表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/600

139 蜘蛛VS地龍アラバ②

 先制の暗黒槍。

 当然のように回避される。

 お返しのブレス。

 当然のように回避する。


 お互いに避けるとわかりきった攻撃。

 お互いの気持ちを確かめるような攻撃。

 まるで示し合わせたかのような一連の流れに、ずっと離れ離れで会えなかった恋人同士のような感覚になる。

 まあ、私恋人どころか友人すらいたことないけどね。


 挨拶のような攻撃を交わし合い、本格的な戦闘が始まる。


 アラバの巨体が疾風のように迫る。

 なんつうスピードよ。

 アークも速かったけど、こいつはそれ以上だわ。

 けど、速さでは負けない。


 振るわれる前足の爪を避ける。

 避けた先に、鋭い尻尾の先端が迫っていた。

 それすらも避ける。

 空を切る尻尾。

 けど、それはすぐにしなって私に向かって追撃してくる。


 引斥の邪眼を自分にかけ、擬似結界を発動。

 その上で回避する。

 斥力に弾かれた尻尾が、私の体スレスレのところを通過していく。

 

 そこにさらに追撃の後ろ足による蹴り。

 が、その蹴りは途中で止まる。

 チッ、射線上に張ってある糸に気づいたか。

 避けながら密かに張り巡らせていた糸の存在に、気付いたようだ。


 アラバが距離を取る。

 仕切り直しのつもりなのかもしれないけど、今度はこっちの番だ。


 距離を取ろうとするアラバに向けて暗黒弾を放つ。

 不意をついた一撃だけど、アラバは余裕で躱す。

 けど、その先に待ち構えた私の放つ、糸までは躱せない。


 粘着性は持たせず、毒と斬の属性を最大に乗せた糸。

 網目状のそれに、アラバは思いっきり突っ込む。

 と、同時に、糸を持った私はアラバの反対側に突っ走る。

 より糸が食い込むように。


 結果、私の体は吹っ飛ばされた。

 まあね。

 体格差がありすぎる。

 いくら強化した私の力でも、アラバの力には勝てない。


 アラバのHPは、わずかに減った。

 毒と斬撃、どっちが有効だったのかはわからないけど、ほんの少し傷つけることに成功した。

 たとえそれが自動回復ですぐに治るような傷でも、傷をつけたという事実は変わらない。


 ふむ。

 傷がつけられるならいけそうだ。


 糸を手放す。

 吹っ飛ばされた慣性をそのままに、空間機動で姿勢を制御。

 改めてアラバと対峙する。


 今の感覚だと、物理攻撃力ではアラバ。

 速度は私。

 防御はアラバ。

 魔法は私。

 こんな感じかな。

 

 ただ、互角かというと、正直負けてる。

 それは単に、アラバのとある一点が突出して高いからだ。

 アラバの防御力。

 私の攻撃力では、アラバの防御力を突破できない。


 物理攻撃では重甲殻と神鋼体の防御に阻まれる。

 全力の糸による攻撃でも、さっきみたいにかすり傷程度しか付けられない。

 

 魔法攻撃も有効だとは言い難い。

 天鱗、逆鱗の上位スキルであるこのスキルのせいで、魔法の威力は激減してしまっている。

 それでも1万を超える私の魔法攻撃力なら、ダメージくらいは与えられる。

 当たれば。

 アラバの回避力も高い。

 当てられればダメージにはなるだろうけど、次のダメージを与える間に回復されてしまう可能性が高い。

 

 並列意思を使っていない現状だと、戦いながら魔法を撃つのも一苦労する。

 それにアラバの回避力を考えれば、ダメージより回復の速度の方が早そうだ。


 並列意思は使わない。

 単なる意地でしかないけど、アラバの相手は私一人でしたい。

 並列意思を総動員すれば、ガトリング並の魔法乱射で一気に決めることも多分できる。

 そうでなくても、深淵魔法を発動させればいける。

 けど、私一人で勝つことに意味がある。


 決め手がない。

 それに、下手に攻めるとかえって耐性を無駄に獲得させることになる。

 並列意思を使わないから、カグラ対策に考えていた深淵魔法ででかいのを一発お見舞いするって方法も使えない。

 

 なら、私の取れる戦法は一つしかない。


 それを成す為には、今は全力で戦うしかない。

 アラバに、私は全力で戦うべき相手だと思わせるために。

 アラバが全力を出せば、私の勝機が見えてくる。

 なぜなら、その時にこそ、私の見えない第二の猛毒が、アラバの身を蝕み始めるのだから。


 アラバが構える。

 予見でそれがブレスの前動作だとわかる。

 かつて私のホームを崩壊させた、あのブレスだ。

 

 アラバのブレスが襲い来る。

 転移。

 アラバの頭上に転移する。

 無防備にブレスを吐き続けるその頭部に、暗黒弾を放つ。


 暗黒弾はアラバの頭部に直撃し、その口を閉じさせる。

 ブレスを吐き出しているその口を。


 ブレスがアラバの口の中で爆発する。

 龍のブレスはどうやらその龍の属性攻撃だけじゃないらしい。

 大地無効を持つはずのアラバのHPが減った。

 暗黒弾と合わせれば、ちゃんとしたダメージになっている。

 

 おやおや。

 もしかして、このまま行けるか?

 いや、多分ムリかな。

 

 口を爆発させながらも、尻尾が別の生物のように私に襲いかかる。

 この尻尾が厄介だ。

 鞭のようにしなる尻尾を避ける。

 至近距離を通過していく尻尾の、風切り音に内心肝が冷える。

 私のHPとMPを考えれば、一撃で死ぬってことはないと思う。

 思うんだけど、思わず尻尾で真っ二つにされてしまう幻視を見てしまうほど、その力は強い。

 

 尻尾に続いて振るわれた前足を後ろに飛んで躱す。

 そのまま距離を取りつつ、牽制の暗黒槍を放つ。


 暗黒槍に足を止められるアラバ。

 そのHPが急速に回復していく。

 早いな。

 これは、やっぱりダメージを重ねて倒すのは至難だな。

 

 けど、アラバは私のことを完全に敵だと認識した。

 ここからは全力で来るはずだ。

 私の毒が侵食を開始する。

 もうお前は私の毒を受けた。

 状態異常では見えない、特殊な毒をね。

 さあ、カウントダウンを開始しよう。

 アラバは、いつ毒の存在に気づくかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 意地というには切り札縛りすぎてて舐めプの領域に
[一言] カグナがカグラになってますよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