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18、お仕舞い

 「まず鏡見先輩。あの人は異常な眼鏡好きだから掛けられないように気を付けて」


 ぽかんとした表情を浮かべる美帆。


 「あと、北條さん。あの人には脱がされないように注意しなさい」


 これまた訳が分からないと言った様子の美帆。私だって何を言っているか分からない。


 そう、今日は美帆を生徒会に連れて行く日なのである。


 その前に、もう一度美帆に釘を刺しておこうと思ったのだ。


 透が「後は任せて」と言うものだから、昨日はあのまま帰ってしまった。


 まぁ、あいつも要領は良い方だから、何とかあの場は押さえてくれたのだろうけど。


 「とりあえず、今日は私も付いて行くから。でも、これからも何かあったら言ってよ」


 「は~い。もう、由美は心配性なんだから~」


 そう言って笑って見せる美帆の表情はあまりに無垢に見えた。


 透は彼女を傷つけないと約束してくれた。別にそれを信用していない訳じゃない。


 でも、状況が状況だけに本当に心配なのである。この子だけはちゃんと守らないと。


 間違っても中学の時の二の舞だけは踏むものか。そう決意して私は美帆と生徒会へ向かった。


 そんな決意に全く意味はなかったと気付くこともなく。


 そう、教室に入ると心配どころではない光景が広がっていたのだ。


 顔に眼鏡を描かれた鏡見先輩。猫みたいな髭を付けた北條さん。二人がこちらを睨んでいた。


 そして、そんな二人の後ろで心底楽しそうな顔をして頬笑む透。


 黒いマジックを手に握ったまま、こちらに手を振っている。


 「あ、いらっしゃいっ! 生徒会へ」


 あの馬鹿、一体何を? そう思ったのも束の間、気付くと二つの人影が私に迫っていた。


 「……、由美さん。待っていたよ。昨日色々考えたんだけど、やはり君には……」


 そう言って近付いてくる鏡見先輩の手には一昨日とは違う眼鏡が握られている。


 「……、由美。そっちじゃない。あなたには……」


 そう言う北條さんの持つトートバッグの中からは、鮮やかな色をした布地がはみ出していた。


 「ごめん。美帆。私が間違ってたわ」


 何が美帆なら大丈夫かもしれないだ。この人たちは完全に終わってるじゃないか。


 美帆にも中の状況は見えたようで、小柄な身体をビクッと震わせた。


 「逃げてっ! ここは私が引き受けるからっ!」


 こんな場所に友達を招き入れる訳にはいかない。私は美帆を扉の外へと押しやった。


 「由美っ!」と恐怖に歪んだ顔で美帆が叫んだが、扉を閉めたのですぐに見えなくなった。


 「いや……、いやぁああっ! 由美っ! 由美~っ!」


 廊下からそんな叫び声が聞えたが、もう私はそれどころではなくなっていた。


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