❅「8年後の少年少女たちは」(1)
あれから早8年。
鏡華の誕生日のパーティーに、再びいつものメンバーが顔を合わせた。
「流ー君っ」
「日和か?髪切ったなぁ」
「流ー君っ」
「佐川……その呼び名で俺を呼ぶな」
「流……君」
「ああ……って何で鏡華!?」
そう、あれから8年が過ぎた。
あれから俺達は会う機会をすっかり失くしてしまい、今ではもう「お久しぶり」という仲になってしまった。
「それではっ!鏡華さん25歳アーンド、お子さんできました祝いでぇーっ」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
盛大にビール瓶が開けられて、パーティーは始まった。
場所はもちろん、鏡華の部屋。
「いっやぁーしかし、よく記憶戻ったよなぁー!雨傘の兄さん」
「今は「神童」だぞ?佐川」
「あわわ…すんません」
前にはありえなかったふざけ合いをしながら酒を飲む。
なんだか少し嬉しく感じる。そう思いながら二本目のビール瓶に手を伸ばしたそのとき、
腹辺りに何か重みを感じた。
そこにはご機嫌な顔で俺を見つめる鏡華の姿が。
「……鏡華…お前まさか」
その嫌な予感は見事に的中。
「ふへぇ~♪雨傘さぁん~」
「…やっぱりか」
真っ赤になった顔をぐりぐりと俺の腹に押し付け、満足そうに笑う。
「俺はもう雨傘じゃねぇって」
「らりをいううんれすかー!あまぎゃしゃしゃんはあまぎゃしゃさんなんれすぅ~」
「……鏡華さんて…酒弱いタイプなん?」
「ああ…酷いときは一口で倒れる」
俺は鏡華を抱きかかえてベッドの上におろして布団をかけた。
「……さて、飲むか」
2020年、12月28日。
鏡華が酔いつぶれたのを途中から来た桜庭が見て俺を殴ったのは言うまでもない。