13、お疲れ
「ふわぁ~。今日は初仕事お疲れ~」
学校からの帰り道、欠伸をしながら透がそう言ってきた。
「いや、私、全然仕事してないじゃない」
そう、結局あの書類の山に全く手を付けずに出てきてしまったのである。
「大丈夫。大丈夫。あれくらいなら明日には余裕で終わってるはずだから」
「はぁ? どう言う意味?」
「そのまんまの意味。あの先輩二人が本気だしたら、俺仕事しなくても全部終わるもん」
「はぁっ?」
驚愕の発言だった。鏡見先輩が優秀だとは聞いていたけど、まさかそこまでとは。
「ていうか、それじゃあ本当に、何で私を書記なんかにしたのよ?」
「え……、それは、まあ……」
急に眼を反らす透。ほう。つまりこれは。
「やっぱりあの二人の生贄のためかぁっ!」
めいっぱい唇の端を引っ張ってやった。
「いはいっ! いはいへはっ! ひはうっ! ひはふってっ!」
面白い顔で面白いことを言う透。どうやら違うと言いたいらしい。
「ほう。じゃあ、どう違うって言うの?」
「いや、まぁあの二人との折り合いを考えなかった訳じゃないけどさ……」
と、透は少し言い淀み頭を掻きながら続けた。
「他に来てくれる子、思いつかなかったんだよね」
「何でよ? あんただったら引く手数多じゃない?」
それこそ美帆だって羨ましがるくらいだ。立候補を募れば幾らだっているはずだろう。
「いや……、それに由美ちゃんなら、俺も頼みやすかったし?」
少し照れ笑いながらそんなことを言い出す透。
ほとほと呆れるセリフだった。いつになったらもっとしっかりするんだこいつは。
「いい加減私から卒業しなさいよっ! そんなだから彼女の一人も出来ないんでしょ?」
「ははは。ごもっとも」
そう、笑い飛ばせる辺りも自覚が足りない。一体どうしたら良いものか? そうだっ!
「よし。じゃあ、今度私の友達を紹介してあげるわよ」
「へ?」
鳩が豆鉄砲でも食らったような間抜けな顔をしている。まだよくわかっていないらしい。
「だから、私の代わりに書記やってくれそうな子がいるから。紹介するって言ってんのよ」
そう言うと珍しく透の顔が青ざめた。




