が流れる。それは今まで感じたことが無いほどの恐怖。目の前でほくそ笑むこの存在には絶対に敵わない。敵に回してはいけない、もしそうなれば殺されると……。わずかに刃が食い込んでいるのか、刃に教師の血液がツーっと流れる。それを目にし、ますます教師の顔が青白くなる。
「っ……。」
「何か要望があれば聞くが、どうする?」
「……降参です」
「そっそこまでっ!」
一瞬キョトンとした教師だったが、意図を理解したのかすぐさま白旗を上げた。「殺されたくないのなら、生かしておいてやる」、教師にはそう聞こえたのだ。
「いいか、青花。これが本当の手加減というものだ」
「……そういうことじゃないと思う。確実」
「?」
意気揚々と戻ってきた紺星に青花がツッコみを入れた。青花が言いたいのは、手加減とは力を抑えることであって、ハイレベルな戦闘技術で相手に有無を言わさず降参させることではない、ということである。
生徒と教師たちはそんな転入生の実力にもはや顔を引きつらせることしかできなかった。
波乱の転入生イベント初日はこれで幕を閉じたのである。
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