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173 ヒモ

 あー。

 子供って便利。

 私が何も言わなくても働いてくれる。

 しかも優秀。

 私が何もしなくても私の生活を支えてくれる。

 素晴らしきかな。


 とはいえ、私も何もしないってわけにもいかない。

 そろそろマーキングをつけていた魔王が最下層に到達する。

 

 魔王は私の元本体を倒したあと、真っ直ぐにエルロー大迷宮の最下層に向かっていた。

 私に奪われたクイーンがどうなっているのか確認しに行ったんだと思う。

 

 まあ、遭遇したら勝ち目ないし。

 深淵魔法をまた使われたら洒落にならないから、マザーの体を乗っ取っている並列意思が逃げ出せるように、逃げ道を用意しとかなきゃならない。


 ということで、産卵開始。

 前と違って体が縮んでいるから辛い。

 体内で今の私の体と比較するとでかい卵が生成されていく。

 きつい。

 踏ん張ること約半日。

 ようやく卵を1個産み落とす。


 あー、しんどかった。

 けど、これで準備は出来た。

 あとは、深淵魔法食らう前に撤退すれば完璧。

 できれば深淵魔法を使われないで、死んだふりができればいいんだけど、クイーンの巨体を考えると、広範囲殲滅魔法を使う可能性は高いよなー。


 そんなこんなで待ってたら、案の定卵からパカッと2号が生まれた。


 おはよう。

{おはよう。ないわーあれ。ムリ}

 おう。

 私の気持ちがわかったか?

{うん。どうあっても勝ち目ないわ}

 とりあえずその体が死なない程度に食っとき。

 一応食べ物は少し残しといてあるから。

{サンキュー}


 というわけで、2号が新たに追加されたわけなんだけど、気付いたことがある。

 2号の種族、クイーンタラテクトのままだ。

 今のところ姿は生まれ変わった時の私と同じだけど、そのうちあの巨体に戻るってことかね?

 戻るとしたらどんだけ時間がかかることやら。


 それよりも、魔王の動向には注意を払わないと。

 ないとは思うけど、私らが生きてることに勘付いて探し始めるかもしれない。

 この前みたいなことにならないように、きっちり監視してないと。


 その魔王はまだ最下層にいる。

 何をしてるのかまではわからないけど、大迷宮の中にいる限り、油断はできない。


 そんなこんなで過ごしていると、ベイビー部隊がまた戻ってきた。

 ああ、うん。

 半ば予想はしてたけど、全部進化してらー。

 加えて悪食の称号とかゲットしてるわ。

 流石にまだ魔物殺しとかはゲットしてないけど、この分だと時間の問題かもしれない。


 称号だけじゃなく、スキルの方も着実に増えてる。

 生命に始まる各種ステータス強化スキルに、視覚強化なんかの五感強化スキル。

 こいつら、ホントに優秀すぎでしょ。

 私がその段階に至るまでにどんだけかかったと思ってんのさ。

 

 まあ、手駒が優秀であることに不満はない。

 むしろ好都合。

 今回も魔物の死骸をきっちり運んできてくれているしね。


 て、蛇いるやん。

 マジかー。

 もう蛇倒せるようになったのか。

 スゲーな。


 魔物の死骸を置いてまた颯爽と旅立つ我が子達。

 なんか既に歴戦の戦士たちが進軍を開始するかのような雰囲気になりつつあるんだけど。

 この短期間に進化してることといい、どんだけ濃い戦いをしてるんだか。

 次帰ってきたらさらに進化してるとかありえなくもなさそうで怖いわ。


 とりあえず食べる。

 食べるとステータスが回復する。

 ステータスが回復すると、脱皮が起きて体が大きくなる。

 レベルアップ以外だと脱皮ってしたことなかったけど、本来なら脱皮ってこういうもんだよね。

 レベルアップの脱皮の印象が強すぎた。


 私の体の大きさはだいぶ戻ってきて、80センチくらい。

 あともう一息ってところ。

 けど、ステータスの方はまだ全快とは言い難い。

 大体15000くらい。

 ここまで回復すれば、下手な相手には遅れは取らないけど、魔王が近くにいるこの状況だと、なるべくなら全快してから動きたい。

 決して今の怠惰な生活から抜け出したくないわけじゃない。

 ないったらない。


 2号の方も食べて少しステータスが回復したんだけど、体の大きさが私よりでかくなるのが早い。

 やっぱ元がでかいからでかくなるのも早いのか。

 同じくらいの量を食べてるはずなのに、この差は一体どこから来るのか。

 不思議だ。


 魔物の神秘を体験したところで、今後の事を考える。

 とりあえず、全快したら一度吸血っ子が居るあの街の様子を見に行きたい。

 私のこと神獣って崇めてたわけだし、その私が急に消えて混乱してるだろうからね。

 なんか隣の国と戦争云々言ってたのもあるし、情勢を把握する上で見に行ったほうがいいでしょ。

 

 んでもって、様子を見て魔王への攻撃を再開する。

 出会いさえしなければ、こっちのほうが有利なんだから。

 出会えば向こうが有利、出会わなければこっちが有利。

 転移で逃げ回りつつ、攻撃を続行すれば、勝てる、はず。


 あんな化物、正攻法で倒す手段なんかないし、裏技で倒すしかないっしょ。

 そして、私はその裏技を持ってる。

 なら卑怯だろうがなんだろうが、勝ちに行かせてもらいますがな。

 くくく。

 やられた借りは返す。

 待っていろよ魔王。

 私だって勇者のスキル持ち。

 魔王など恐るに足りんわ。

 ふふふ。


 あ、でも正面からは来ないでください、ホントお願いします。

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