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血26 鬼の血

本日4話目

 学園ではレベル上げを兼ねて近場の魔物が生息する場所に遠征に行くことがある。

 私は今までご主人様に遠征に行くことを禁止されていたけれど、この度初めて許可が下りたので、遠征に参加することになった。


 遠征先は魔王城から歩いて2日程の位置にある森。

 その森には低レベルの魔物が多数生息しており、生徒たちの絶好の狩場となっている。

 もちろん、実戦であるため死傷者が出ることもあるので、相手が低レベルだからといって油断はできない。


 私は、森を目の前にして、どうしても興奮を隠せない自分がいることに戸惑いを感じていた。

 森にいい思い出はない。

 なんせ、旅をしていた期間はその大半を目の前にあるような森の中で過ごしていたのだから。

 あの頃の辛かった記憶が蘇る。

 同時に、どこか懐かしく感じてしまった。


 そして、何より私を興奮させているのは、戦えるということ。

 それを意識するだけで、目の前が真っ赤になりそうなくらい興奮してくる。


 私は生まれてから今まで、まともに戦ったことがない。

 ご主人様にしごかれたり、学園で模擬戦をした程度。

 ご主人様とのあれは戦いとは呼べないし、学園での模擬戦なんて遊びにもならない。

 命のやり取りをする戦いには到底及ばない。


 戦う。

 血で血を洗う。

 それを想像するだけで、動悸が高まる。

 この気持ちはきっと、私が吸血鬼だからだ。

 吸血鬼としての本能が、血と戦いを求めている。


 だから、森の中に入って、実際に魔物を倒した瞬間の落胆も激しかった。

 弱い。

 脆い。

 これではただの蹂躙。

 戦いではない。


 けど、初めて経験値というものを獲得し、レベルが上がった。

 一緒にいたイケメン軍団にレベルが2になったと言ったら、ものすごく驚いた顔をされた。

 何か、驚くようなことを言ったっけ?


 不思議なのは、レベルが上がった瞬間、私の体が一瞬光って、SPが回復したことだ。

 HPやMPと違って、SPは回復する手段が限られている。

 レベルが上がるとSPが回復するらしい。

 と、思ってその事を話すと、普通レベルが上がってもSPが回復することはないそうだ。

 私だけが特別なのか、不思議だ。


「ソフィア、ここいらで引き上げよう。このままの勢いだと、この森の魔物を全滅させかねん」


 教師のジグリス先生がそう言って私を止めた。

 レベルも3に上がったし、これ以上蹂躙を続けても面白くないので、その提案を受け入れた。


「俺、今回何もしてないんだけど」

「安心しろ。僕もだ」

「レベル上げに来たのに、レベルが上げられない」

「ソフィアが1人占しちゃったから仕方がない」


 男子どもが何か落ち込んでいたけど、気にしない。

 彼らは友人としてみるといいのだけれど、戦いの相手には力不足。

 私のこの欲求を満たしてはくれない。


 というよりも、私は自分の強さがだいぶ異常であるとここ数年で認識してしまった。

 今の私とまともに戦える程の強者が、果たしているのだろうか?

 ご主人様が言っていた、エルロー大迷宮にでも行けば、私は満足できるだろうか?


 どんどん思考が危ない方向に行ってしまう。

 魔物の血の匂いを嗅いで、正気を失っているのかもしれない。

 まさか、私がこんなバトルジャンキーだったなんて、生まれて初めて知ったわ。


 そして、引き上げようとしたその時、事件は起こった。

 少し離れたところで聞こえた悲鳴。

 今、この森にいるのは学園の生徒しかいないはず。

 だとすれば、悲鳴の主は学園の生徒の誰かということになる。


 男子たちが素早く動く。

 悲鳴の場所に向かうために。

 こういう時に迷わず救出のために動けるのは彼らの美点だと思うのだけれど、同時に私は状況が悪い方に転がるのを感じていた。


 悪いけれど、彼らを行かせるわけにはいかない。

 背後から不意打ちで気絶させる。

 ごめんなさいね。

 けど、行けばきっと彼らは死ぬ事になる。


 悲鳴の主ももう死んでいる。

 それは気配察知で確認済み。

 そして、気配察知で感じた相手の強さは、ご主人様やアリエルさんを感じさせるものだった。


 男子たちを目立たない位置に隠して寝かせ、気配の主の元に向かう。

 どうかしていると自分でも思う。

 相手は気配察知でそうとわかるほどに強い。

 だというのに、私の顔には笑みが浮かんでいる。

 ああ、戦える。

 危機を目の前にして、そんな感情しか湧いてこない。


 そして、私はそれと対面しました。

 周りには夥しいまでの血。

 元が何人いたかもわからないほど、損壊してしまった死体の成れの果て。

 もしかしたら顔見知りもいたかもしれないというのに、私の心は踊る。


『鬼人 LV49 名前 ラース 

 ステータス

 HP:16077/16077(緑)(詳細)

