プロローグ~出会い~
中学生編をとばして書いてますので、分かりにくいかも?
最後まで読んでくださると嬉しいです。
コメント待ってます。(厳しく?)
桜の木々には花がついてる。
その木々が見通しのいい道の両脇に生えている。
そんな道を少年が一人、走っていた。
「ヤベー、この時間だと入学式に遅刻だな。」
中身がほとんどないカバンを肩に背負ったこの少年は、今年の
春に高校生になったばかりだ。
「HRには、間に合うか、クソ、帰国の手続き
手間かかり過ぎだっつーノ。」
レンガで敷き詰められた地面を蹴って、前へ走っていく。
「いっそのこと、サボっちまうか。」
と、一人言を言いながら、走るのを止め、歩きだした。どうや
ら本当に式に出るのを諦めたようだ。
少年は、近くにあった桜の根元に設置してある黒塗りのシャ
レたベンチに、荒れた座り方で、腰掛けた。
(ふぅ~、一旦休憩と。入学式なんて、座って話聞くだけだか
ら、サボったて別に良いだろう。)
その時、背中の方から、
『グゥ~ウゥ、ギュルゥゥ~グゥ』
と、音が聞こえた。少年は、不思議に思ったのか、木の後ろをそっと覗いた。
そこには、地べたに座った少女がいた。
寒いのか、少女の体は小刻みに震えていた。顔はフードを
被っていてよく見えない。スカートの隙間から見える白い素足
には、傷やアザのような、あとがあった。
「た、、すけて、、、、、くだ、さい。」
力ない声がした。どうやら、見とれていたら、気付かれてし
まった。
「え? 気付かれちゃった?え~と、なんつったけ?」
『グゥ~ウゥ、ギュルゥゥ~グゥ~ウゥ』
また、あの音がした。
今度は、どこから聞こえているのかハッキリ分かった。
少女の腹部からそれは、聞こえてきた。
「………」
「………」
沈黙が去り、少年は少女に問いかける。
「お前、腹でも、減ってのか?良かったら、俺のやるよ。なん
か、見てて可哀想だったから、俺の意思で助けてやる。」
そう言い男子生徒は、朝コンビニで買ってきた、おにぎりと飲
み物を取りだし、少女に差し出した。
「これ、、、食べ、、ていいの?、、、いだき、ます。」
おにぎりは、すぐになくなった。かなりお腹が空いていたよ
うだ。
「これ、美味しい。もっと欲しいな。」
まだ食べたいようだ、今おにぎり4つたべたばかりであるの
に。でも、はっきりと喋れる様にはなってきている。
「もっと、食べたいな?」
もう一度要求してきた。
今度は、顔を上げて、見つめてきた。
少年は、カバンの中を探って見たが何もなかった。
「ゴメン、今、持ち合わせがないだ。だから、学食までいって
食べないか?」
「今、お金持ってないの、だから、食べれない。」
と言い、少女は目線を下に向け、落ち込んだ。
元気になったのに落ち込ませたことに、罪悪感を感じたの
か、少年は、お詫びとして、
「いいよ。いいよ。ここで、会ったのも何かの縁だし、おごっ
てやるよ。なんでも頼みな。」
そう言い少年は、立ち上がり、座っている少女に片手を差し出
した。
「たてるか?ほら。」
「・・・うん。ありがとう。」
少女は、その手を握り、立ち上がった。
桜は、風に揺れ、宙を花びらが、舞っている。
こんな風にして、二人、
日沢明と朝田仁美は、出会った。