7 24時間年中有休
腹は満たされた。
よっぽど減ってたのか、それとも受けたダメージを回復させるためなのか、私と同じくらいのサイズだった蛙は、全て私の腹の中に収まった。
物理的に不可能?
ハハハ。
スキルなんて不思議現象がある世界で何を言っているのやら。
それに、あながち不可能とも言い切れない。
なんせ私の体は風船みたいにパンパンに膨らんでいるから。
ふう、人間の体だったらダイエットを考えなきゃならないところだ。
まあ、前世の私の体は、乱れた食生活をしても何故か太らない体質だったから、ダイエットなんてしたことないけど。
とりあえず、蛙がかかったせいで壊れた部分の網を修復する。
う、腹が重いうえにポッコリしててやりにくい…。
悪戦苦闘したけどなんとか修復完了。
修復中に別の魔物が来なくてよかったー。
考えてみたら、網の修復中に限らず、蛙を食べてる時も危なかったんじゃないか?
匂いにつられて他の魔物がやってくるって可能性は十分ある。
この狭い通路では見てないけど、巨大通路の方には6本足の狼がいた。
あれはどう見ても鼻がききそうだし、危なかったかもしれない。
今度から、獲物を食べるときはマイホームに戻ってからにしよう。
あー、衣食住のうち、食と住が満たされる。
衣?
蜘蛛の私に服を着ろと?
ハッ。
必要性を感じないわ。
この洞窟は寒くも暑くもない快適温度だし、そもそも私の体は短い体毛に覆われている。
服を着る意味がないし、そもそも着る服がない。
糸を使えばもしかしたら作れるかもしれないけど、そこまでの労力をかけようとは思わない。
作っても着れるかどうかわからんし。
そう考えると衣も一応満たされていると言えなくもないんじゃないか?
おー、そうなると私は働かずして衣食住をすべて手に入れたことになる。
いや、一応巣作りもしたし、蛙倒すために結構苦労したから、働かずにっていうのは言いすぎか。
けど、よっぽどのことがない限り、夢の食っちゃ寝生活ができる環境が整ったと言える。
問題があるとすれば、網を突破してくるような強者がいるかもしれないことと、獲物がなかなかかからなくて、飢える可能性があることくらいか。
万が一網を突破してくるような猛者がいたら、その時は迷わず逃げよう。
あとは定期的に獲物が網に掛かってくれれば言うことなしだ。
それさえ満たせれば、私は一生ここに引きこもることもできなくはないわけだ。
素晴らしい!
私は学校にこそ通っていたけど、ほとんど引きこもりのような生活をしていた。
学校に行って、誰とも会話することなく過ごし、家に帰ってからはひたすらネットサーフィンするかゲームをするかしていた。
ご飯は適当にお湯を入れて3分か、レンジでチンだ。
時たまそれにコンビニ弁当が交じる。
うちの親は両親ともに共働きで、家に帰ってくるのは遅い。
帰ってきてもお互いに顔を合わせることはほとんどないし、会話もほとんどしない。
家事なんかもそれぞれが必要最低限しかしない。
ぶっちゃけ同じ家に住んでるだけの赤の他人だった。
そんな生活をしていたせいか、私は他人とコミュニケーションを取るというのが億劫だった。
まあ、生活というよりかは、生まれ持った性格からしてそうだったのかもしれないけど。
だから、友達というものはいなかったし、ネトゲでチャットをする時でさえ、ほとんど喋ることはしなかった。
なので、私のネトゲでのキャラは寡黙なイメージが付いていた。
アバターも渋いハゲオヤジ。
無駄口を叩かず、背中で語るようなナイスガイだ。
ステータスもロマン仕様のキワモノで、物理攻撃力と素早さをガン上げして、その他は全く上げていないという極端な仕様。
当たらなければどうということはない!とばかりに回避し、ヒットアンドアウェイで敵を倒す。
当たったら死ぬけどね!
うーむ。
両親とか学校の連中に会えなくなったのはどうでもいいけど、あのハゲオヤジに二度と会えないのは少し寂しい。
無課金組の中じゃ、数少ない課金組に対抗できる有力者にまで上り詰めていただけに、プレイ半ばで放り投げることになってしまったのは未練だなー。
実の親よりゲームのキャラの方が愛着があるって、我ながら人間終わってるな。
とはいえ事実だしなー。
あんな親でも私の死に少しは悲しんでくれるのかな?
うーん。
どうでもいいなー。
多分逆の立場でもそんな悲しむことはないだろうし。
お金の工面でちょっと悩むくらいだろうなー。
こういうことを他人に言うと怒る人もいそうだけど、だから何?って感じ。
別に人に迷惑かけてるわけじゃないんだから、私がどういうふうに考えてたっていいじゃん。
両親に迷惑?
残念ながら、私は親の名義で株を少しやってて、毎月それなりの額を稼いで口座に入れてあげてた。
株ってコツを掴んで堅実に冒険しなければ、それなりに稼げるんだよねー。
だから、親の脛かじってるわけでもない。
誰にも迷惑かけてないんだから、誰かになにか言われる筋合いもないわけ。
まあ、そんなこと言ってももはや関係ないしね。
だから堂々と宣言してやろう。
ヒキニート最高!
※注 真似しちゃいけません
あくまでフィクションのぶっ飛んだ思考の持ち主だから出るものです
活動報告に詳細な注意書きを載せました