 MP:19899/19899(青)(詳細)

 SP:15755/15755(黄)(詳細)

   :15791/15791(赤)(詳細)

 平均攻撃能力:15888(詳細)

 平均防御能力:15823(詳細)

 平均魔法能力:17760(詳細)

 平均抵抗能力:17808(詳細)

 平均速度能力:15773(詳細)

 スキル

「HP高速回復LV8」「MP高速回復LV10」「MP消費大緩和LV10」「魔力感知LV10」「魔力精密操作LV2」「魔神法LV2」「魔力付与LV10」「魔法付与LV2」「大魔力撃LV1」「SP高速回復LV1」「SP消費大緩和LV2」「闘神法LV10」「気力付与LV10」「技能付与LV2」「大気力撃LV1」「剣神」「斬撃大強化LV10」「打撃大強化LV1」「貫通大強化LV3」「衝撃強化LV9」「破壊大強化LV1」「火炎強化LV1」「雷光強化LV2」「外道攻撃LV5」「龍力LV8」「火炎攻撃LV5」「雷光攻撃LV6」「念力LV7」「投擲LV10」「射出LV10」「空間機動LV2」「集中LV10」「思考加速LV8」「予見LV2」「並列意思LV1」「高速演算LV5」「記憶LV8」「命中LV10」「回避LV10」「確率大補正LV1」「暴君LV3」「鑑定LV2」「気配感知LV4」「閻魔」「呪怨LV3」「火魔法LV10」「火炎魔法LV6」「雷魔法LV10」「雷光魔法LV6」「治療魔法LV8」「外道魔法LV10」「空間魔法LV8」「魔王LV4」「矜持LV4」「憤怒」「祈祷LV3」「破壊大耐性LV5」「斬撃無効」「打撃大耐性LV5」「貫通大耐性LV5」「衝撃大耐性LV5」「火炎耐性LV2」「水耐性LV6」「氷耐性LV9」「暴風耐性LV1」「地耐性LV5」「雷光耐性LV2」「光耐性LV2」「闇耐性LV1」「状態異常大耐性LV4」「気絶耐性LV5」「恐怖大耐性LV2」「外道耐性LV9」「苦痛無効」「痛覚軽減LV9」「暗視LV5」「千里眼LV7」「五感大強化LV3」「知覚領域拡張LV3」「神性領域拡張LV4」「天命LV10」「天魔LV10」「天動LV10」「富天LV10」「剛毅LV10」「城塞LV10」「天道LV10」「天守LV10」「韋駄天LV10」「禁忌LV10」「命名LV10」「幻想武器錬成LV10」「n%I=W」

 スキルポイント:0

 称号

「味方殺し」「血縁喰ライ」「憤怒の支配者」「主人殺し」「人族殺し」「無慈悲」「人族の殺戮者」「魔族殺し」「魔物殺し」「恐怖を齎す者」「魔族の殺戮者」「龍殺し」「覇者」「人族の天災」「国堕とし」「魔物の殺戮者」「剣神」「魔族の天災」「妖精殺し」「魔物の天災」』


 そこにいたのは鬼。

 姿は魔族とほとんど変わらないけど、その額に生える2本の角と、何よりも濃密な殺気が化け物であると証明していた。

 あら?

 なんだか顔に見覚えがある気がするけど、気のせいね。


 血が高ぶる。

 生まれて初めて相対する敵に。

 こいつは私の敵足りうる。

 互角か、若干分が悪いくらい。

 だっていうのに、私は高揚する気分を隠せない。


 こいつを倒して、その血を飲み干したい。

 私はその欲求に従って、鬼に戦いを挑んだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ん?よく見たらこの時点で禁忌レベル10ある?外道耐性も9あるしこの後の展開大丈夫?
[一言] ラズラズこんなに立派になって… 称号的に、国滅ぼしたり、龍倒したり凄いな それに、Lv.3で挑むソフィアはおかしいけど
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