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21、幼馴染

 今、学校から帰っている私の横には透がいる。


 「痛いなぁ。もう、ちゃんと約束守ったのに……」


 そんなことをぶつくさと言いながら歩く透の頬は赤く腫れていた。


 もちろん、私が引っ叩いたからだ。着替えを覗かれたことへの制裁だった。


 「まぁ、その点は確かに認めてあげてもいいけど……」


 そう、透は彼女のことは傷付けないという約束を、一応は守ってくれたのだ。


 実は昨日私が帰った後、先輩達にも協力を頼んでいたのだと言う。


 で、結果が先輩達のあの奇行だったらしい。


 つまり彼女が傷付かずに生徒会を諦められるよう、二人は悪役を演じてくれていたのだ。


 ちなみに透がマジックで先輩達の顔に落書きしていたのも、その一環だと言う。


 「俺もストレスが溜まるとつい人の顔に落書きをしたくなっちゃうんだ」


 などと美帆に言っていたようだ。たく、そんな奴いるものか。


 「ははは。まぁ、半分は先輩達へのお仕置きなんだけどね~」


 と、後で聞いたら言っていた。確かにあの二人はお仕置きされても仕方はないと思う。


 まぁ、その辺りは上司としてちゃんとやっているのかもしれない。

 

 結果だけ見れば、確かに美帆は全く傷付かずに生徒会を諦めたのである。


 やり方はどうあれ、その点だけは認めなければならないだろう。


 「俺だって、中学の時のことは気にしてたんだよ。もう同じ間違いはしないって」


 そう言う透の表情は珍しく真剣だった。


 あの時は考え無しだった私の所為だと言うのに。案外、真面目なところがあるものだ。


 そう、あの時は恵のことを傷付けてしまった。でも、今回はそうはならなかった。


 それどころか美帆には親友とまで思ってもらえるようになったのである。


 「……、わかったわよ。今回はありがとう」


 曲りなりにも透は私たちの関係を守ってくれたのだ。その辺は素直にお礼すべきだろう。


 「へへへ~。ね~。俺も最近随分しっかりしてきたでしょ~?」


 そう言ってあどけない表情でにやける透。その自慢げな顔がやけに苛立ちを誘う。


 ん? 待てよ。そもそも私はこいつに彼女でも出来ればと美帆を紹介したんじゃ……?


 この野郎っ! 人の気も知らないで全部ぶち壊しにしているじゃないかっ!


 「ってっ! やっぱり全然しっかりなんてしてないじゃないっ!」


 「えっ? だって、俺今回は結構うまくやれてたんじゃ……?」


 「どこがよっ! もう知らないっ!」


 腹を立てた私は透を突き放し、早足で歩きだした。


 その後ろを、この馬鹿な幼馴染は半泣き顔で付いて来ていた。


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