277 暗躍再開
本日二話目
前話でブロウが化けて出てたんで修正
さて、気分を一新してまた暗躍しなければならん。
とりあえず、魔王には甘味の要求と神言教との会談のセッティングを頼んでおいた。
甘味については「任せておけ!」と力強いお言葉をいただいたので、期待して待っていよう。
神言教は向こうの返信待ちになると思う。
神言教には今人形蜘蛛が一体派遣されてるから、連絡を取り合うのは簡単。
向こうも戦争やったばっかですぐには会談開けるような状況じゃないかもしれないし、のんびり待つしかないね。
ていうか、こっちもまだ全軍撤退なり進軍なりしてて、そんな動ける状況じゃないし。
ということで、現在自由に動き回れるのは私と吸血っ子とフェルミナちゃんくらいのもの。
一応魔王も動こうと思えば動けるけど、仮にも総大将がフラフラしてるわけにもいかないっしょ。
え?
第十軍どうすんだって?
ワルドくんに任せておけばいいよ。
私が指揮するよりもきっと的確に動かしてくれるさ。
そんなわけで、動ける人員でできることから始めていく。
まずはシステム周りを担当していた分体に、女神がこれ以上システムを弄れないようにできないか探らせておく。
できるようならそうするように。
勇者システムの破棄はムリ。
勇者の代替わりっていう僅かな隙をつかないと、システムの破壊はできない。
ムリにやろうとすると、現在の勇者に悪影響が出る。
つまり、山田くんに。
それでなくても、勇者システムを破壊するために膨大な量のエネルギーを消費しなければならないっていう、本末転倒な事態になるからやらない。
で、私本体は吸血っ子とフェルミナちゃんと合流。
ポティボディを回収して、一旦異空間に保存しておく。
あとで解析しよう。
今は、とりあえず山田くんの母国をどうにかする準備を進めなければならない。
「ということで、帝国を篭絡してきて」
「どういうことで、ということなのか全くわからないのだけれど?」
吸血っ子に指示を出したのに、こいつは私の言葉を理解してくれない。
なんてダメなやつだ。
こういうのはフィーリングで相手の伝えたいことを感じ取れないと。
断じて私の言葉が足らないわけではない。
ないったらない。
山田くんの母国の上層部の人間は、ポティマスに侵されている。
ポティマスがどういう意図でそんなことをしてるのかわからないけれど、これ以上放っておくとろくなことにならないのは目に見えているので、そろそろどうにかしなきゃならない。
具体的には、暗躍してるポティマスの分体を始末して、侵食されている人たちを殺す。
王様とかね。
一度侵食された人間を救うのは、できなくはないと思う。
思うけど、かなりの労力を使わなければならないし、救えるのは多分一人だけ。
一人救ってるうちに他はやられるだろうからね。
それだったらもう最初から諦めてパーッと始末しちゃったほうが楽。
で、王国の上層部を軒並み始末することになっちゃうので、大事件になるのは避けられない。
しかも、一気に始末しなきゃいけないから、相当派手な事件になるだろうね。
一気に始末しなきゃ、ポティマスに勘付かれちゃうし。
そこで、その主犯を夏目くんにこなしてもらおうと考えているのだよ。
私が直接手を下すっていうのも考えたけど、なるべくなら私の存在はポティマスに伏せておきたい。
今回勇者を殺したことで多少なりと奴にも私の存在は知れるだろうけど、神であるとまでは予想できないはず。
ポティマスには、こっちの最高戦力が魔王だと勘違いしてもらってたほうがいい。
黒はどうせなんだかんだで動かないだろうし、戦力にはカウントしない。
そこで白羽の矢を立てたのが、夏目くんと妹ちゃん。
いろいろバーサークしちゃってる夏目くんを使い捨てる気で、妹ちゃんにその操作をさせる。
これで世間の目は夏目くんに注目し、私から逸らされる。
ついでに魔王軍の動向もそれに隠れればいいなって。
で、夏目くんは帝国の王子様。
だったら、そのつてを最大限に利用しちゃえー、ということ。
夏目くんの権限で動かせる部隊なんかタカがしれてるだろうから、吸血っ子の魅了で帝国の上層部を操って、夏目くんをバックアップ。
夏目くん自身も色欲なんて魅了の最上位スキル持ってるわけだし、この期に帝国を内部から掌握しちゃえと。
そうすれば、エルフの里に魔王軍を送る際もかなり楽になるし。
うむ。
我ながら素晴らしい案ですな。
かなり外道だけど。
そんなことは今更よねー。
ということを、吸血っ子とフェルミナちゃんに一生懸命説明。
ふう、勇者倒すよりも苦労したぜ。
「わかった。じゃあ、その妹ちゃんとやらに会わせて」
何がじゃあなのかわかんね。
吸血っ子よ、君は相手に何かを説明する時はちゃんと一から十まで懇切丁寧に伝えましょうって習わなかったのかね?
フィーリングで察しろ?
エスパーじゃあるまいし、そんなことできるわきゃねーでしょ。
まったく、最近の若い連中は言葉が足りなくていけない。
まあ、今後協同で作業することもあるかもしれないし、会わせろというなら会わせてやるけどね。
分体に妹ちゃんの様子を見させる。
お兄さんである山田くんが、いきなり授業中に挙動不審になって出て行っちゃったんで、かなりソワソワしてる。
自室に戻ってるんだけど、落ち着きなくグルグル部屋の中歩き回ってるよ。
そんなにお兄ちゃんが気になるか。
そうかそうか。
では、突撃妹の晩御飯。
転移で妹ちゃんの部屋に突撃。
「っ!?」
いきなり現れた私たちに、妹ちゃんはビックリして硬直。
吸血っ子はそんな妹ちゃんを凝視してる。
フェルミナちゃんは、なんか妹ちゃんを憐れみのこもった目で見てるわ。
解せぬ。
「お兄さんに何があったのか、知りたい?」
私の問いかけに、妹ちゃんがビクッと震える。
わかりやすくて結構。
では、悪魔ならぬ邪神との取引、始めましょうか。




