一章1
一章のパート1です。
『♪キーンコーンカーンコーン♪』
いかにも学校らしいチャイムが、教室のスピーカーから流れ
た。
このチャイムは、入学式の後にあるHRの時
間を、終える合図音であると、同時に、昼休み開始の合図音で
もある。
「おっ、もう終わりか、午後からは案内があるるから、遅れな
いように。それじゃ、楽しい昼休みを。」
そういったのは、普通科1年C組の担任、山崎だ。名前と数学教
師以外何もわからない人である。
クラスの中は、机をくっ付けて昼御飯を食べようとしている
人もいれば、枕を出し寝ようとしている人もいる。
そんな中、俺は、立ち上がり、教室後方のドアから出ようとしていた。そのとき、担任教師に呼び止められた。
「おい。日沢待て、お前、入学式すっぽかしただろ。その事で、生徒会が話があるそうだ。昼飯食った後で良いから、行ってこい。」
あんまり俺に手間かけるなよ。と付け足し、クラス名簿を肩に
コツコツとあてながら職員室の方へいてしまった。
俺は短く返事をして教室を出た。
カバンの中には、コンビニのおにぎりがあった。過去形であ
る。朝、色々あってなくなったのである。
そのため俺は、食堂に行くことにした。
食堂や購買は、校内のほぼ真ん中にある円形の中央棟にあ
る。生徒会室は、その棟の三階にある中央棟の回りは、中庭に
なっている。階段の踊り場にあった校内案内図にそう記されてた。
どの校舎からも渡り廊下で中央棟まで行けるため人が集まり
やすい場所でもある。
この時間になると、昼御飯を求めて、生徒が、一階の購買と
食券売場に群がる。
そんな人混みの後方に俺はいた。
「購買の方も混んでるな。午後までに、食えるか?」
「よぉ~、明、ひさしぶり。今から、食事かい?たしか明は、
普通科で、クラス内の友好関係を築くため今日は、弁当持参
じゃなかったけ?絶体って訳じゃないけど。」
明は、後ろを振り返った。
「中学の時以来だな光樹。」
後ろから、話しかけてきたのは、塚原光樹である。中学の時からの友人の同級生である。
「今日は、弁当が無いんだよ。」
「えー、てっことは、いつものマリちゃん手製のメイド弁当を
分けてもらえないのかい?マリちゃんが作り忘れるなんて…」
「いや違うぞ、俺がマリに頼みそこねたから今日はないんだ。
しっかしなんだこの混み様は、こんなに混んでいるなら、ここ
で食うのやめにするか。」
「仕方ないよ明。昨日で、普通科以外の全学科の入学式が終
わったから。」
この学校は、普通科以外にも多種多様な学科あり生徒数も莫
大である。
そのため、入学式と始業式は、一度にできない。だから、一
週間かけて行っている。ちなみに、一番生徒数が多いい普通科
は、最終日の今日4月8日に行われた。
「俺が、入学した頃は食堂を利用する人は少なかったのにな。
この後生徒会に事があるから、やめにしようかな。」
光樹は、美術科なので、3日前に入学式を終えて、今日は、平
常授業があった。
「奇遇だな。俺もこの後、生徒会に呼び出されてるんだ。入学
早々遅刻したから、その事で話があるとかなんとか、」
でもそんなことで、一々生徒会が動くのか?と付け足し二人は、昼食を諦めて、少し早めに生徒会室に行くことにした。
明たち二人は、中央棟の螺旋状の外階段を登ろう手すりに手
を添えようとしたとき、光樹と同じく、背後から呼び止められ
た。今度は、誰だ?
