第二話 端末制限
短いのをポンポンと投稿します
「神隠し」……ある日突然姿を消したり、存在そのものが消失してしまう事象のこと言う。
だが消えたものが年月を経た後突如として、消えた時と同じ姿で現れることもある。
___vikiぺディア
「うわあ……」
インターネットで神隠しについて検索してみた。
電波はしっかりあるんだよなぁ。
スマホ内時刻は、現在3時23分。
依然、太陽の光が妖精広場(仮)に降り注いでいる。
この数時間、元の道に戻れないかと散々足掻いてみたがどれも意味はなかった。
ただがむしゃらに走ったり、叫んだり……
石を全力で投げてみたが、投げた石が「後ろから」返ってきた。つまりはどの方向方角も全てこの妖精広場(仮)に繋がっているのだ。
「どうすんだよ……何しても意味ねーじゃん」
太陽の光が丸く差す、その真ん中に力無く倒れる。
「はぁ……一生このままかな? でも一週間くらいで餓死するか。そういや腹、減ってないな」
最後に物を食べたのは約15時間前。腹の音どころか、空腹感のカケラもない。
ん? そう言えば疲労感も無いぞ?
「永遠にこのままもありうる、か。はは……」
真上の太陽に向かい、力無く笑ってみせる。
ここの太陽は常に頭上にあり、ぽかぽかとして暖かい。
__prrrrrrr
「ん?」
また着信?
スマホをポケットから取り出し、ロック画面を見る。
[受信] unknown 86:64
「とうとうスマホもおかしくなったか」
86時って何時だよ。
どうせ母からだろうとロックを開き、メールアプリを開く。
[受信ボックス]
【unknown】
やあ、神原くん。6時間以上にも及ぶ無駄な足掻き、見せてもらったよ。君は実に僕の予想を裏切らない人物だ。
特にあの石を投げる行為には驚いたよ。今まで何人か連れて来たけど、そんなことをするのは君一人だけだ。
ご褒美として特別に君を、君を望む世界に連れて行ってあげる。
まあ、少しのペナルティは受けて貰うけどね。
「なんだこれ」
唐突過ぎて驚けない。 と言うよりは何言ってんだこいつ?と言う気持ちの方が強い。
身内の誰かがこんなふざけたメールを意味もなく送るわけがない。
それに加え俺に友達はいない。
「アン……ノウン?」
未登録や存在しないアカウントメールに出てしまうエラー名。
普段は携帯会社かいたずらメールでしか見ないその名前は、どこか不気味だった。
下にスクロールしていくと添付ファイルがあることに気づく。
___ファイルは端末制限により開けませんでした。
「あい◯ぉんは制限固いからな……ん?」
___ファイルを開きます。
前言撤回とでも言うかのように文字が書き換わっている。
「?? まあ…いいか」
画面をタップ。
その瞬間、画面が暗転し、周りが暗くなった。
「なになに!?」