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血23 転生したら魔法学園に通わなくちゃいけないらしい

 魔族領に入ってから1年ほどで魔王城に到着した。

 ここまでの道のりを簡潔に説明すると、人族領と変わらなかった、としか言いようがない。

 だって、本当に変わらないんだもの。

 街並みの感じも、建築様式から食文化まで大した違いがなく、そうと言われなければ人族領と見分けが付かない。

 もっと、魔族というからにはいろいろな種族がごっちゃになって生活しているのを想像していただけに、あまりの変化のなさに逆に違和感を覚えたくらいだわ。

 唯一変わったことを挙げるとすれば、言語が変わったことくらい。

 それも、あらかじめアリエルさんに教わっていたので問題にならなかった。


 聞けば、魔族というのは単一の種族を表すそうで、私が想像するような悪魔だとか、獣人だとか、魔物っぽい外見の種族だとか、そういうのはいないらしい。

 魔族の中には吸血鬼もいるんだろうな、と思っていたら、どうも吸血鬼すらいないそうだ。

 アリエルさん曰く、


「吸血鬼なんてすんごい久しぶりに見たよ。この世界原産の吸血鬼なんてとっくの昔に絶滅してるからねー」


 だそうだ。


 色々とショックだった。

 つまり、私とメラゾフィスはこの世界でもたった2人の吸血鬼ということになる。


「昔、吸血鬼で魔王になった男がいてね、歴代でも最長の魔王就任年月を誇る大魔王として語り継がれているのがいたんだよ。その魔王も最期は勇者たちにフルボッコにされて討伐されちゃったけどね。で、その後当然のごとく吸血鬼狩りが行われて、呆気なく全滅しちゃったとさ」


 明るく振舞うなかに、どことなく寂しそうな雰囲気を滲ませながら語るアリエルさん。

 アリエルさんが吸血鬼を最後に見たのは、遥か昔ということで、生き残っている吸血鬼がいる可能性はほぼ0だとのこと。

 真祖でもない限り血を飲まないわけにもいかないので、人里離れた場所にひっそりと暮らすことも難しいから、今まで発見されずにいる個体はいないだろうということだった。

 その話を聞いて思ったことは、アリエルさん、今何歳なんだろうということだった。


 そういうわけで、吸血鬼に限らず、魔族というのは基本1種族だけだとのこと。

 ゴブリンなども魔族と結託していることはあるものの、ゴブリンはゴブリンで、魔族とは呼ばないようだ。

 魔族と呼ばれるのは、あくまでも人族と全く同じ姿をした種族のみ。


 考えてみれば、アリエルさんも見た目は人族と変わらない。

 魔族の頂点に立つ魔王が人族と変わらない姿な時点で、予想できることだった。

 というのは半分正解で、半分不正解だそうだ。


「私は特殊だからねー。形は人族や魔族と一緒だけど、中身は別物だよ。見てみたい?」


 ニヤリと、悪そうな笑みを浮かべるので、丁重にお断りしておいた。


 そんな感じで、見た目人族領と全く変わらない魔族領を旅し、たどり着いた魔王城。

 城の背後に稲光が見えることもなく、白亜の非常に綺麗なお城だった。

 魔王城という言葉の響きが似合わないこと似合わないこと。

 お城の周囲にはこれまた活気のある城下町が広がっており、明るい雰囲気に満たされている。

 私の中の魔族のイメージがガラガラと崩れていった。


「さて、ようやくここまで来たわけだけど、ソフィアちゃんには学校に通ってもらおうと思います!」


 アリエルさんがそう宣言した。


「学校、ですか?」

「そう、学校です」


 学校。

 そんなものまであるのね。

 魔族が学校。

 また、なにかイメージが崩れた気がするわ。


「ソフィアちゃんには学校に通ってもらって、この世界の学問を身につけてもらおうと思うんだ。今まで幼い身でろくに学ぶ機会もなく旅三昧だったからね。知識に関しては前世の記憶があるからある程度なんとかなると思うけど、この世界で生きていこうって思ったら学校には通っておいて損はないと思う。もちろん私が推薦するからにはただの学校じゃないよ。魔族にも貴族制度があるんだけど、その貴族が通う最高の学校を紹介しよう。どうかな?」


 どうかな、と聞きつつ、私に選択権はない気がする。

 確かに、私の年齢を考えると学校に通い始めていてもおかしくない。

 学校という場所は、学問を学ぶためだけの施設じゃない。

 そこで築いた交友関係は後々役に立つこともあるし、社会に馴染むための前段階でもある。

 魔族の貴族が通う学校に行けば、上流の魔族といやでも関係を持つことになる。

 それがどう働くかは私次第だけど、アリエルさんはその学校で、魔族領で暮らす下地を作れと言っているんだと思う。


 問題があるとすれば、私、人付き合いが苦手なのよね。

 けど、元とはいえ私も立派な貴族の娘。

 前世のことはすっぱりと忘れて、再出発をするときなのかもしれない。


「わかりました。その学校に通います」

「OK!じゃあ、その間メラゾフィスは私の下で働いてもらおうか」

「「え?」」


 私とメラゾフィス、2人分の声が重なった。


「学校には従者も入れないこともないけど、ソフィアちゃんは私の推薦とは言え貴族じゃないからねー。平民枠で入学することになるけど、それで従者をつけるのは難しいかなー」


 そんな。

 聞いてない。

 メラゾフィスがいないなんて。


「や、」

「やっぱりやめるなんて無しね」


 先回りされた。

 その後、有無を言わせぬ強引さで、私とメラゾフィスは引き離された。

 学校は全寮制で、メラゾフィスはいない。

 もちろん、アリエルさんも、ご主人様も。

 あ、ご主人様は食われなくて済むからいないほうがいいかも。


 1人も知っている人がいない状況。

 そして私は生まれてからすぐ世界中を歩き回る旅に出ていて、教養も常識もない小娘。

 周りは魔族の貴族ばかり。

 私、やっていけるのかしら?

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フォドゥーイー!お前はお前なりに頑張ったよー!
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