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76 もっと熱くなれよ!

 中層攻略はそれなりに順調。

 タツノオトシゴ以外にも数種類の魔物に出会ったけど、どれも大したことなかった。

 地形の不利さえなければ、負けることはなさそう。

 ただ、その地形の不利っていうのが問題なのよねー。


 まずマグマ。

 これがきつい。

 相手の魔物がマグマの中にいると、こっちからは石投げるくらいしかできることがない。

 その石投げにしても、大したダメージにはならない。

 結局相手が岸に上がってきてくれないと、こっちは何もできないのと大差ないのよ。

 

 タツノオトシゴみたいにMP切れたらノコノコ上がってくるならいいんだけど、中にはそのままマグマの中に留まったり、逃げ出したりする魔物もいるから厄介。

 逆に、最初は陸地にいて、追い詰められるとマグマの中に逃げ込むやつとかね。


 糸が使えないのもきつい。

 石を投げるくらいならもってくれるけど、出しっぱにしてると陸地にいても火が出たりする。

 困ったのは普段私が無意識のうちに出してる糸だ。

 私は移動する際、無意識に糸を出してるんだけど、それがここだと燃える。

 燃えたのが導火線みたく伝ってきて、ケツが熱くなる。

 一番最初に比喩でもなんでもなくマジに、ケツに火が付いたときは慌てた。

 HPがそれで結構減った。

 消火に毒合成使ったからそれでさらにHP減った。

 だってそれしか手元に火を消せるようなもんなかったんだもんよー。


 仕方ないから、無意識のうちに出してる糸はこまめに切るようにした。

 そうでもしないとまたケツに火がつくことになるし。

 比喩でもなんでもなく。


 寝床も問題だ。

 こんな状態で巣を作ろうものなら、巣ごと燃えるのが目に見えてる。

 仕方ないのでそこは諦めるとして、岩場の陰で寝ることにした。

 

 まあ、寝れるわけないよね。

 常にダメージ受けるような灼熱地獄で、魔物の気配に怯えながら寝る。

 いくら私の神経が図太いって言ってもさ、限度ってもんがあるでしょ。

 それでも寝なきゃいけない。

 仕方ないからほとんど寝てないに等しいけど、適当な岩場を見つけたら寝るようにしてる。


 まあ、そんなこんなである意味下層よりも劣悪な環境なんだけど、唯一助かってるのが、魔物が弱いってことだ。

 ここの魔物は強さで言ったら上層の魔物と大差ない。

 蛇みたいに、そのエリアにしたら強い魔物もいるかもしれないけど、今のところ出会う魔物はみんな弱めだ。

 

 上層の魔物との一番の違いはやっぱり地形を利用してるか否か。

 これのせいで大して強くない魔物が厄介な存在になる。

 ホント、自分でやる分にはいいけど、相手にやられると厄介なもんだわ。


 まあ、数は結構いるけど、やってやれないことはない。

 レベリングで鍛えた結果、私もだいぶ強くなった。

 このくらいの相手なら、地形の不利を考えても勝てる。

 とはいえ、回復手段が少ない以上、一発攻撃を食らっただけでピンチになりかねないし、油断は禁物だけどね。


 それに、ここの魔物にはもう一つ、厄介な性質があるのだ。


 私の目の前には3匹の魔物。


『エルローピエクー LV8

 ステータス

 HP:164/164(緑)

 MP:166/168(青)

 SP:175/175(黄)

   :176/181(赤)

 平均攻撃能力:137

 平均防御能力:123

 平均魔法能力:121

 平均抵抗能力:117

 平均速度能力:143

 ステータスの鑑定に失敗しました』

『エルローピエクー LV8

 ステータス

 HP:163/163(緑)

 MP:169/170(青)

 SP:174/174(黄)

   :170/183(赤)

 ステータスの鑑定に失敗しました』

『エルローピエクー LV8

 ステータス

 HP:166/166(緑)

 MP:169/169(青)

 SP:177/177(黄)

   :178/182(赤)

 ステータスの鑑定に失敗しました』


 そいつらは赤い犬みたいな外見の魔物だ。

 その外見だけなら割と愛くるしい姿なんだけど、コイツの能力は割とえげつない。

 特に私との相性が悪い。


 まず鼻がいい。

 犬だしね。

 私の隠密を簡単に見破って襲いかかってくる。

 なので、いつもの奇襲ができない。

 まあ、それは中層に来てからほとんど成功してないのであんま関係ないけど。


 で、次にこれだ。

 赤犬の体を火が覆う。


 そう、この赤犬、よりにもよって火をその身に纏うのだ。

 火がついてる間はこっちから手出しがしにくい。

 直接触れるとそれだけでダメージを貰うしね。

 これこそがこの中層の魔物の厄介な特性。

 体が全体的に熱い。

 

 赤犬みたいに火を自分の体に付ける奴もいるし、そうでないやつでも結構熱い。

 タツノオトシゴもそうだしね。

 で、こいつらに直接触ると、私はダメージを食らう。

 タツノオトシゴ相手には我慢してたけど、さすがに赤犬みたいに火が付いた相手にそれをやっちゃうと、ダメージの量が半端なくなっちゃう。


 そこで私はとある対策をした。


 襲いかかってくる赤犬を避ける。

 こいつらの速度はまあまあ速いけど、それでも私に比べると全然遅い。

 避けるのは簡単。


 2匹を避けたところで、3匹目をジャンプして躱す。

 そして、赤犬の頭上を越えるときに、毒合成を発動させる。


 強力な毒液をもろに浴びた赤犬が、走るそのままの勢いで倒れていく。

 私の毒が強いってこともあるんだろうけど、ここらへんの魔物は多分毒耐性を持ってない。

 なので、毒を浴びせれば簡単に倒すことができる。

 相手に触れなくてもいいからこっちがダメージを受けることもない。


 私は残った哀れな赤犬どもに毒液をお見舞いしてやった。

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