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3:ご主人と鏡のなぞ(鏡)

 スワロのご主人は自分が怖い顔をしている自覚があるので、鏡を見るのがあまり好きじゃないと言います。

「俺だって男前に生まれてりゃあな」

 そんな事をよく言うご主人なんです。

 スワロは、ご主人の顔は、そこそこカッコ良いほうと思うんですけどもね。とはいえ、確かに顔はこわいかもですね。

 そういう時は、さすがに御主人をなぐさめてあげようと思うスワロです。

 ご主人だって、好きでコワモテなのではないんですもんね。


 とかいいながら。

 スワロは呆れちゃうこともあるんです。

 鏡を見るのはあんまり好きじゃないと言いながらも、ご主人、鏡の前で念入りなファッションチェックをしてから外に出たりする事が、結構あったりするのですよねー。

 だからおうちには、姿見が、あったりするのです。

 人もスワロも見ていないと思ったら、ビシィっと謎のモデル立ちして、一人ファッションショーをしていることもあります。

 そういう時、優しい心を持つアシスタントであるスワロは、見なかったフリをしてあげています。

 うん、言わないのは、スワロのやさしさですよ? だって、スワロが見ているのに気づいたら、ご主人、はずかしくて、もんぜつしちゃいます。

 今日も、何やら新しく手に入れた、UFOと宇宙人がいっぱい描いてある、どこで買ってきたのか聞きたい、変な柄のネクタイをいそいそ締めているご主人です。

「これ、やっぱり、いいな。俺の趣味完璧じゃねえか。ハイセンスすぎるぜ」

 鏡を見ながらニヤニヤするご主人。

 どうかしていますよ?

 それで、スワロ、ついに思い切って聞いてみました。


 あの、ご主人は、鏡見るの嫌いじゃなかったですか?

「あー? だって、鏡見ねえとキマってるかどうかわからねえだろ?」

 そ、それはそうですけど、その、顔を見るのがきらいって言ってたから、本当に嫌なのかなーと。

「それはそれ、これはこれだ」

 ご主人、こほんと咳払いをします。

「この際、白状するぜ! 恥ずかしながら、やたらイケメンの兄貴や弟の兄弟機を持つ俺は、確かに自分の顔にはコンプレックスはあるぜ。おうよ、顔面に猛烈なコンプレックスはある! だが、といって、身だしなみも整えられねえ男は、顔以上にダメだよな。男の風上にもおけねえよ」

 そうなんです?

「おうよ。やっぱり、ダンディズムを大切にする俺としては、中身もさることながら見かけもカッコよくねえとな」

 うん。

 まあ、その、ご主人、意外とオシャレとは思いますよ。

 ファッションセンスが、頭かち割れてるのかな? と思うことがある以外は。

「しーかし、昔のやつは大変だっただろうな。大昔の鏡はこんなふうに見れなかったんだぞ。身だしなみチェック、大変だったんだろうな」

 ご主人、そんな事を考えるひとなんだ。意外です。

 そう考えると、ご主人も『だておとこ』ってやつなのかも。でも、スワロのイメージでは、だておとこは、UFOとグレイの踊るネクタイは締めないと思います。

「そういうスワロは、鏡はどうなんだ?」

 とご主人が尋ねてきました。

「お前は、鏡見るの好きか?」

 それはそうですよ。

 スワロだってオシャレする事があります。

 スワロは戦闘用補助ロボットなんですけれども、ご主人の趣味で、帽子を買ってもらったりする事もありますし、背中におリボンをつけてもらったりする事があります。

 本当は、スワロ、戦闘用としては動きを阻害するので、装飾品をつけるのは好ましい事ではないんですけれども、マスターであるご主人の方針にしたがって、最近は楽しんでいます。

 装飾品つけると、とても良い気持ちになります。

 かわいい帽子とか買ってもらうと、やっぱり鏡に映して、どんな風になってるのか見たくなりますもの。

 なぜかホッとするご主人。

「そうか、それなら安心したぜ。いや、お前も鏡は苦手かなと思っていたからよ」

 ご主人は、そう言って顎に手をやりました。

「そうだな。じゃあお前にはドレッサー買ってやらないといけねえな」

 ドレッサー?

「かわいいやつな。お前だとおもちゃ屋に売ってる人形サイズやままごとサイズのが良いんだろうな。うん、かわいいのがあるのは、うっすら知ってるんだが。まあでも、俺のツラで買いに行くのはまあまあ苦行……」

 ぶんぼうぐやさんで、かわいいノート買うのも大変でしたもんね。

「そこは、ウィスかタイロに頼むか……。流石に、俺が買うのはプレゼントのふりしても、なかなかの晒し者感がある」

 ブツクサ言い始めるご主人。

 その葛藤はなんかわかります。ご主人、こわもてですもの。

 ドレッサーって、あのキラキラした女の子が使う鏡台っていうやつですよね。

 ……スワロ、女の子ってわけではないし(男の子でもないですが)、正直、あんまり御主人に無駄なお金を使わせたくないですが……。

 でも、ドレッサーは憧れがあります。

 お友達のウィステリアが、きらきらのドレッサーを使ってるの、お部屋で見た事があるのです。

 確かに、あんな感じのドレッサー、スワロ専用あれば嬉しいな……。きらきらで、かわいいので、スワロ専用。良い。

 そんな事を思ってしまうスワロです。

 困りましたねー。

 ご主人のために蓄財してるのに、思わずご主人の無駄遣いを見過ごしてしまいそう。

 でも、スワロだって、ドレッサー買って欲しい。

 うーん、スワロも、まだまだですねと思うのでした。


スワロのおこづかい帳

残高:120円(+120円)

メモ:特売セールで食費を300円浮かせたのですが、ドレッサー買ってもらうので、その分は貯金に回さないことにしました。ぶつよくとは手強いものですねー。

目標まで9,880円


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