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地獄



「…っは、ぁ!あ、ぐ、ぅ…足りないっ、足りない!足りない!!足りない!!!!」




ぐちゃ、べちゃ、ぬちゃ、ぐしゃ。



もっと食べなくては、そうだ。食べなくては。

肉を咀嚼し、飲み込む。酷く硬い、それに脂身が多くて不味い。それでも食べる。



ぐちゅ、ぶちゃっ、ぐちゃり。



それは異様な光景であった。

人間が人間を食べる。酷く気味が悪く、凄惨で汚辱的だった。

青年は不味い、不味いと言いながら、手に持つ刀で少しずつ解体して食べる。

脚を、手を、胴体を、内臓を、耳を、目玉を、頭を、脳みそを。

食べて、食べて、食べて、食べて、食べて、食べて、食べて、食べて、食べて、食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて。



そうして、一人の人間を食べ終えた青年は嗤う。

足りない、と。



そもそも男が人間を食べているのは決してそういう嗜好があるから、という訳ではない。

彼が異能力者だからだ。



異能力者は異能を行使するに自身の生命力を削る、しかし、生命力であるなら別に自身のものだけではなく他人のものからでもいいのだ。

他人の生命力を引き換えに異能を行使する。そういう者も少なくはない。

そして、彼がやっていることはそれと同じで、とても最悪なことだ。



元々生命力が高い異能力者を食べることで異能を強化出来る。

異能力者の中でもやる者はそうそういない。確かに異能を強化出来ることは大きなメリットになるが、倫理的に問題があり、尚且つ異能力者が他の異能力者を食らうということは異能を食らうということでもあり、異能同士が反発しあい、中々適合出来ずに肉体的にも精神的にも負荷がかかるのだ。

それに異能の行使に使用するのに他人の生命力と引き換えといっても、ほんのわずかな生命力を複数人から奪う程度だ。まぁ、悪どい者は生贄にしたりするが。

食べる者はそういう嗜好の者とその多大なデメリットを忌避しない、相当な物好きだけだ。

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