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10、女の子

 「眼鏡っ! 眼鏡がぁっ!」


 と、叫んでいるのは鏡見先輩。とっさに顔に張り手を入れてしまったのである。


 綺麗に顔面に入った私の右手は、見事に鏡見先輩の掛けていた眼鏡を吹き飛ばしていた。


 本当に視力の悪いらしい先輩は、まるで漫画のキャラのように落ちた眼鏡を探している。


 「せ、先輩っ! こっちです」


 そう言って、落ちた眼鏡を拾っているのは透。よく見ると透も眼鏡を掛けていた。


 どおりでさっき無駄に真面目そうに見えた訳だ。ていうか、なんなんだ? この状況は?


 「……、由美。逃げましょう」


 その時、私の腕を掴んだのは北條さんだった。よくみると彼女も眼鏡を掛けていた。


 「走って」


 眼鏡を外しながら、私にそう指示を出す北條さん。私も言われるままに走り出した。


 「あっ、待てっ!」


 後ろから男子二人の声が聞えたが、当然のように無視して逃げた。


 「全く。鏡見は女の子ってものがわかってない」


 教室の鍵を閉めた後、そう言って北條さんは私の眼鏡も外してくれた。


 彼女に連れてこられたのは、学校の中のはずなのに何故か畳がしかれている部屋だった。


 「えっと、先輩? ここどこですか?」


 「作法室。私の部室。……、ごめんね。酷い目に合わせちゃって」


 そう言って北條さんは私のことをギュッと抱き締めてきた。


 えっと、何だろうこの状況? まぁ、悪い人ではないんだろうけど。


 「じゃあ、お茶入れるからちょっと待ってて」


 北條さんがそう言って奥に下がって少しすると、何やらシャカシャカと音が聞こえ始めた。 


 チラッと覗くと彼女がお茶を点てている姿が見えた。


 なるほど。つまり、北條さんは茶道部で、ここはその部室ということか。


 見事に様になっている。おしとやかな雰囲気と相まって、まるで一枚の絵画のようだった。


 しかし、そんな光景にあまり似つかわしくない物が眼に入ってきた。


 女性誌である。数冊積み上げられて置いてあるが、その表紙がよろしくない。


 なんと言いますか、あられもない姿の方が写っているんですけれども。


 思わず眼を背けたところで声を掛けられた。


 「どうぞ」と言われるままに口を付けたお茶は美味しかった。少し苦いけどほんのり甘い。


 飲み終わって顔を上げると、北條さんがさっきの女性誌を手にしながら、私を見つめていた。


 「……、うん。やっぱりいい。……、ねぇ、脱いで」


 一瞬、先輩の言葉の意味が分からなかった。だが、理解するまで数秒と掛らなかった。

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