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145 沈む大地

 薬合成で体についた火を消す。

 ホッと一息。

 減っていたMPが急速に回復し始める。


 アラバはもう動けない。

 動けるだけの力が残っていない。

 HPはまだ変動していないけど、SPが尽きればHPも同時に尽きる。

 そして、SPはもはや少し動いただけでも尽きかねない状況。


 あとはもう煮るなり焼くなりお好きにどうぞって感じ。

 ふふふ。

 予想以上に苦戦させられたけど、私の想定通りの結末になった。

 

 最初からアラバのHPを削りきるのは不可能だと思っていた。

 龍種の持つ魔法を阻害する鱗系列のスキルは、私との相性が悪すぎる。

 物理で殴ろうにも、殴った手が痛むような有様。

 私の攻撃力よりも、アラバの防御力の方が圧倒的に高い。


 だから、HPは諦めた。

 HPがダメならSPを削ればいい。

 それを成すのが、怠惰。

 私が持つ壊れスキルその4。


 怠惰はエデ・サイネに進化してから割とすぐに取った。

 正直説明文がよくわからなかったから、そこまで重要視してなかったんだけど、取ってみたら私との相性の良さにビックリした。

 呪怨の邪眼を使えば、HPとかだけじゃなく、他のステータスの下がりも大きくなる。

 アラバにはほとんど影響がなかったけど、状態異常耐性を持たない相手には、これだけで勝てるくらいの凶悪なコンボとなる。


 それに、転移と組み合わせれば、相手に一方的に持久戦を強いることもできる。

 マーキングによって相手のステータスを常に確認し、転移で神出鬼没に現れては食事の邪魔をし、SPが尽きるのをじっくり待つことだってできる。

 というか、アラバにはこの戦法でいくつもりだった。

 空間感知なんて余計なものを取得しちゃったせいで、迂闊に転移が使えなくなっちゃったのが危なかった。

 アラバが取ったスキルの中で、実は一番厄介だったのが空間感知だったのかもしれない。

 

 アラバが死力と言えるくらいの全力を尽くしたからこそ、これだけ早くSPを無くすことに成功した。

 アラバがもっと余裕を持っていたら、結果は違ったかもしれない。

 油断も隙もなかったが故に、逆に敗北した。

 我ながらえげつない戦法だわ。


 さてアラバ、俳句は詠んだか?

 介錯してやる。

 そろそろ私とお前の戦いに幕を引こう。

 動けなければ魔法を撃ち放題。

 HPが削りきられるのが先か、SPが尽きるのが先か。

 どっちかな?


 ゲスな笑みを内心で浮かべながらアラバを空中から見下ろす。

 アラバがゆっくりと首を上げる。

 目があった。


 ドキリとした。

 その目は、清々しいくらいに澄んでいた。


 何さ、その目は。

 あんたは私に負けた。

 もっと負け犬らしく、悔しそうにしなさいよ。


 私のそんな悪態を受け流すかのように、アラバはゆっくりとその身を伏せさせる。

 ただ、首だけは真っ直ぐに、私のほうを向いたまま。


 そして、鑑定していたアラバのステータスに異常が起きる。

 スキルの文字が、灰色になっていく。

 これは、スキルの発動をオフにしているということだ。

 常時発動のスキルはオフにすることで、鑑定した時の文字の色が灰色になる。

 アラバのスキルが、次々と灰色になる。

 私を散々苦しめた、天鱗のスキルも。

 各種耐性系スキルも。


 抵抗はしないって、そういうこと?

 なによ、それ。

 なんなのよ、それ。

 何勝手に満足しちゃってるわけ?

 全力を尽くしたから悔いはないって?

 そういうこと?


 ふざけんな。

 もっと意地汚くなれよ。

 もっと生きたいって命乞いしろよ。

 生き足掻けよ。

 なんでそんな簡単に命投げ捨てられんのよ。

 命ってさ、一回無くしちゃったら、もう戻ってこないんだよ?


 私、転生なんてしてるから説得力ないかもだけどさ、普通は死んだらそこでおしまいなんだよ?

 なんでそんな潔く終われるのよ?

 終わりたくないって足掻いてる私はなんなのよ?


 それともさ、この世界は死んでも終わりじゃないから、それを知ってるからこんなに潔いいの?

 だとしたら、なおさらムカつく。

 

 ああ、いいとも。

 お望み通り殺してやるよ。

 

 すべての邪眼を解放する。

 呪怨、静止、引斥、そして、死滅。

 

 アラバの体は、抵抗することなく、塵となって消え去った。


《経験値が一定に達しました。個体、エデ・サイネがLV19からLV20になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『気闘法LV9』が『気闘法LV10』になりました》

《条件を満たしました。スキル『気闘法LV10』がスキル『闘神法LV1』に進化しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『怒LV2』が『怒LV3』になりました》

《スキルポイントを入手しました》


《経験値が一定に達しました。個体、エデ・サイネがLV20からLV21になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『死滅の邪眼LV3』が『死滅の邪眼LV4』になりました》

《スキルポイントを入手しました》


《経験値が一定に達しました。個体、エデ・サイネがLV21からLV22になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『念動LV1』が『念動LV2』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『引斥の邪眼LV1』が『引斥の邪眼LV2』になりました》

《スキルポイントを入手しました》


《経験値が一定に達しました。個体、エデ・サイネがLV22からLV23になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『HP高速回復LV7』が『HP高速回復LV8』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『糸の才能LV8』が『糸の才能LV9』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『斬撃耐性LV5』が『斬撃耐性LV6』になりました》

《スキルポイントを入手しました》


《経験値が一定に達しました。個体、エデ・サイネがLV23からLV24になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『打撃耐性LV5』が『打撃耐性LV6』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『恐怖耐性LV9』が『恐怖耐性LV10』になりました》

《条件を満たしました。スキル『恐怖耐性LV10』がスキル『恐怖大耐性LV1』に進化しました》

《スキルポイントを入手しました》


 ひどく、後味の悪い勝利となった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] > それともさ、この世界は死んでも終わりじゃないから、それを知ってるからこんなに潔いいの? これ、禁忌で知った内容かな?どうせ死んでも生まれ変わって延々と『ゲーム』で遊ぶ事になって、そ…
[一言] 最後レベルが上がったスキルが恐怖耐性って…
[良い点] アラバの死と主人公のやりとりに涙が出ました。 モンスターごときの死に泣かせられた自分が悔しい。くそぅ
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