54 安眠大作戦!
あー、眠い。
そろそろ眠気が結構やばい。
簡易ホームなしの野宿がこんなに響くとは。
もうちょい粘れると思ったんだけど、そろそろ本格的に熟睡できる方法を考えないとやばいかも。
とはいえ、そんな簡単に熟睡できるんなら、寝不足に陥ってまで探索を強行したりはしないのよ。
さすがにここまで来れば地龍も追っかけてはこないと思うけど、代わりにそこらじゅうに強敵がウヨウヨいるような状況だしねー。
簡易ホームくらいだと突破されかねない。
だからっていってガッツリホームを作るなんて論外。
私はここに根を張りたいんじゃないの。
ここから一刻も早く脱出したいの。
そのためには作るのにも時間がかかるようなホームはダメ。
そうなると、やっぱ簡易ホームってことになるんだけど、それだとここいらに生息してる魔物には効果があるかわからない。
と、堂々巡りになる。
どうしようと、眠い頭を振り絞って考えました。
簡易ホームでもやりようによってはいけるんじゃね?
たとえば、そこらへんに適当に作るんじゃなくて、見つかりにくいような場所に隠れて作るとか。
て、言ってもここら辺岩が結構ゴツゴツしてはいるけど、だからってそんな安心して隠れられるような場所はないしなー。
いや、待てよ?
別に隠れてなくても良くね?
要は他の魔物が手出しできなければいいわけじゃん?
それなら、いい場所があるじゃん。
早速私はそこに向かう。
そこ、壁をずっと登った先の天井に。
うひょー。
たけー。
こえー。
これ安眠できるか?
けど、ここいらの魔物で壁を登ったり空を飛んだりするやつは今のところ見てない。
あ、タニシ虫は別ね。
蜂もこの広い空間に出てからは見かけないし、天井と壁の間に簡易ホーム作って、その中で寝れば安全じゃね、と思ったわけよ。
というわけで、早速巣を作りますか。
うわ、マジで高い。
地上100メートルくらいって、高層ビル何階分くらい?
落ちたら確実に死ぬわ。
まあ、命綱があるし落ちることはないと思うけど、それでも剥き出しのまま作業するっていうのは怖いもんがあるね。
恐怖耐性仕事しろし。
《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV5』が『恐怖耐性LV6』になりました》
ごめんなさい。
ナマ言いました。
だからそんな絶妙なタイミングで突っ込み入れないでよ。
あー、びっくりしたわ。
と、とりあえず外枠完成。
外枠は普通に粘着糸を網状に壁と天井の間に貼っつけただけ。
この外枠の中に、ハンモックみたいな感じで寝床を作ろうかなーと思ってる。
うーん。
けど、これ外から丸見えだよね?
地龍のブレスみたいに遠距離攻撃食らったらひとたまりもなくない?
やっぱ、ちょっと隠すべきかなー。
そこらへんに転がってる岩をどうにかして利用できないもんか。
一旦地上に降りてくる。
岩を見る。
うーん。
このままだとでかい。
なんとか加工できないかな?
斬糸でちょっと切れないかな?
岩に糸を括りつけて、斬糸発動。
引っ張る。
ん、ちょっと切れるけど、ダメっぽいな。
鋸みたいにギコギコ動かしたらいけないかな?
お、ちょっとずつだけどいってるいってる。
《熟練度が一定に達しました。スキル『斬糸LV3』が『斬糸LV4』になりました》
スキルレベルが途中で上がったおかげで、作業効率が上がった。
よし、薄めに切った岩のできあがり。
これを、巣の表面に貼り付けて、カモフラージュに使おう。
岩にしっかりと糸をくっつける。
その上で地上100メートルの巣まで糸を持って登る。
よし、あとはこの糸を引っ張り上げるだけ。
ふん!
お、重!
うぐぐぐぐ。
く、体重をかけるんだ。
そーれ!
《熟練度が一定に達しました。スキル『強力LV2』が『強力LV3』になりました》
途中で強力のスキルレベルが上がった。
上がったけど、それでも重い。
これ、瞬発力も持久力も半端なく消費する!
きっつい!
《熟練度が一定に達しました。スキル『瞬発LV1』を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『持久LV1』を獲得しました》
なんかスキル獲得した。
けど、今はそれ確認してる余裕がない!
そーれ、引け!
ぜー、ぜー。
はー。
やっと岩を持ち上げることができた。
うわ、よく見たらスタミナが過食のストック分超えて減ってきてんじゃん。
あー、そりゃ辛いわけだよ。
あれ?
おかしいな、手っ取り早く安眠できる方法を考えてたはずなのに、どうして私はこんな重労働に勤しんでるんだ?
んー?
深く考えたら負けだね。
うん。
頑張った甲斐あって、巣に貼っつけた岩がいい感じにこっちの姿を隠してくれてる。
あとはちょちょいと寝床を作ってと。
完成!
ふおう。
極楽極楽。
あー、やっぱ糸の中は落ち着くわー。
これよこれ。
やっぱこれがないと安心して寝れないのよ。
あ、寝る前に新しく手に入ったスキルの効果確認しとかないと。
『瞬発:スキルレベル分SP(瞬発)にプラス補正が掛かる』
『持久:スキルレベル分SP(持久)にプラス補正が掛かる』
あー、強力とか堅固のSPバージョンだ。
それぞれ40だった私のSPが41に増えてる。
スタミナは重要だしこれは美味しいな。
よし、スキルの確認もできたし、重労働して疲れたし、寝よう!
久々にぐっすり眠れそうだし、ここは思う存分惰眠を貪ろう。
というわけで、おやすみなさい。