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161 街

 吸血っ子とその母親を助けてから少し。

 私はその日のうちに大きな街にたどり着いた。

 ていうか、距離とか考えると、多分あの親子の住んでる街だと思われ。

 城はさすがに建ってないけど、街の中心にどデカイ屋敷が鎮座してる。

 もしかしなくてもあそこが吸血っ子の住まいなのかしら?

 生まれながらにチートでしかも家が金持ちとか。

 妬ましい。

 まあ、ないものねだりしてもしょうがない。

 

 このまま街に突入するわけにもいかないので、近くの林の中から千里眼を使って様子を伺う。

 この前の農村とは比べ物にならないぐらい大きい。

 人口3万人ってところかな?

 この世界に来て初めてまともな街というものを見たわ。


 人がいっぱい。

 それを眺めてるだけで何日も潰せそう。

 けど、まあ目的のものからまずは探しますか。


 街の中をざっと見回す。

 お、果物屋発見。

 違う違う。

 今探してるのは別のものだって。

 お、お菓子屋だと!?

 なんてこった。

 この世界にもちゃんとしたお菓子があるのか。

 食いてー。

 違う違う。

 今探してるのは別のものだって。


 フラフラと脇見をしながら目的のものを探す。

 見つけた。

 兵士詰所。

 こんだけの大きさの街なら自警のための兵士くらいいるよね。

 問題は、その兵士たちがどれくらいの数がいて、どれくらい強いのかなんだけど。

 兵士詰所は全部で9箇所。

 街の東西南北の四方の端の方にそれぞれ1箇所ずつと、中央に大きめの本部と思われるのが1箇所。

 中央と四方のちょうど中間点くらいの位置に残りの4箇所。

 

 うーん。

 数は中央以外は40人程度。

 中央が100人くらい。

 見回りとかで詰所にいないのを含めると、全部で500人くらい。

 多いんだか少ないんだか。

 そこらへんよくわかんないけど、私的にはあんま美味しくないなー。

 

 兵士の皆さんは訓練したり見回りしたり、書類仕事したりといろいろやってる。

 こうして訓練の様子とか見るとそこまで強そうには見えないんだけど、鑑定してみないことには何とも言えないなー。

 千里眼越しでも鑑定ができればいいのに。

 

 あと、気になったんだけど、兵士以外にも武装した人間がチラホラいるんだよね。

 見るからに冒険者って感じ。

 そして、そういう人たちは大抵同じ建物の中に入っていく。

 街の中で中央の屋敷の次にでかい建物だ。

 これがファンタジー世界につきものの噂の冒険者ギルドなのか?

 まさかねー。

 いくらなんでもそこまでテンプレな組織はないでしょ。

 ないよね?

 

 けど、冒険者(仮)の人たちが入っていく建物の中を覗いてみると、1階の半分が酒場になっていて、残り半分にカウンターみたいなものがある。

 市役所みたいな雰囲気だ。

 そこに冒険者(仮)が並んで、何事かを話し合ってる。

 壁には無数の紙が貼り付けられた大きなボードがある。

 2階3階部分はまんま会社の仕事場みたいな感じ。


 ああ。

 うん。

 これ冒険者ギルドだわ。

 マジかー。

 冒険者ギルドホントにあるのかー。

 この世界ホントファンタジー。


 あれでしょ。

 冒険者って依頼受けて魔物と戦ったりするわけでしょ?

 最初は薬草採取から初めて、A村に現れたゴブリン退治をして、徐々に強い魔物と戦っていくわけだ。

 いや、まあ、この世界にゴブリンいるのかどうかは知らんけど。

 いそうだなー。

 なんたってD監修だし。


 そんでもって、有名な冒険者になると竜退治とか行くわけだ。

 おお、あれは伝説の竜殺しの冒険者ではないか!

 みたいな。

 あー、いいねそれ。

 だが、残念。

 私それ退治される側だわ。

 

 私も有名になれば退治クエストとか発生するのかしら?

 むしろもう発生してたりして。

 迷宮の中で騎士たち虐殺して、迷宮の入口の砦壊滅させて。

 うん。

 討伐依頼出ててもおかしくねーわ。


 あれ?

 それ逆に好都合じゃね?

 それって私を倒しにそれなりに腕に覚えのある冒険者が押し寄せてくるわけでしょ?

 私を殺そうって息巻いてる奴なら返り討ちにしてもいいっしょ。

 私を餌に、冒険者をホイホイ。

 名案じゃね?


 となると、私もどっかひとところに落ち着いたほうがいいかな?

 うむむ。

 目立つ場所にマイホーム建設するか?

 そこで冒険者迎え撃つとか。


 ありかも。

 というか、もうここでよくね?

 街近い。

 冒険者いる。

 兵士もいる。

 ついでに吸血っ子も多分いるから何かあったときはフォローできるし。


 あー。

 なんだかんだ私あの吸血っ子のこと気にかけてんのか?

 んー。

 とはいえ面倒なことは嫌だなー。

 嫌だけど、何かあったとき近くにいて見捨てるのもなー。

 うーん。

 まあ、いいや。

 その時はその時だね。


 まずはここにマイホーム作っちゃおう。

 しばらくはそれで様子見しつつ、ちょこちょこ出かけてもっといい立地を見つけたらそこに移り住むって方向で。

 あ、食料はここら辺確保できんのかな?

 人があんだけ住んでるってことは、ここら辺魔物はあんまいないんじゃね?

 てことは、私の食物がない。

 あー。

 それもどっか適当なところに遠出して獲ってくるしかないか。

 

 足りないものとか今後のこととか、いろいろ不透明だけど、なるようになるっしょー。

 さて、ホーム作りますか。

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― 新着の感想 ―
他人と必要以上には関わりたくないし名前も覚えてない同級生の事とはいえ、同郷の人間が気になってしまうのは人間の特に日本人らしいところ
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