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20、お似合い

 美帆の途切れ途切れの説明を聞くと結局、透からはこう言う話を聞かされたようだ。


 私は書記を引き受けたが、友達に生徒会に憧れている子がいたので代わってあげたかった。


 しかし、生徒会には大きな問題があった。


 それは非常にストレスが溜まるその仕事のために、奇行に走る人が多いということだ。


 そのストレスは普段はまともなあの先輩二人をして、あんな状態にさせる程である。


 発作のように起こるあの奇行を見た私は無責任には辞められないと思った。


 だから、美帆に書記を譲る上で、私はこう決意したのだと言う。


 その全ての奇行は自分が引き受けようと。


 ……、聞いていると頭が痛くなりそうな説明だった。


 ていうか、事実と全然違うじゃないか。誰がそんな役を引き受けるものか。


 しかし、さっきの状況を目の当たりにした美帆は当然のように信じていた。


 「ごめんね。由美。でも、そんなことしなくていいんだよ」


 「いや、私はただ美帆を生徒会に入れたかっただけで……」


 「ううんっ! もういいのっ! 親友をこんな目に合わせる位だったら私諦めるからっ!」


 私を親友と呼んだ美帆の眼は、すごく真摯なものだった。


 「でも、だって透のことが……」


 そう、生徒会は元より美帆は透に近付きたかったのである。


 せっかくのチャンスなのに、それをこんなことで手放すなんてしていいはずがない。


 「それももういいの。だって、私じゃあんな透様を支えるなんて出来ないもん」


 「そんなことないわよっ! 大体、あいつ本当は大変な思いなんかしてないし……」


 「ううん。そんなことない。見れば分かるよ。それにね。さっき話して、私思ったんだ」


 そう言うと彼女は私の耳元に顔を寄せて、一言小声でつぶやいた。


 「もしかしたら、透様には由美がお似合いかもって」


 一瞬、言葉が頭に入って来なかった。何? お似合い? 何言ってるの?


 「透様には今、支えになってくれる人が必要なの。でも私じゃ絶対に無理」


 そう言う彼女の顔は真剣そのものだった。そして何かを決意したようにこう続けた。


 「だからね。由美。透様を支えてあげて。私、由美になら任せられるから」


 「何言ってんのよっ! 私なんか――」


 そう反論しようとした私の口は、美帆の人差し指で塞がれた。


 「大丈夫。それにね最近由美、絶対に綺麗になったもん。だから……、頑張ってねっ!」


 そう囁くと美帆は私の口元の黒子に指をつんと一刺しし、教室を出て行ってしまった。


 違う。美帆。色々違うんだよ。そして、もちろん私も綺麗になんかなっていない。


 言うまでもないが、私の口元の黒子はさっき透に描かれたものだった。 

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