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脳内魔石  作者: 玄米
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第十話 しょげ

 「二ヶ月後、冒険者学校への入学試験が行われる。それまではこの世界についての予備知識を学習なさってはいかがか?」


 ……と、ツキ爺に言われてから三週間。基本的なことはわかるようになってきた。


 まず、この世界の共通通貨や共通語、そして日本でいうところの公害や、魔力の事。

 お金の価値や文字は置いといて、一番興味をそそられたのは公害や魔力の事だ。


 この世界には科学的な公害……つまりは人工化学物質が元になる病気は確認されていない。

 ではなにが公害と言われるのか。


 主には、魔法によるものである。

 魔法が使えなくなる病気や、体内の熱が魔法によって暴走し、体調が崩れる病気……


 ここで大切になるのが魔力だ。

 先日俺の拳が漫画のそれになったように、この世界は想像するだけで魔法が発現する。だが、想像が複雑になればなるほど修行を要するらしく、長いものでは十年の月日を費やしても発現できない魔法もある。


 この世界の公害、『魔質劣化』は魔法が使えなくなる、または暴走する病気だ。原因は解明されておらず、一説によると『魔法が消えることを望んだものによる魔法』……らしい。


 「魔法で魔法が使えなくなるとか……」


 変なこともあるもんだと感心していると、ツキ爺からあてがわれた自室に、メイドが入ってきた。


 「……シン様。昼食の用意が出来ましたが……」

 「あ、部屋に持ってきてもらえる?」

 「はあ……かしこまりました」


 実はこの三週間、メシは一人で食べている。

 なぜかというと、朝昼夕のご飯、全てにイーダ爺が出席しているからだ。

 いや、出席するのは当たり前か……

 なんたってここはイーダ爺が治める城……なんだからな。

 木材で出来たドアが二回、響く。


 「……シン様。お持ちしました」

 「ん。ありがとう。君もどう?ずーっとおれの世話は疲れるでしょ」

 「いえ。仕事ですので」

 「そ、そう……」


 ははは、と、心が折れそうなのをごまかす。

 

 「……なぜシン様はイーダ様とお食事をなさらないのですか。毎日これではイーダ様が不憫です。先ほども『わしのこときらいなんかな』といってしょげておられました」

 「ま、まじか……」


 なんか……ごめん。

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