103 マジカル蜘蛛子☆リターンズ
死ぬかと思ったわー。
てかHP的には死んだわ。
忍耐がなかったらマジで死んでた。
こんなアホな死に方したら華々しく散るどころじゃねーわ。
管理者さん、さっきの見てたんならログから抹消しといてください、お願いします。
それはそうと、意図せずして忍耐の効果が確認できた。
HPがなくなっても復活する、というよりかは、HPが0になってもMPを代替にしてそのまま行動可能って感じかな。
さっきの火が付いた状態のMPの減り方からして、多分だけどMPをHPに一時的に見立ててるんだと思う。
だから、HPに受けるはずだったダメージが、そのままMPの減りになると。
実質HPとMPがくっついたようなもんだね。
だから、オーバーキルするような攻撃を食らうと、MPも一気に減ってやられかねないと。
星魔のおかげでMPが尋常じゃないくらい増えたから、かなりタフになったと言えるね。
けど、MPは本来の用途でも使うから、保険くらいの気持ちで見といたほうが良さそう。
で、星魔のおかげでやたら魔法系のステータスが伸びたんだけど、このステータス、使わないと損だよね?
そこで登場、魔導の極みー!
わーい。
なんとこのスキル、私が欲しがってた魔力操作、その最終発展系とも言えるスキルなのです!
すごーい!
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今ならお値段なんと、叡智様のおまけなのでタダです!
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コングラッチュレーション!
さて、この魔導の極み。
マジで凄いスキルだわ。
なんせ実質、「魔力操作」「MP回復速度」「MP消費緩和」をレベルマックスで取得したようなもんだもん。
さっき死にかけて半分くらいまで減ったMPがもう全回復してる。
1秒間に2、3くらいの回復量だから、10分くらいで全回復できるってことだ。
何それ、MP使いたい放題じゃん。
しかもMP消費緩和の効果もあるから、消費量も忍耐以外なら少なくなってるはず。
下手しなくても使いたい放題。
邪眼なんか常時発動してても消費無しと変わらないっていうね。
早速常時発動に切り替えよう。
で、ここまでお膳立てされたら使ってみたいよね、魔法。
けど使い方わからん。
というのも今は昔!
私はついに魔法の使い方を覚えたぞー!
というのも、叡智様の新機能、検索によって判明しました。
某大先生には遠く及ばないけど、スキルシステム関係のワードを調べると、その説明が表示されるのだ。
私が求めてやまなかった取説機能がついに実装されたのだ。
そういうわけで、魔法の使い方も検索しました。
それによると、魔法を使うにはいくつかの段階を経ないといけないらしい。
まずは魔力の認識。
これはいわゆる魔力感知に相当する。
魔力の存在を認識できなければ、そもそもそれを燃料にして発動させる魔法を使うことはできない。
なので、これが魔法を使う上での大前提となる。
私は叡智様の効果で魔力感知はバッチリだ。
次に、魔力の操作。
私の中にある魔力のイメージは、トロミのある液体だ。
この液体を自分の意志で動かす。
これが魔力操作となる。
早く動かしたり、複雑な動かし方ができればなおいい。
普通は鍛錬を積んで徐々に動かせるようになっていくんだろうけど、私は魔導の極みのおかげで自由自在に動かすことができる。
そして、術式の構築。
各種魔法スキルがこれに当たり、該当する術を選択することによって自動で構築される。
構築された術式のイメージは、パイプ、だろうか?
この構築される速度もステータスによって変動してくる。
私は術式構築速度はカンストしているので、選択した瞬間発動可能になるというチートっぷりを発揮する。
最後に、構築された術式に魔力を流し込めば魔法は完成する。
パイプに液体を流す感じだ。
パイプの終点に液体が到達すると、初めて魔法として現世に影響を及ぼす現象となる。
このとき、パイプの中に流す液体の量が増えれば、魔法の攻撃力が高くなり、流す速さを速くすれば発動までの時間が短縮される。
ただし、その分パイプに余計な負荷がかかってしまう。
パイプの太さによっては流せる量に限界があるし、頑丈にできていなければ水圧で破裂してしまう。
その負荷に耐えられずに術式が不発に終わったり、最悪暴発してしまうこともある。
高位の魔法ほど複雑かつ長い術式を持つので、その傾向は強くなる。
術式を安定させるためには、より大きく頑丈なパイプを造る必要があるわけだ。
これについても私は魔導の極みのおかげで問題ない。
魔法一つ発動するだけでもこれほどの過程を経ないといけない。
しかーし!
魔導の極みを持つ私は、そんなまだるっこしいことを考える必要はないのです!
魔力操作は体を動かすのと同じ感覚でできるし、術式構築も魔法を選択した瞬間、一瞬で最適のものが完成する。
コップに水を注ぐくらいの気軽さで魔法を発動できるのです!
と、いうわけで、今は周りに魔物がいないので、効果がひと目でわかるものを発動させてみよう。
あ、そういえば影魔法の鑑定すっかり忘れてたわ。
『影表:影を光の中でも発生させられる』
うわ。
これまた微妙な。
レベル3にもなってまだこんな効果かー。
影魔法はレベルがもっと上にならないと役に立たないね。
じゃあ、改めて魔法を使ってみよう。
ここはやっぱり毒弾がいいかな。
外道魔法は発動しても相手がいないんじゃ意味ないし、影魔法はぶっちゃけ成功しても感動がなさそうだしね。
深淵魔法は、うん、ちょっといきなり使うのはハードルが高そう。
よし!
術式展開!
魔力充填完了!
毒弾発動!
ほぼ構えてからノータイムで私の目の前に何か黒くて丸いものが出現し、勢いよく飛んでいく。
お、おお!
なんかかなり呆気なく成功しちゃったけど、魔法だ。
スゲー。
ちょっと感動した。
けどこの毒弾、威力はあんまない。
なぜならこの毒、蜘蛛猛毒ではないから。
毒魔法で使える毒弾は、自前の毒を発射する魔法じゃなくて、毒を発射するという一つの魔法らしい。
なので、その毒はこの魔法専用の毒で、蜘蛛猛毒とは違う毒になる。
そして、私の魔法攻撃力を以ってしても、蜘蛛猛毒の威力には及ばないのだ。
一応魔力を多く消費すれば威力も上げられるけど、それなら素直に毒合成したほうがいい。
せっかく習得できた魔法だけど、使う機会はそこまで多くないかも…。