「明様、ここにおられたのですか?」
その声を聞いた俺は、体に寒気が走った。
ゆっくりとぎこちない動きで、後ろを振り返った俺の目の前
には、女子生徒が立っていた。
その女子生徒は、 風呂敷で包んだ箱のようなものをからだ
の前で、下げていた。着ている制服から普通科一年だと言うこ
とがわかる。黒いロングヘアーを頭の後ろで、ポニーテールに
している。顔もスタイルもきれいで、かなりレベルの高い子で
ある。
いわゆる、美少女である。見た目は。
その子は、明の前に近づき、目を会わせてからこう言い出し
た。
「どこに行ってたんですか。教室に出向いても、いらっしゃら
なかったので、探しましたよ。電話も繋がりませんし。大変で
したよ。」
紹介が遅れたが、この子は、皇マリ、といい日沢家の使用人
の一人であり、俺のお着きの人でもある。
世間では、マリの様な人物をメイドと言うらしい。
光樹と同じく、中学の時からの付き合いでもある。
「あっ、ゴメン、マリ。ケータイの電源切れてたみたいだ。
で、何を伝えたっかったんだ?」
「頼まれてませんでしたけど、お弁当を準備してきました。今
日は、天気も良いですし、中庭で食事にしましょうと、伝えよ
うとしたのですが。あら、塚原さんこんにちは。」
と今まで、光樹の存在に気づいていなかったマリは、光樹に一
礼して、またこっちに目線を向けてきた。
今度は、さっきよりも接近してきて人差し指も向けてきた。
「良いですか?明様は、日沢家の次男としての自覚が無さすぎ
ます。明様のクラスの子から聞きましたよ。入学式に遅刻し、
生徒会に呼び出されたそうですね。」
「ヴぅっ・・・」
明は、一歩引いて、目線をマリから反らし、冷や汗をかいて
いる。
「私が準備した、帰国便なら、3日前には、日本に帰ってこれ
たはずですよ。一帯どこでなにをしてらしたのですか?」
「・・・光樹、見てないで、助けろよっ」
「面白そうだし、助けるとマリちゃんに怒られそうだから、助
けないよ。ガンバ。」
俺は、マリからの説教を逃れるために、光樹に助けを求めた
が、光樹は、にこにこしているだけである。憎たらし奴め。
「そうやっていつも、私から目線をそらしますね。それで、ど
こで何をしてたんですか?まさか、『揉め事を止めようとし
て、自ら入っていったら、深入りし過ぎて、最後まで付き合っ
てしまった』何てことじゃないですよね?」
「・・・・うっ・・ち、違うし。」
なぜ分かった。前々から思ってたけど、勘の鋭さが高い、思考読系統の能力でもあるのか。
そんな俺に対して、マリは、機関銃の如く言葉を投げつけて
きた。
「その顔だと、本当に深入りしてたんですか?あれほど言った
じゃないですか。用事がすんだら、寄り道せずにまっすぐ帰国
してください、入学式はすぐですよと。外国で問題を起こして
しまうと、日沢財閥に影響が出るんですから。また人助けで
しょうけど、遅くなるのでしたら、連絡の一本下されば、本家
の方でサポートしましたのに…聞いてますか?また目線をそら
しましたね。何ですか?あの可愛い女の子が気になるんです
か?こっちを向いてください。問題の後始末は、大変なんです
から、今まで何度あったことか。今後は、おとなしくしていた
だきたいものです。それと、」
ここで一旦マリは、言葉を区切り一呼吸置いて再び口を開い
た。
「寮に送られてきた明様宛の荷物の事何ですか。失礼ながらも、
身の回りのお世話をする者として、中身を拝見させてもらいま
したが。本や漫画の間にいかがわしい雑誌が在りましたよ。確
かタイトルは、Gカップパラダイスのエッ・・・」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅぁァわぁ~~~~、な、なぁ、マ
リ、そ、そんなことよりも、飯にしよ。その包みは、弁当だ
ろ。さぁ、食べような、なっ。」
明は、かなり慌てた口調で、マリの言葉を書き消すかのよう
にして、話題を替えた。
「…そうでしたね。では、食事の用意をしますので少々お待ち
ください。光樹さんもご一緒にどうですか?」
「やったー、その言葉待ってました。マリちゃんのありがた
く、いただきます。」
光樹は、マリの弁当が食べれることに喜びを感じている。
マリは、綺麗な模様をした風呂敷を、中庭の一角に敷きなが
ら、明に再度問いかけた。
「明様、このことは、帰ってから詳しく話してもらいますから
ね。早く帰って来てくださいね。」