15、お誘い
翌日、その話を美帆に持ちかけたら、それはもう凄い喜び様だった。
「えっ! うそっ! いいのっ? だって私なんかだよ?」
遠慮がちなセリフだが、表情は満面の笑みである。全くどれだけ舞い上がってるんだか。
まぁ、生徒会の実情を知らないのだから無理もない。
「うん。美帆だから頼みたいのよ。ただね。ちょっと問題もあって……」
「あ、そうだよね。せっかくのお誘いだけど、私なんかじゃ足手まといになりそうだし……」
そう言って少し表情を曇らせる美帆。
「いや、そういう意味じゃないの。ただ、あそこのメンバーに問題が……」
「え~? どういうこと~?」
「う~ん。実は皆すっごく個性的っていうか、とにかく変わった人ばかりなのよ」
「だってメンバーって透様と鏡見先輩と北條先輩でしょ? まともな人しかいないじゃん?」
「いや、だからその三人が変わってるのよ」
「え~。うそ~?」と美帆。まぁ、そう言うのも分かる。
あの三人は、普通にしている分にはただの美男美女なのだ。
特に先輩二人にあんな一面があったなんて、正直私だって信じられない位である。
しかし、今度あの魔窟にこの子を連れていかなければならないのだ。
それなのに事前に何も伝えないのは、もはや新手の詐欺だろう。
「いい美帆。まず鏡見先輩。あの人はとにかく眼鏡に強い思い入れがある人なの」
「へ~。確かにいつも眼鏡だもんね~。やっぱりこだわりとかあるんだ~」
「……、それで、北條さん。あの人は異常な位着物が好きなんだけど……」
「あ、確か茶道部の部長さんなんだっけ? すっごい美人さんだから似合いそうだよね~」
いや、そう言う意味じゃないんだよ。オブラートに包まれ過ぎていて全く伝わっていない。
「いやね。そうじゃなくって……、えっと……」
私は言い淀んだ。あの奇行をそのまま伝えるのも何か悪口を言うようで気が引けたのである。
「そう、あの二人は自分以上に他の人のファッションを気にするタイプなのよ」
「へ~。やっぱり美形の人はファッションからして違うんだね~っ! 私も気を付けないと」
駄目だ。寧ろ誤解を招いている。もはや美帆の眼には先輩への羨望しか写っていなかった。
「はぁ……。それに透だって本当はどうしようもない性格なのに……」
「またまたぁ~。由美ったら透様がそんな性格のはずないじゃん」
「いや、美帆はあいつのことを知らないからそんなこと言えるのよ」
「え~? あっ、わかったぁ! 由美、本当は自分も透様狙ってるんでしょ? だから……」
「ちがうっ! そんな訳ないじゃないっ!」
「え~? 本当に~?」と笑いながら続けた美帆は、まだちょっと疑っている様子だった。




