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181 なんかえらいことになってるがな

 エルロー大迷宮から転移する。

 多分死んだことになってる私がいきなり出現したら混乱するだろうから、今回は街からだいぶ離れた位置に転移した。

 ひとまず万里眼で街の様子を窺う。


 ん?

 なんか兵士の数が少なくね?

 冒険者の数も少ない。

 半数以下に減ってる。

 どういうこと?


 まあ、いっか。

 吸血っ子は、相変わらずだね。

 屋敷の中ですくすくと成長してますなー。

 マイベイビーたちの方が成長早いけど。

 あれと比べるのはいかんか。


 あれ?

 吸血っ子の父親である街長もいないや。

 

 うーん。

 兵士と冒険者がいない。

 街の長もいない。

 けど、街の機能はちゃんと働いている。

 

 これ、どっかで戦争でも起こってる?

 

 なんか強力な魔物でも出て討伐しなきゃならないとかだったら、街長まで出張る必要はない。

 街長は私が見た限りなかなかの強さだった。

 人間にしてはだけど。

 となると、兵士と一部の冒険者を率いて軍団長的な立場で出陣することも考えられる。

 考えられるけど、その場合魔物討伐とかより戦争の方が可能性は高そう。


 もしかして、私が殺ったおっさんの国とガチで戦争になった?

 魔王の襲撃を受ける前にそんな会話があったしなー。


 けど、あれって本気だったん?

 てっきり外交有利にする程度の脅しだと思ってたんだけど、マジだったんだ。

 宗教おそるべし。

 

 とはいえまだ憶測。

 ホントに戦争がおっぱじまったって確定したわけじゃない。

 それを確認するためにもちょっと街で情報収集しときたいところ。


 新スキル、隠蔽発動。

 このスキル、迷彩の進化したスキルなんだけど、相手の認識から隠したいものを外すという効果があるっぽい。

 つまり、私自身にこのスキルを使えば、姿を認識されなくなる。

 今まで恐怖を齎す者の称号のせいで半分死にスキルになってた隠密系のスキルが、ようやく復活することができた。

 恐怖を齎す者の称号の効果は、私の姿を見たものに恐怖を与えるというもの。

 つまり、私の姿が見えていなければその効果は発揮されない。

 認識していない、イコールで見えていない判定になっているっぽいっていうのは確認済み。

 これで思う存分隠密活動ができる。


 隠蔽と隠密をオンにし、帝王なんかの威圧系スキルと常時発動させてるその他スキルもオフにする。

 街の防御網を楽々突破し、誰にも気づかれることなく侵入成功。

 家の屋根伝いに移動しつつ、住人の会話なんかを盗み聞く。


 はい、戦争勃発確定!


 もうね、その話題で持ちきりだよ。

 ちょっと歩けば戦争、戦争。

 むしろそれ以外の会話してる人のほうが少ないくらい。


 どうやらオウツ国とかいう国と戦争になったらしい。

 そのオウツ国、やっぱりというかなんというか、私が暗殺したおっさんの国だった。

 しかも、その国エルロー大迷宮の出口があるところらしい。

 長年今いるサリエーラ国とは宗教の違いから反目し合ってたらしいけど、そこに来て自国にある砦を破壊した魔物が敵国で神獣として崇められている。

 そりゃ、オウツ国からしたら面白くないわな。


 オウツ国は神言教なる宗教。

 サリエーラ国は女神教。

 規模としては神言教の方が世界的に信仰されてるっぽいけど、国力はサリエーラ国の方がオウツ国よりもずっと高い。

 そんな微妙な力関係で均衡を保っていたところに、私登場。


 オウツ国からしてみれば頭の痛い問題だったろうね。

 国としての威信もあるし、砦を潰した魔物である私をなんとか排除したい。

 けど、その私は敵国で神獣として祀られている。

 角が立たないように排除するにはまず自国に引き入れなきゃならない。

 そこであのおっさんが交渉役に抜擢されたわけか。


 これ、多分だけど交渉は上手くいっても失敗してもどっちでも良かったんだろうなー。

 オウツ国の上層部は私に託つけて戦争起こす動機にしたかっただけで。

 でなきゃ、あそこまで無能なおっさんを交渉役に配置しないだろうし、あのおっさんが普段から敵国で親善大使なんかやってればそのうち問題を起こす。

 それを理由にサリエーラ国が宣戦布告すれば儲け物。

 防衛の名目で戦争を起こせる。

 計画通りってわけだ。


 今回は私がおっさんを殺っちまったせいで両国ともに微妙な感じになってた。

 サリエーラ国は神獣を不法に害そうとしたオウツ国を責められる。

 オウツ国はその神獣に外交官を殺されたとしてサリエーラ国を責められる。

 最終的に痛み分けに落ち着いたんだろうけど、そこで私の消失だ。


 しかも、私を殺したのは神言教の手の者だってことになってるらしい。

 実際は魔王にやられたんだから違うんだけど、民衆にそんなことが分かるわけがない。

 どっちの陣営が流した嘘情報なのかは分かんないけど、少なくともサリエーラ国では戦争思考一直線になったっぽいね。

 現に住民の話を盗み聞くと、神獣様の仇を取るんじゃー、的な内容が多い。

 まんまと乗せられてーら。


 あー、国の上層部の思惑がどんなもんなのかはわからんけど、少なくとも両国戦争始めたくてウズウズしてたっぽいのは確定かな。

 私はそのダシに使われたってわけか。


 ムカつくな。

 本人不在で何盛り上がってるわけ?

 しかも私の意向無視して。

 そんなに戦争したけりゃ、大義名分とか気にせずチャッチャと始めればいいじゃん。

 私をダシに使うんじゃねーよ。

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[気になる点] マンガは、蜘蛛の生活中心で物語が進んでいて、たまに人間の話がたまに出てくる程度だったのに、アニメでは、積極的に人間サイドが出てくる。 私はマンガで、この作品のファンになったから、アニメ…
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