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211 吸血鬼育成計画

ちょっと時間が巻き戻ります

210の後です

 寝てしまった吸血っ子をメラが丁重にテントに寝かせる。

 いろいろあったし疲れてたんでしょ。


「メラゾフィス君、君も休みな。吸血鬼になり立てでかなり消耗してるしね。今後どうするかはお嬢ちゃんと話し合って決めればいいさ」

「そうですね。お言葉に甘えさせていただきます」


 メラがテントの中に消えていく。


「さてと。あの子らがどういう選択をするにせよ、私らのやることは変わんない。魔族領目指して行くだけ。白ちゃん的にはのんびり行きたい?それとも急いで行きたい?」

「のんびりだとどのくらい時間かかるの?」

「3年くらいかな。急いで半年くらい。ああ、こっちの基準でね」


 この世界での1年は411日だったっけか。

 こっちの世界での3年ということは、地球換算だと3年半にちょっと届かない感じか。

 それが急いで半年、約200日。

 車とかの移動手段がないので、急ぐイコールで走るってことだけど、どんだけだよってツッコミは入れちゃいけないよねー。


 まあ、3年コースかなー。

 どうせ吸血っ子はついてくることになるだろうし。

 というかそれ以外の選択肢がないし。

 この状況でそれ以外の選択するってことは、自殺志願者だってことでOK?


 そう考えると急いで帰るコースはムリ。

 私と魔王はどうとでもなるけど、吸血っ子とメラはついてこれるはずがない。


 そうじゃなくても観光とかしてみたいし、のんびりコースで。

 今日明日に世界が滅亡するわけでもないし。


「のんびり行こう」

「白ちゃんはそう言うと思った」


 あ、そう。


「ところで、鑑定した?」

「したよー」


 吸血っ子とメラのことだ。

 さすが元半分は同じ存在。

 以心伝心ですぐに私の言いたいことを察してくれた上に、どこからか取り出した紙に2人の鑑定結果を書き出す。

 渡された紙、じゃないや、これ糸を紙みたいにしてるものだわ。

 糸ってこんな風にもできるのか。

 参考になるわ。


 で、渡された糸紙に書かれた内容を見る。

 弱。

 ああ、いや。

 一般人って括りで見ると弱くはないのか。

 そもそも私から見ると人族全体が弱いし、吸血っ子まだ赤ん坊だし。


 けど、これ、エルロー大迷宮に放り込んだらすぐ死ぬステータスだわ。

 吸血っ子こんな貧弱ステータスで生きていけるのか?

 赤ん坊だから育てばマシになるのかもしれないけど、人間の弱さを考えるとこのまま育ってもなー。

 龍クラスはおろか、竜クラスでさえ人間からしてみれば十分脅威だし。

 今の吸血っ子はエルロー大迷宮にいた蛙にすら殺されそう。

 メラも多少はステータスあるけど、それでも蛇に遭遇したらまず勝てない。


 うーん。

 ちょっと鍛えるか?

 

 そんなガッツリやる気はないけど、移動しながら少し鍛えてやるだけでも大分違うかも。

 うん。

 そうしよう。

 

 吸血っ子とメラのステータスが上がれば移動時間も短縮できるようになるかもしれないし。

 何より自衛できるようになれば守ってやる必要もなくなるし。


 そう決断し、簡易ホームを作って就寝。

 の、前に各地に生んだ卵を転移して回収。

 全部孵化しちゃってたけど、眷属支配の要領で自分の配下、というか自分の一部にして異空間に放り込んでおく。

 孵化してから大人しくしててくれたから助かった。

 こんな連中が世に放たれていたら大騒動だわ。

 

 エルローのベイビーズ?

 あいつらは立派に育った。

 きっとたくましく生きていくだろう。

 というか、多分そろそろ自己を確立しちゃってるから回収できねーし。

 あいつらはきっとこのあとエルロー大迷宮の新しい魔物として認知されるでしょう。

 私は知らんがな。

 育児放棄とでも何とでも言うがいい。


 あらかた回収し終えて簡易ホームに戻ってきて、今度こそ就寝。

 別に寝る必要はないんだけど、私から睡眠欲と食欲を抜いてしまったら何も残らなくなってしまう。

 寝る、起きる、食う、寝る!

 うん、健全。

 ということで、おやすみ。




 その次の日から移動を開始。

 吸血っ子には歩いてもらった。

 赤ん坊だけど、ステータスを見る限り歩く程度なら問題ないはず。

 というわけで、キリキリ歩くが良い。


 魔物も魔王の威圧のおかげで寄ってこないし、森の中を歩くだけの簡単なお仕事です。

 メラがなんか言って反対してたけど、歩くくらいでなんでそこまで拒否反応起こすのかね?

 黙殺。


 メラにはエルフの血を瓶に詰めて渡しといた。

 吸血っ子は称号の真祖の効果で血を飲まなくても大丈夫だけど、メラは飲まないとステータスがどんどん下がっていっちゃうし。

 顔が引きつってたけど、飲まなきゃならないんだから割り切って欲しい。

 何、毒しか食物がなかった私に比べればマシさ。


 あ、毒か。

 毒ね。

 ふむ。

 毒耐性上げさせるついでに悪食の称号取らせるか?

 いいかも。

 腐蝕耐性ゲットできるし。


 というわけで魔王に相談。

 魔王は毒合成のスキル持ってるし、簡単に毒を作り出せる。

 死なない程度に薄めの毒を合成して、それで食事を作れば毒入り料理の出来上がり。

 悪食がゲットできるまでは毒入り料理を食べさせることにしよう。


 吸血っ子とメラは毒料理を嫌々ながら完食した。

 

 次の日。

 私は吸血っ子とメラに魔闘法を教えた。

 やり方は簡単。

 私の力で強制的に魔闘法を発動させて、それを維持させるだけ。


 だけなんだけど、メラの方が若干手こずった。

 吸血っ子は1回で成功したんだけど、メラは何度も失敗してた。

 魔力操作のスキルレベルが低いせいなのかな?

 最終的にはできるようになったから良かったけど。

 私の時なんか手探りで1から編み出したんだし、ただ維持するくらい簡単に出来てもらわなきゃ困る。

 ちょっと鍛えればよくね、って軽い気持ちで始めたけど、前途は多難そうだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 白たんスパルタの意識すら無かったでござるっ!!??? まあ素でスパルタする人て大体そおか(汁゛
[気になる点] 結局アラクネの子供ってなんだったんだろう
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